すべての著者が行うべき研究論文の文法チェック5項目

5 Essential research paper grammar checks every author must do

著者は、評判の良いジャーナルに掲載されるためのリサーチと論文執筆にかなりの時間を費やします。とはいえ、一部の一流ジャーナルの論文リジェクト率は80~85%と推定されており、影響力の高いジャーナルによっては90~95%まで上昇する可能性があります1。アメリカ心理学会(American Psychological Association)のジャーナル運営に関する報告書によると、2020年の研究論文のリジェクト率は全体で約75%でした2。たとえ研究論文が画期的な研究を記述していたとしても、文法に誤りがあるとジャーナル編集者の判断に大きな影響を与える可能性があります。

研究論文の文法に誤りがないことを確認するのは、研究論文の構想から出版までの過程において不可欠なステップです。適切な文法と文章構造は、研究論文の読みやすさを高め、対象読者との効果的なコミュニケーションに役立ちます。提出前に研究論文の文法チェックを徹底的に行うことで、最も一般的な文法ミスを確実に防ぐことができます。軽微な文法ミスや発生頻度の低いミスは、論文の読みやすさにさほど影響しないため、ジャーナル編集者に無視されることがあります。また、このような文法上のミスは、ジャーナルのアクセプト後の最終校正段階で修正されることもあります。しかし、誤りの種類によっては、文章の意味が変わってしまったり、著者の本来の意図とは逆の意味を伝えてしまったりすることがあるため、非常に重要です。したがって、適切な研究論文の表現を確保することは、出版可能な論文を作成する上で最も重要なことなのです。

研究論文でよくある文法ミスとその回避方法

以下は、研究論文でよく見られる一般的な文法の間違いです3,4,5

主語と動詞の不一致

主語と動詞の数は常に一致する必要があります。単数形の名詞には単数形の動詞を、複数形の名詞には複数形の動詞を用いるべきです。主語と対応する動詞の間に前置詞句が存在する場合、これらの句を無視することが動詞との一致を判断する良い方法です。また、複雑な文の場合は、言い換えることで明瞭さと簡潔さが得られる場合もあります。

【間違った文】
The patients who responded to the survey was mostly women.
【正しい文】
The patients who responded to the survey were mostly women.
(主語:The patients、動詞:were、複数形の主語と一致する必要があるため)

【間違った文】
One of the patients were diagnosed with diabetes.
【正しい文】
One of the patients was diagnosed with diabetes.

代名詞の位置の間違い

代名詞は名詞の代わりに使用されるため、先行詞が明確でなければなりません。この問題は通常、言い換えることで解決します。

【間違った文】
The researchers describe the process of gathering information about acetaminophen and discussing it.
(代名詞「it」はacetaminophenを指しているように見えますが、これは不正確であり、意図された意味を変えています)
【より良い文】
The authors describe the process of gathering and discussing information about acetaminophen.

代名詞と動詞の不一致

ある不定代名詞(例:any, each, either, neither, everyone, someone, anybody, nobody, somebody)は常に単数形の動詞をとり、ある代名詞(several, many, both, few)は常に複数形の動詞をとります。また、一部の代名詞(some, most, all, none)はどちらかをとることができます。この簡単なヒントは、代名詞と動詞の数が一致することを確認するのに役立ちます。

Some of the experiments are easy to conduct. At least some of their effort has paid off. Several research papers were discussed at the conference. Neither of them was consulted regarding the plagiarism issue.

短縮形の使用

短縮形とは、例えばdid + not = didn’tのように、2つの単語をつなげて短くしたものです。アカデミックライティングでは形式を守るために、このような短縮形の使用は避けるべきです。

【間違った文】
The authors didn’t conduct the experiment.
【正しい文】
The authors did not conduct the experiment.

ぶら下がり分詞

分詞は形容詞としても機能する動詞の形です。文によっては、これらの分詞が間違った名詞を修飾する場合、「ぶら下がり」と言われます。これを修正するには、文を言い換え、正しい、または意図された主語をできるだけ分詞の近くに置く必要があります。

【間違った文】
Focusing on the deadline, the study was completed quickly by the researchers.
【より良い文】
Focusing on the deadline, the researchers completed the study quickly.

並列構文の誤り

並列構文とは、一連の項目やリストを記述する際に、同じようなパターンの単語を使用することを指します。この誤りは、接続詞 “and “と “or “の後に多く見られます。最終チェックの際は、これらの接続詞を含むリストやシリーズを注意深くチェックし、各項目に正しい接続詞の組み合わせが使われていることを確認しましょう。

【間違った文】
Gerald likes to play chess, eating salads, and reading.
【正しい文】
Gerald likes playing chess, eating salads, and reading.

【間違った文】
The nurse examined the patient by checking the temperature and measured blood pressure.
【正しい文】
The nurse examined the patient by checking the temperature and measuring blood pressure.


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アカデミックライティングにおける研究論文の文法チェックTOP5

しっかりと間違いがなく書かれた研究論文に確実に仕上げるために、提出前に実施できる重要な全体的チェックは以下の通りです。

1. フォーマルな表現: 短縮形や口語表現は避ける

2. 正しい文構造: 主語、動詞、目的語、その他の要素を正しく配置する

3. 主語と動詞、代名詞と動詞の数、性別、先行詞の一致

4. 単語の選択: if とwhether、betweenとamong、especiallyとspecial、affectとeffect、whoとwhomなど、混同されやすい単語を正しく使用する

5. センテンス・フラグメント(主語や動詞が欠けている不完全な文)を避ける

迷ったときは辞書、スタイルマニュアル、ジャーナルのガイドラインなどを参考にするといいでしょう。

参考文献

  1. Khadilkar, S.S. Rejection blues: Why do research papers get rejected? J Obstet Gynecol India 68, 239–241 (2018). https://doi.org/10.1007/s13224-018-1153-1
  2. American Psychological Association. Summary report of journal operations, 2020. American Psychologist 76(5), 827-828 (2021). https://doi.org/10.1037/amp0000884https://www.apa.org/pubs/journals/statistics. [Accessed August 16, 2022]
  3. American Medical Association. AMA Manual of Style. Section 7: Grammar
  4. Onwuegbuzie, A.J. Most Common formal grammatical errors committed by authors. J Educational Issues 3(1) (2017). https://doi.org/10.5296/jei.v3i1.10839
  5. Fogarty, M. Dangling participles. https://www.quickanddirtytips.com/articles/dangling-participles/ (2019).
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この記事を書いた人

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