盗まれたアイデンティティ?SAGE社の大量撤回の事例から研究者が学べること

盗まれたアイデンティティ?SAGE社の大量撤回の事例から研究者が学べること

トンプソン・ロイターのインパクト・ファクターを持つジャーナルでの論文発表は、学者や研究者にとってますます重要になっているため、掲載するために彼らがとんでもない行動に出たとしても、何ら驚くことではありません。以前のスキャンダルで表面化した、そうした方法の一つに、ある人の名前を論文の著者の一人として見せるようにするためお金を払うことがあります。

The Journal of Vibration and Controlに掲載された60本もの論文を一気に撤回している、大手出版社SAGEが出した最近の発表によれば、容易に掲載されるため、さらにもう一つの非倫理的方法がとられていたということです。つまり、偽のアイデンティティを使い、査読プロセスを不正に操作していたのです。これら偽の名前で個人の査読者を表し、好意的な査読を行うことが保証され、掲載を勧告できるのです。

Retraction Watch というブログが記事を報じ、ワシントンポスト紙など影響力のあるいくつかの出版がこれについて取り上げました。

ワシントンポストの報道によると、 「投稿論文に対し友好的なレビューを得て、できるだけ多くの論文を掲載しようと、一見すると成功につながる努力をした最大

130 のこうした偽アイデンティティが査読に関わっていたといいます。ある事例では、論文の著者が、事前に作っておいた偽のアイデンティティを使い、自分自身の論文を査読していました。台湾の文部大臣蔣偉寧氏は、いくつか撤回された論文に自分の名前が掲載されていたため、このスキャンダルにより辞任しています。
 

さらなる調査がどんなに続けられたとしても、SAGE社のケースは、学界が注意しなければならないということを浮き彫りにしています。というのも、場合によっては、なりすましされている科学者について何ら知識もなく、本当の名前と所属施設が使われていたからです。以下では、こうした状況を防ぐためのアドバイスをいくつか紹介しましょう:

  • むなしい行為にみえるかもしれませんが、時々、何が見つかるか見るために自分の名前や所属機関で検索を行ってみるとよいでしょう: ことによると、自分の名前が査読者として扱われているのを発見するかもしれません(ある年にジャーナルで査読を行った人全員の名前を掲載し、査読者に感謝の意を公的に示しているジャーナルもあります)。
     
  • Google Alert に自分の名前を検索語として設定することもできます。
     
  • 自分の論文が引用されているのを見るのはよいことですが、必ず引用している論文を探してください。著者が、発表されたデータを取り出し、若干の修正を加え、データを使って別の論文を発表するというケースがあったので、引用している論文を探すことはいっそう重要です。

     

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