リバネス研究費:エディテージ受賞者インタビュー(3)中村祐二先生

リバネス研究費:エディテージ受賞者インタビュー(3)中村祐二先生

今回リバネス研究費エディテージ賞で奨励賞を受賞された中村祐二先生(北海道大学大学院工学研究院 准教授)にインタビューしました。

 

中村先生、奨励賞受賞おめでとうございます。ご感想は?

受賞と聞いて正直驚きましたね。若手研究者向けの賞だと聞いていましたので、正直自分はもう若くないですから。特別賞なのかなー…なんて(笑)。ですが、採択いただいたことは素直にとても光栄に感じております。年間で多くて20本近くの原稿を英語で書いていますが、投稿するとよく「内容は面白いんだけど英語がまずい」と評されるんですね(苦笑)。それでしばしばアメリカ人のお友達にちょっと直してよ、とお願いしているのですが、今回の賞が何かのご縁と思いますので、一度校正のプロにお願いしようと考えています。ですが、今回の副賞(10万円相当の校正サービス費用)は、将来ネイチャーに論文を投稿するために使いたいと考えています(笑)。栄誉ある本受賞者として恥じないよう、世界に通用する研究に挑戦し、成果を海外にどんどん発信して行きたいと思っております。

 

中村先生のご研究の内容とは?

私の研究テーマの一つである燃焼学の分野でエディテージ賞への応募をいたしました。ミリサイズ以下のバーナで達成される超小型燃焼についての研究で、特に超小型燃焼のみに特有に発現すると予想される「超」安定化状態の存在を示すことを目的としています。通常サイズの火炎ですと炎から発せられる熱の大部分はバーナ上の空間に放出されるのですが、実はほんの少しだけバーナを加熱するのに使われます。ただしその割合が圧倒的に小さい。ところが火炎を小型化するとその大小関係が大きく変わり、炎で発せられた熱がバーナを介して燃料へ戻されるという「熱循環」が無視できなくなってきます。このとき、いわゆる「超過エンタルピー状態」という特殊な状態が達成されます。このおかげで火炎を小さくすることだけで達成される「自立的な超安定燃焼状態」の実現が期待できます。この安定化機構は小型火炎の持つ特徴の一つであり、これを上手に利用することで、地球にやさしい省エネ技術革新につなげていけれるのでは、と考えています。

 

中村先生よりさらに若い研究者たちをどうご覧になっていらっしゃいますか?

若者世代は「子供っぽい」や「無責任」等ネガティブに表現されることが多々あろうかと存じます。しかし、本当にそうなのでしょうか。実際に接してみて腹を割って話してみるとそうではないことがほとんどです。むしろ新しいことを学ぶ意欲に満ち溢れています。ただ、どうしていいかわからない学生も多いため、学びの場でうまくリードしてあげることが大切です。そのためには「世の中にはこんな面白いことがあるんだ」「これがわかるとこんな世界が広がるんだ」と正しく夢を見せ、わくわくさせる小さな「きっかけ」が必要です。そのきっかけさえあれば、あとは敢えて厳しい課題を与え、(そっと影で支えてあげながら)やり遂げてもらう。こうすることにより、彼らは自信が付き、次はもっと高い目標をもって研究なり課題をしていく意欲を持続することができます。そのために私は彼らから信頼される人生の先輩であり、相談相手でありたいと思います。

 

今後の抱負について

常に新しい研究を続けていくだけではなく、次世代の科学者の「道しるべ」になりたいと思います。そして多くの教育者や研究者たちにもこのリーダーシップについて深く考えてもらい、日本の将来をより良い方向に導いてもらいたいと願っています。

 

中村祐二先生のプロフィール:名古屋大学ご出身で、2004年まで母校で講師をされておりました。その間、米国の大学や研究機関でもご研究をされ、米国国立標準技術研究所で招聘博士研究員として在籍されたご経験もあります。現在は北海道大学大学院工学研究院の准教授ですが、常に世界中を飛び回りながら研究と学生指導をされておられます。海外から見た日本の教育システムに危機感を感じ、日本的でありながら他にはない独自の指導方針で教育活動を展開されています。そのおかげ(?)か現在は「かなり厳しい教員」として有名だそうですが、とてもユーモアがあり温厚で、世界で戦う研究者を育てる情熱的な先生という印象でした。燃焼学や模型実験がご専門の(若手)研究者です。
 

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