再現性に関するジャーナルの試み:2つの結論を持つ論文を発表

再現性に関するジャーナルの試み:2つの結論を持つ論文を発表

 

British Journal of Anaesthesia誌は、研究結果の再現性の範囲を広げることを目的に、実験的査読の試みの一環として、2つの結論を持つ論文を出版しました。出版されたのは、「手術中の鎮静深度と高齢者の早期死亡との間に関連性はない」と結論付けられた論文です。興味深いのは、同じ研究をベースとした、結論の異なる論文も同時に発表されたことです。こちらの論文では、「高齢者の死亡率について結論を出すには、臨床試験を行なった患者数が不十分である」と述べられています。


同誌編集長で、ワイル・コーネル医科大学院(ニューヨーク)の神経薬理学者、ヒュー・ヘミングス(

Hugh Hemmings)氏は、この一風変わった査読の試みについて、論文の考察セクションによくある「過剰解釈、偏見、主観バイアスをなくすための試み」であると述べています。


この特殊な査読プロセスの下で、同誌は現在、複数の論文の考察セクションを執筆してくれる外部の専門家を求めています。執筆に際しては、研究の方法と結果のセクションのみを見ることができ、結論は見ることができません。専門家は、自分なりの判断を基に、その研究の考察を書くのです。これにより、方法セクションの枠を超えて、研究の再現性の範囲を広げることができます。その上でジャーナルは、2つの考察セクションを持つ論文を、それぞれの相違点と類似点の概要とともに、同時に出版します。


元の論文の筆頭著者で、ジョンズ・ホプキンズ・ベイビュー・メディカル・センター(ボルチモア)の麻酔科学および救命医療の研究者、フレドリック・シーバー(Frederick Sieber)氏は、「我々は必ずバイアスを持っているので、別の人の目が加わるのは良いことです」と、この新たなアプローチを歓迎しています。また同氏は、「麻酔薬の投与量が、死ではなくせん妄状態に及ぼす影響を検討することを目的とした元の研究が、妥当であることに変わりはありません。今回の独立した考察も、このことに関する元の研究の結論には、同意しています」と付け加えています。


スタンフォード大学(カリフォルニア州パロアルト)の研究者で、今回の斬新な考察セクションを執筆した1人であるジョン・イオアニーディス(John Ioannidis)氏は、ジャーナルの新たな試みに賛辞を送りつつ、研究論文の推論や結論の再現性の範囲を広げる必要性を強調しています。再現性が改善されることの重要性を訴えるイオアニーディス氏は、「人は、よく似かよった研究結果や研究方法から、まったく異なる推論や物語に発展させることができるのです」と述べています。


プリマス大学ペニンシュラ医科歯科校(英国)のロバート・スニ―ド(Robert Sneyd)学長は、この視点をベースとして、「独立した考察を書くというこのプロセスは、その論文の査読者となり得る人物に任される可能性が高い」と指摘した上で、むしろ「研究の限界を明確に述べるといった、著者に対する既存のルールやガイドラインが、より厳密に守られるべき」と提案しています。


British Journal of Anaesthesia誌編集長のヘミングス氏は、すでに別の論文の考察セクションに取り掛かる用意ができていると述べ、このアプローチが有益で、なおかつ学術界から好意的に受け止められた場合に限り、この試みを続けるとしています。


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参考資料:

Reproducibility trial publishes two conclusions for one paper

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