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査読システムは何世紀もの間、科学出版の要でした。科学の出版物において何らかの形で質のコントロールを行えるのが査読であると考えられているため、たいていの高名なジャーナルでは査読を用いています。

 

さらに一般の人々も、学術論文は出版される前に何らかの形で客観的なチェックを通過していることがわかっているため、たとえ査読プロセスとは何か説明できなくても、論文を高く評価することが多いです。ただし、査読には、査読者のバイアス、剽窃、個人的あるいは専門家としてのねたみなど内在する問題がつきものです。これらの問題にもかかわらず、多くの研究者は査読を、グローバルな研究の監視を保証する唯一の方法であるととらえています。

 

通常は、査読プロセスには金銭取引が関わっていなくても、論文の出版に直接かかわる、目に見えない費用がかかっています。一番の費用は、時間と関係があります。つまり、査読者を手配するためにジャーナル・エディターが費やす時間と、当然のことですが査読者が査読するのに費やす時間です。一つの論文を査読するのに一日かかることもあるのです!査読に対し払われていない費用は、1年に190万ドルと見積もりされています。

 

不可欠なのに見過ごされやすい点として、現況の査読システムでは通常、査読者が仕事に応じた報酬を得られないことがあります。そのかわり経済的でない報酬、例えばジャーナルに掲載された謝辞、編集委員会での地位、ジャーナルへの無料アクセス、著者料金の割引など、経済的でない報酬を受けます。「特別に(‘elite’)」貢献してくれた人として査読者名を挙げている有名なジャーナルと関わっていることは、査読者たちにとって重要な動機になります。さらにもう1つの動機は、専門的な討論を高め、科学の門番としての役割を果たすことに、知的な意味で参加する機会が持てるという点です。このように、社会的義務、知的貢献、良い評判が、伝統的な査読システムの動機となっているように思われます。アカデミック・コミュニティへの貢献を考えると、査読者にとっては査読も自分のキャリア・アップにおいて報酬になります。 

 

けれども、以下の理由から、無給の査読が不公平だと感じる査読者が増えてきています。

  • 査読者もまた、研究、教育などの忙しい合間を縫って論文を完成させなければならない研究者です。時間がお金と同じくらいの価値があることをジャーナルも認識すべきだと、査読者は主張しています。
     
  • ジャーナルは、定期購読料や掲載料などから収入を得ていますが、査読者には何も支払っていません。
     
  • 研究者は書評やその他の執筆に対して報酬を得ることもありますが、論文を査読する場合は通常、無給です。査読者はこの違いに不満を感じています。

 

独自の有給の査読を提供する会社や、査読者に報酬を与えるジャーナルがいくつか現れたことにより、伝統的な査読モデルは変化に直面しています。有給の査読に賛成する人は、査読者のモチベーションが上がり、もっと多くの論文を引きうけてくれるだろうと思っています。けれども、そうした独自の、掲載前査読をジャーナルが認めるのだろうかといった疑問の声も上がっています。さらに、実際のところ査読を有給で行うと、すぐれた科学論文を発表するということから、査読によって報酬を得るということに焦点が移ってしまうのではないかと危惧する研究者もいます。著者かジャーナルが査読に対し代金を支払うことになったら、出版にかかる全体のコストもまた上がってしまうでしょう。

 

伝統的なモデルでは、査読者は、科学の進歩のため自発的に意見を提供する学者として高く評価されます。査読は、学術コミュニティ・科学コミュニティに対する義務と考えられています。一方、査読の民営化によって、困難な仕事に対して金銭的報酬をもらう機会が研究者に与えられます。

 

学者として、伝統的な査読モデルに賛成しますか、あるいは新しい有給の査読システムを受け入れたいですか?

出典:

http://www.timeshighereducation.co.uk/402189.article 

http://scholarlykitchen.sspnet.org/2010/08/31/the-burden-of-peer-review/

http://en.wikipedia.org/wiki/Peer_review 

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