ジャーナル編集者とのコミュニケーション方法

ジャーナル編集者とのコミュニケーション方法

[本記事は、ウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレターAuthor Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです

]


編集者にとって、著者とのコミュニケーションは大事な日常業務の1つです。情報や意見の交換は、投稿から出版に至るまでの出版プロセスを円滑に進めるための潤滑油となります。また、著者にとって編集者とのコミュニケーションは、疑問を解消するほか、論文出版に関する検討事項や、アクセプト後の出版状況などに関する重要な情報が得られる機会です。この記事では、論文出版プロセスにおいて編集者とのスムーズかつ明快なやり取りを助ける、さまざまなコミュニケーション形態を紹介します。


投稿前の質問状

適切な論文投稿先を選ぶことは、出版プロセスにおける重要な第一歩です。この一歩を踏み間違えないためには、興味のあるジャーナルの編集者に質問状を送るとよいでしょう。質問状は編集者にとって、自誌の対象領域や論文タイプに適さない論文の投稿を思い留まらせることのできる機会となります。自誌にふさわしいと判断した場合は、論文の改善に繋がるプロセスとなります。編集者は、質問状と一緒に受け取ったアブストラクトをもとに、投稿前に修正しておくべきこと(異なる手法でのデータの再分析など)や、フォーマットに関するフィードバックを著者に伝えることができます。一方、著者は、論文の執筆と投稿および査読の方法や、アクセプト論文の出版スケジュールなど、実務的なことを確認することができます。編集部は、質問状を受け取ることで、これから投稿されるかもしれない論文について把握でき、査読者選定の準備をこの時点で始めることができます。以上のようなメリットがあるものの、すべてのジャーナルが質問状を受け付けているわけではありません。質問状に答えてくれるかどうかは、ターゲットジャーナルの投稿規定をよく読んで確認しましょう。


質問状は、編集者宛てにEメールまたはジャーナルの編集管理ソフトで送ります。書き出しは、論文のテーマと論文タイプを明確にするところから始めましょう。次に、自分が投稿する予定の論文タイプに近い投稿規定をよく読んで、論文の仮題とアブストラクトを用意しましょう。そして、自分の論文がそのジャーナルに合うと思う理由を整理しながら、編集者への質問リストを作ります。文面は、簡潔明瞭を心掛けましょう。質問状をEメールで送る場合の件名には、質問状であることと、論文の内容を記載しましょう(例:「質問状:疼痛管RCT」)。論文の内容を記載せずに送ると、編集者の受信ボックスの中の膨大な類似メールに埋もれてしまうかもしれません(件名に「質問状」とだけ書かれたメールが複数あると、それらを見分けることが難しくなります)。1週間程度で回答が来るはずですが、1週間を過ぎても返答がない場合は、再送してみましょう。


カバーレター

ジャーナルに論文を投稿する準備ができたら、カバーレターを用意しましょう。カバーレターは、論文の管理システムにおいて重要な記録であり、論文、研究、臨床試験、法的基準や規制基準の順守に関する重要情報が含まれたビジネスレターと言えます。カバーレターは、共著者を代表して責任著者(corresponding author)が書くものですが、責任著者が筆頭著者である必要はありません。


論文の関連書類の中で、編集者が最初に目を通すのがカバーレターです。複雑かつ重要な情報が含まれる文書なので、慎重に構成、整理、書式設定を行いましょう。文書には以下の項目を記載します:
 

  • 論文の内容:論文のタイトルと共に、内容と論文タイプがどのようにジャーナルの方針に合致しているかを説明しましょう。また、既存の知見に対してどのような知見が加えられるのか、また、その知見がなぜ重要なのかを説明しましょう。
  • 新規性:論文が別の形で公開されているか否かを申告しましょう。公開されている場合は、学会名や公開日などの詳細情報を記載します。
  • 重複性:ほかの出版物と内容が重なっている部分がある場合は、その旨を申告しましょう。研究結果を報告する論文の場合、同じ研究プロジェクトのデータセットまたはデータセットの一部(事例、変数、回数)を使用しているすべての論文(出版済み/出版準備中/査読中を含む)書き出し、各論文の引用情報を漏れなく示す必要があります。また、査読中の論文の対外秘のコピーの提出を義務付けているジャーナルもあり、編集者が直接コピーを求めてくる場合もあります。
  • オーサーシップ:すべての共著者がオーサーシップの基準を満たしていて、論文の最終版を確認済みで、著者名の順番に同意していることを保証する必要があります。各共著者が論文にどのような役割を果たしたかを簡潔に説明しましょう(著者名の順番の変更や、著者の追加/消去を行うには、共著者全員の同意が必要です。著者としてふさわしいはずでありながら共著者として加えられていない場合は、オーサーシップについて編集者に問い合わせてみましょう)。オーサーシップに関する問題が完全に解消されるまで、論文は出版されません。
  • 利益相反:共著者は全員、ジャーナル出版社が用意している方法で、利益相反(COI)に関する情報を個別に申告する必要があります。COIに関する概要は、カバーレターと表紙に記載しなければなりません。COIがない場合は、「The authors have no conflicts of interest to report.(報告すべき利益相反はありません)」という文言を添えましょう。
  • 著作権:著作権で保護されている情報(テキスト、図表、動画)が論文に含まれる場合は、編集者に申告しましょう。著作権保持者を示し、その素材の再利用許可書を添える必要があります。許可書は通常、コピーライト・クリアランス・センター(CCC)www.copyright.com)からリクエストできますが、著作権保持者の特定や問い合わせが困難な場合は、編集者にその旨を伝えましょう。
  • 研究倫理:研究の監視に関する倫理委員会のプロトコルの承認と、研究倫理の指針や手順の順守を、カバーレターと表紙または本文中(ジャーナルの規定による)で示す必要があります。
  • 臨床試験登録:医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は、「論文が査読に進むためには、最初の被験者の募集に先立って臨床試験登録が行われていなければならない」と定めています。臨床試験の結果に基づく論文には、登録書、登録番号、登録日、最初の被験者募集日を記載する必要があります。詳しくは、以下のICMJEのウェブサイトをご覧ください:www.icmje.org/recommendations/browse/publishing-and-editorial-issues/clinical-trial-registration.html.
  • 査読者:論文を公平に評価できない恐れがある査読者候補の存在をあなたが特定した場合は、その人物を査読者として選定しないよう依頼しましょう。そのような結論に至った理由は説明しなくても構いません。また、ジャーナルが査読者の推薦を認めている場合は、推薦したい人物を挙げましょう。ただし、その場合は、共同研究者や指導教官などを避け、あなたと利益相反がない人を選びましょう。
  • 連絡先:Eメールアドレスや電話番号など、責任著者の確実な連絡先を示しましょう。論文のレビューが予定される時期に連絡が取れない状況にある場合は、その旨を編集者に知らせましょう。


査読者・編集者のコメントへの返答

論文の修正・再投稿が認められた著者は、査読コメントへの回答をまとめた文書の提出を求められます。修正論文と共に、「Rebuttal letter(反論の手紙)」や、査読コメントに沿って修正した箇所を示す表を提出します。フォーマットにかかわりなく、どのような修正を行なったのかを示す回答を用意しなければなりません。指摘に関する修正を行わなかった場合は、その理由を明確に説明しましょう。ここでは、修正の全体像とそれぞれの詳細を伝えることが重要です。


一般的に「査読者への返答」と呼ばれる文書ですが、実際は編集者も目を通し、修正箇所の妥当性や精度(または修正を行わなかった理由)を検討します。査読者への回答は、論文を出版に近付けるためのプロセスなので、説得力のある文章でなければなりません。査読者からのコメントを慎重に検討したことを編集者に示し、包括的な回答を心掛けましょう(ただし、文法や誤字脱字に対する指摘に逐一回答する必要はありません)。内容の正確性に関する懸念については、エビデンスを提示しましょう。査読者側に誤解がある場合は、その問題を説明しましょう。内容の曖昧さを認めることを恐れる必要はなく、卑屈になる必要もありません。慎重に言葉を選んで論理的に説明しましょう。重要なのは、修正版が元の論文よりいかに優れたものになり、出版に値するものになったかを示すことです。


電話連絡

編集者とのコミュニケーションは、文書でのやり取りが一般的です。カバーレター、反論の手紙、添付書類、抗議文書は、投稿から出版までの間だけでなく、論文出版後も記録として残ります。したがって、電話でのやり取りは稀ですが、直接話し合うことで問題を解決できるような状況では有効です。緊急を要する場合もあるので、編集者からの電話にはいつでも出られるようにしておきましょう。論点をしっかり把握し、適切な議論ができるように準備しておきましょう。声はコミュニケーションツールなので、ポジティブなトーンを心掛け、言葉は慎重に選びましょう。


電話中は、後で会話の内容を確認できるように、メモを取っておきましょう。また、電話を切る前に、話した内容の理解度や、スケジュールや締め切りの変更などについて合意した結果を確認しておきましょう。


編集者の決定への抗議

編集者とのコミュニケーションの中でもっとも難しいのは、リジェクト判定への抗議でしょう。論文のリジェクトを告げるメッセージを読むのは辛いもので、感情的になってしまうことも珍しくありません。査読者のコメントに不満を抱いたり、編集者の判断を不可解だと感じたりすることもあるでしょう。それでも、不満の感情だけでは、編集者の判定に対する抗議にはなりません。加えて、感情論だけで抗議をするようなことがあってはなりません。まずは、時間を置いて感情を落ち着けた後で、編集者の判定への抗議に関するジャーナルの方針や手順を確認しましょう。その上で、査読コメントと判定レターを再読しましょう。不公正と考えられる査読や、誤解に基づいた査読は、抗議を行う根拠となります。この場合は、ジャーナルが定める手順通りに抗議を行なってください。判定に対して抗議する旨と、その理由を説明しましょう。抗議の手続きには期限が設けられているケースが多いので、注意が必要です。


編集者へのレター

科学者にとって、出版論文は情報を伝え合うための媒体です。過去の知見は、引用文献に反映されます。論文が科学の記録に組み込まれることで、未来の科学者とコミュニケーションを取れるようになります。現在の読者とは、索引サービスなどを通して論文を公開することで、コミュニケーションがとれます。同時代の読者は、編集者にレターを送ることで、出版論文について対話を行うことが可能です。通常、論文に関するレターを受け取った編集者は、著者にそのレターに返答する機会を与えます。読者からのレターや著者の返答は、公開されたり、索引に含まれたりすることもあります。


レターは、簡潔で要領を得たものでなければなりません。どの論文にコメントしているのか、どのような意見(補完、批判、新たなアイデアや応用方法に関する提案など)を表明したいのかを明確にし、エビデンスも提示しながら、論理的にコメントを展開しましょう。レターの書き方や送り方については投稿規定を確認しましょう。


まとめ

出版プロセスにおいて、編集者とのコミュニケーションは重要な要素です。フォーマルで、丁寧で、礼儀正しく、明快で、よく練られたメッセージやレターは、コミュニケーションを円滑にして出版プロセスを前進させます。プロセス全体を通して、編集者とのやり取りが滞りなく行われるよう心掛け、編集者からの質問には常に対応できる態勢でいるように努めましょう。

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