研究の影響力を測定するための引用分析使用

研究の影響力を測定するための引用分析使用

 

サイエンスと研究の領域は急速に進化してきました。大学全学科の教員たちが同僚の論文発表の成功を祝っていた日々は過ぎ去りました。1以前は、科学者は単純に出版した論文の数で学術的な地位をはかっていました。今日ではその尺度は、論文を「発表したか」ではなく、「どこで」その論文を発表したか、その研究が科学的コミュニティーや世界全体において「影響力を持っているかどうか」に焦点が移行しました。 

あなたは研究論文のクオリティをどのように評価しますか? さらに重要なことに、自分の研究が影響力を持つかどうか、重要だとみなされているかをどう判断していますか? 客観的な方法のひとつに引用分析があります。 
 
引用分析は、論文や、科学者、大学、国、そのほかの科学活動から総合的に認められた引用の評価と解釈として定義付けされ、科学的影響力と生産性の尺度として使用されています。3

そもそもなぜ引用が重要であるのか?

関連する先行研究を読者に知らせるための参考文献リストは、研究論文の基礎となる部分です。3 参考文献に加えたり、引用することは、ある研究論文が他の研究論文を承認したことを意味します。研究は過去の研究を基礎に新しい知識を発見し、追加することで発展します。現存の研究と自分が選んだ研究テーマの相違を明らかにするために、研究者は関係のある自分の領域の出版された研究を読み、現存のデータを議論の土台として自分の研究論文に使用します。

過去の論文を引用する11の理由

  1. 読者を関連する研究領域の情報の中でも信頼できる情報源へ導くため
  2. 他の研究者が研究アイデアの系図をたどれるようにするため
  3. 研究の先駆者と専門分野について承認するため
  4. 先行研究で使用された研究方法や機材を読者に知らせるため
  5. 過去の論文を批評したり、訂正をおこなうため
  6. 自分の主張と議論を証拠を使って実証するため
  7. 議論の骨組み行う中で様々な意見を考慮してきたことを示すため
  8. 過去の論文の文脈において、自分のオリジナリティを強調するため
  9. 他の研究者たちにガイドを与えるため
  10. 著者としての信頼性を築くため
  11. 最後に、盗作を避けるため4

引用をベースにした指標には何がある?

引用分析は、誰に何を評価されたかに基づき、いくつかのグループに分けられます。

  1. ジャーナルのランキングジャーナルは、他のジャーナルに掲載された論文中での引用回数によってランク付けされます。ジャーナル・レベルの高さはは通常ジャーナルの格式の高さを意味します。最も知られる指標はJournal Citation ReportsR(トムソン・ロイター提供)のジャーナル・インパクト・ファクターです。 ジャーナル・インパクト・ファクターはある一定の期間でジャーナルに掲載されたすべての論文の平均引用回数を算出したものです。5
  2. 研究者ランキング最近ではこの目的でさまざまな引用分析の数値が使われるようになりました。論文が他の研究に引用された回数によって研究者がランク付けされます。この数値は研究者の雇用や在職の継続、研究費の決定を下すのに使われます。名声を高める研究者のレベルをはかる尺度は、研究者が出版した論文の数と引用された論文の回数の組み合わせで算出される「h指数6」です。
     
  3. 研究論文ランキング論文の引用回数レベルは著者本人とは関係なく、クオリティ評価と特定部分の研究の影響力の正確さに基づき提供されます。残念ながらそのデータを集めることは退屈で時間の無駄と考えられているので、この尺度は重要視されません。7
     
  4. 大学・国ランキング引用可能な論文、各論文の引用数、引用数の総計などに基づき、全体的な大学と国のランク付けを行うデーターベースがあります。これらの測定基準は、どの大学や国が最高の科学的アウトプットを持っているかを調べるのに役立ちます。たとえば、Scimago Research Group は研究機関、国別の年間レポートを発表しています。
引用分析はどのように役立つのか?

今日、研究者は論文を出版するときに多大なプレッシャーに直面しています。学問の領域は、研究論文のアウトプットが特定のレベルへ到達することが求められます。明らかに、個人と組織のどちらにとっても研究クオリティの査定にすべてがかかっています。これを考慮すると、政府、奨学金エージェント、終身雇用・昇進査定委員会は限られた時間のなかで、研究のボリュームを増やすことを査定できる単純で客観的な方法を注視します。結局、影響力を査定する客観的なパラメーターのため引用分析に頼ることになります。 

 

引用分析の落とし穴

引用分析を使用するときは、いくつかの問題を心にとめることが重要です3,7
 

  • 学問分野における引用法では、引用のパターンは研究分野と時間のあいだで変動するという事実を見落としがちである
     
  • 書類や事例報告書などのタイプの原稿は、オリジナルの研究論文やレビューに比べると、引用するにあたり不十分な視野を提供したり、典型的な少ない参考文献リストを取り入れている事実を無視しやすい
     
  • 引用の感情的立場は考慮されない:ネガティブな引用(過去の主張に異論を唱える引用)はポジティブな引用(主張を促す引用)と同じくらいメリットが与えられる。引用分析では、単に不名誉に引用された論文においても、引用された著者にとっては有効に働いてしまう
     
  • 複数の著者による論文では一人の著者の貢献として考慮しない:複数著者による論文でも、一人の著者による論文と同様に扱われる。つまり引用分析では個々の著者の貢献の度合いに関わらず、論文にかかわった著者は全員平等に評価される
このように、引用データだけに頼ると、その研究の不完全で偏った理解を与えてしまうことがあります。引用分析を使うのは簡単ですが、いいかげんに利用して信頼を失うことがないように注意するべきです。3理想的には、引用分析は、出版された研究の実際のクオリティと影響力を決定付ける専門家の評価と置き換えてしまうのではなく、そのサプリメントとして使われるべきなのです。8

 

引用分析の将来について

さらなるジャーナルやデータベースによるオンラインインターフェースに移行され、今では、デジタル化された情報はクリック数によって得られます。リンキングツールと、研究論文のデジタルアーカイブの到来で、科学的学問は以前よりも情報を回収することが容易になりました。したがって、引用データ頼る研究者の人口は今後増え続けることが予測されます。このような状況では、研究者は引用分析の重要性を無視することはできません。
 

だからこそ、次回の昇進への準備や、新しいポジションへの申請を行うのであれば、自分が適任であるということを強固なものにするために引用分析を使用することを考えてみてください。引用データを集めるためWeb of Scienceのようなオンラインデータベースによる引用カウント機能を使ったり、研究のアウトプットを目立たせるために多様な引用基準を用いましょう。

Bibliography

  • Dodson MV (2008). Research paper citation record keeping: It is not for wimps. Journal of Animal Science, 86: 2795-2796.
  • Thomson Reuters. History of citation indexing. Essay in Free Scientific Resources. [http://thomsonreuters.com/products_services/science/free/essays/history_...
  • Smith L (1981). Citation analysis. Library Trends, 30: 83-106.
  • Garfield E. Citation indexing-Its Theory and Application in Science, Technology, and Humanities. New York: Wiley, 1979.
  • Garfield E (2006). The history and meaning of the journal impact factor. The Journal of the American Medical Association, 295: 90-93.
  • Hirsch JE (2005). An index to quantify an individual’s scientific research output. Proceedings of the National Academy of Sciences USA, 102: 16569-16573.
  • Neylon C and Wu S (2009). Article-level metrics and the evolution of scientific impact. PLoS Biology, 7: 1-6.
  • Moed HF (2007) The future of research evaluation rests with an intelligent combination of advanced metrics and transparent peer review. Science and Public Policy, 34: 575-583.

 

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