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研究資金として寄付金を使うメリット、集める方法を再考する

島田 祥輔(しまだ しょうすけ) | 2015年4月16日 | 6,870 ビュー
研究資金として寄付金を使うメリット、集める方法を再考する

日本では研究資金の多くを、科研費に代表される競争的資金に大きく依存しています。競争的資金は、基本的には採択されたプロジェクトに関わるものにしか使えません。使用用途が明確にできる反面、他の研究テーマでも活用できる試薬や機器の購入は難しく、必ずしも使い勝手はよくありません。

これに対して、比較的自由に使いやすいのが「寄付金」です。一般市民や企業が研究機関に寄付したものは、直接の研究費や人件費だけでなく、刊行物の作成や知財の確保などにも使えます。アメリカでは寄付文化が浸透しており、さらに寄付金を運用して、安定した研究資金を確保しています。例えば、スタンフォード大学における2014年の収入のうち、寄付金や基金からのものは約10億ドル(約1,200億円)であり、全体の2割にも相当します。

日本ではどうでしょうか。Webサイトや銀行振り込みで寄付を募る研究機関は多くありますが、重要な収入源となっていないのが現状です。国立大学のなかで寄付金が最も集まる東京大学でも、2013年度の寄付金の総額は約26億円で、全収入の1%に過ぎません。

そのような状況のなかで、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の取り組みには注目する価値があります。CiRAはマラソン大会のオフィシャル寄付先団体として、ランナーなどから寄付を募っています。また、一部のクレジットカードやネット通販サイトでは、買い物でもらえるポイントをCiRAに寄付できます。「ポイントの有効期限が切れるけど使い道がない」と考えるユーザーにとっては有益な使い道となります。

このようにCiRAでは、従来のように研究機関のWebサイトに寄付の案内を載せるだけでなく、多くの人の目に留まるような仕掛け作りをしています。いわば「攻めの寄付募集」をすることで、CiRAは2013年度の個人からの寄付金が11億円以上にも達しました。

ただ、寄付金は「有名なところに集まりやすく、有名でないところは集めにくい」という特徴があるのも事実です。そのため、研究機関の知名度に頼るだけでなく、研究者個人のアウトリーチ活動が重要な役割をもつようになるかもしれません。また、寄付をする市民も、研究機関や研究者の知名度だけを見るのではなく、研究活動や使用用途について吟味する必要もあるでしょう。

日本ではなかなか浸透しない寄付を研究資金に活用すること、寄付金を集める方法について、みなさんはどのように考えますか?

 

参考資料

Finances: Stanford University Facts

http://facts.stanford.edu/administration/finances

寄付の成果|東京大学基金

http://utf.u-tokyo.ac.jp/result/index.html

収支報告|iPS細胞研究基金|CiRAについて|CiRA(サイラ) | 京都大学 iPS細胞研究所

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/about/fund_report.html

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