コンセプトペーパーの書き方

コンセプトペーパーの書き方

コンセプトペーパーに馴染みのない方、コンセプトペーパーの書き方をもっとよく理解したい方のために、この記事ではコンセプトペーパーに関する様々な疑問にお応えします。

 

コンセプトペーパーとはどのようなものか?

 

「コンセプトペーパー」とは、取り組みたい研究の概要を述べ、その研究を行いたい理由と具体的な実行計画を説明するための文書です。

 

コンセプトペーパーは論文とどう違うのか?

 

コンセプトペーパーは「ペーパー」と言っても、論文とは異なるものです。コンセプトペーパーでは、研究で目指すものや影響度を強調する形でまとめる必要があります。そのため、論文とは違い、過去に得た助成金や出版した論文を記載することもあります。

 

なぜコンセプトペーパーが必要なのか?

 

コンセプトペーパーが必要になるのは、計画中の研究プロジェクトに着手する許可を得るときや、研究助成金などの財政的支援を求めるときです。助成機関(スポンサー)からは、正式なプロポーザルを出す前にコンセプトペーパーの提出を求められることもあります。そのためコンセプトペーパーは、その研究プロジェクトに実行する価値があることを、読み手に納得させられるものでなければなりません。読み手はコンセプトペーパーをもとにプロジェクトの価値や実行可能性を判断するので、説得力のある提案ができれば、承認や助成金を確保できる可能性が高まります。大学では、学部生、修士課程の学生、博士課程の学生が指導教授と一緒に研究プロジェクトに着手する際にコンセプトペーパーが必要になることがあります。また、ベテラン研究者や主任研究者でも、助成金申請のプロポーザルを提出する際にコンセプトペーパーの作成が必要になることがあります。

 

コンセプトペーパーを書くことがなぜ重要なのか?

 

コンセプトペーパーを書くことには、次のような利点があります。

 

1. アイデアを掘り下げられる:研究構想を文書にまとめる過程で、当初のアイデアの焦点をより絞り込むことができます。まとめた文書は、後で詳細を詰める際のベースにもなります。

 

2. スポンサーにアピールする:計画中の研究プロジェクトの意義を示すことができます。プロジェクトの内容がスポンサー組織のミッションにマッチし、分野を前進させる可能性があると判断されれば、必要な助成金の獲得につなげることができます。

 

3. 潜在的な欠陥を事前に把握する:コンセプトペーパーをまとめる過程でプロジェクトの焦点が絞られ、あらゆる角度から課題を精査することができます。潜在的なギャップや弱点が見つかれば、解決策を検討し、目標や方法を含め、提案内容を事前に改善することができます。

 

4. タイムラインの把握に役立つ:プロジェクトを軌道に乗せ、効果的にタイムマネジメントを行いながら目標に到達するためのタイムラインの把握にも役立ちます。

 

コンセプトペーパーの構成に関するヒント

 

コンセプトペーパーの分量は、用途や要件によって異なります。修士課程や博士課程のプロジェクトで書くときは5ページ程度に収まることもありますし、助成金申請のために書くときは20ページほどになることもあります。

 

形式や構成もそのときどきで異なります。テンプレートやフォーマットが用意されている場合もありますが、とくに指定がない場合は次の構成に沿って書くことをおすすめします。

 

1. タイトル:最初に目にするものなので、インパクトを与えることを心掛けましょう。長すぎず、研究の目的と重要性を反映したタイトルが理想的です。疑問形をうまく使うことも、印象を残すためのコツです。

 

2. 研究の目的と課題:2~3文で簡潔に述べましょう。コンセプトペーパーの目的は、構想中の研究プロジェクトに実行価値があることを読み手に納得させることなので、研究の新規性と理論的根拠を明確に伝えましょう。

 

3. 研究の概要:研究テーマについて、先行文献を示しながら簡潔に説明します。この段階での詳細な文献レビューは必要ありませんが、テーマについてすでに知られていることと、今回の研究で埋められると想定している知識のギャップについて説明する必要があるので、その根拠として示せる文献を見つけておきましょう。

 

4. 研究方法の概要:実験材料と方法、収集するデータの種類、データの収集と分析の方法、倫理的な問題(もしあれば)について説明します。実験やデータ処理のタイムラインも示しましょう。

 

5. 予想される影響:研究の短期的・長期的影響、潜在的な応用方法、社会と政策への影響など、将来のビジョンを述べて締めくくりましょう。

 

まとめ

 

大事なことは、コンセプトペーパーの読み手が誰であるのかを意識しながら書くことです。読み手が分野の専門家や将来の共同研究者候補なら、共通認識があるはずなので、専門用語をどれだけ使っても問題ありません。一方、読み手がスポンサー候補なら、提案の要件や相手の関心対象と優先順位を考えて、内容を調整する必要があります。この場合、専門用語は最小限にして、専門家でなくても理解できる内容にする必要があるでしょう。

 

また、文法、スペリング、句読点などのミスがなく、簡潔で論旨の明快な文章であることが大前提です。好印象を与えるためにはフォーマット整理も疎かにできないので、テンプレートがない場合は一般的な書式に整え、フォント、行間、余白などを統一しましょう。

 

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研究プロジェクトのアイデアが溢れてきたら、内容を精査・深掘りして、まずはコンセプトペーパーにまとめましょう。研究プロジェクトの成功の第一歩は、優れたコンセプトペーパーから始まります!

 

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