質問: 研究助成の成果報告書や事業報告書に掲載した資料は二重投稿にあたりますか?

質問の内容 -
所属している組織では、研究助成を自治体から受けている関係で、研究の結果を事業報告書を毎年度出すことが求められています。論文化する前にデータの一部を事業報告書に記載した場合、これは二重投稿にあたるのでしょうか。同様に、研究助成を他の機関から受けた場合も成果報告書を求められる場合がありますが、それも二重投稿にあたりますか。
1 この質問に答える
回答:

これは、何を重複とみなすかに関するジャーナルのポリシーによって異なるので、確実な答えを得るためにはジャーナルに問い合わせる必要があるでしょう。重複の問題には通常、著作権が関係します。まずは、公開された結果の現在の著作権を誰が保持しているかを明確にしましょう。

 

ダブルカウント(同じ結果を2回カウントすること)と自己剽窃(結果を自分の過去の研究に帰属させないこと)の問題は、引用を適切に行うことで回避できます。2誌への掲載は、査読リソースの無駄遣いや、他の著者の論文出版機会を奪うことにもつながることから、問題とされます。ただ、今回のケースでは研究結果の公開先がジャーナルではなく事業/成果報告書とのことなので、この問題は当てはまらないでしょう。むしろ、公開済みのものがプレプリントと見なされるかどうかを、ジャーナルに確認する必要があります。

 

実際にジャーナルに論文を投稿する場合は、カバーレターに経緯を記載しましょう。また、結果を公開済みであることを踏まえ、既存論文への貢献も主張するとよいでしょう。正式なジャーナル論文としての追加資料が、公開済みの結果を読者が解釈するためにも(実用的意義)、将来の研究による再現のためにも(理論的意義)、不可欠であることを示しましょう。


このコンテンツは「ジャーナルへの論文投稿」ステージに属しています。

あなたの論文にぴったりのジャーナルを選びたいですか?個別コーチングプログラムでエキスパートのアドバイスを受けましょう。