「0から1をつくり出す作業を強力サポート」Paperpalは英語論文の執筆をより速く、より質の高いものにしてくれるのが魅力~櫻井遼太さん(国際基督教大学 大学院 博士後期課程)にインタビュー~

櫻井遼太さん

国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科博士後期課程に在籍し、近現代日本文学を専門とする櫻井遼太さんに、ご利用いただいているPaperpalについてお話をうかがいました。櫻井さんが英語論文を執筆するうえでPaperpalがどのように役立っているのか、どんな点に魅力を感じているのかなど、詳しくうかがいましたので、ぜひご覧ください。

櫻井遼太さんプロフィール
Ryota Sakurai


国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科博士後期課程在籍。
同大学のキリスト教と文化研究所で助手を務め、大学図書館では日英対応のライティングサポート・チューターとして学生のレポートや論文執筆のサポートも担当。
専門は日本文学、主な研究分野は近現代文学であり、キリスト教に入信した経験を持つ戦後の日本人作家の文学を主に研究対象としている。
American Association of Teachers of Japanese(全米日本語教育学会)、全国大学国語国文学会、日本ピューリタニズム学会、日本比較文学会、日本キリスト教文学会、遠藤周作学会などの学協会に所属。

目次

戦後キリスト者作家の文学をテーマとした英語論文を執筆

櫻井さんの専門は近現代日本文学ということですが、研究内容はどのようなものなのでしょうか?

櫻井 現在の博士後期課程では、小川国夫(1927–2008)や島尾敏雄(1917–1986)などのキリスト教に入信した経験を持つ戦後作家の文学を研究しています。広義には日本文学とキリスト教との関連が主要な研究テーマです。このテーマは、近現代日本文学の領域では割とクラシックな研究課題の一つで、この背景には近代以降の日本文学の潮流が同じ時期に日本社会に浸透してきたキリスト教と密接に関係していることが指摘できます。このため、政治思想、文化史、宗教学などの関連領域と結びつきながら、日本文学とキリスト教というテーマは国内外の研究者によってこれまで盛んに取り組まれてきました。

この一方で、近現代史を通じてキリスト教人口は日本の総人口の1%を上回ったことがなく、この意味においてキリスト者作家は日本の宗教的マイノリティに属していますが、この点はこれまでの研究であまり注目されていません。先に指摘した理由から、近代以降の文学的潮流においてキリスト者作家は周縁的な位置ではなくむしろその中心に在り続けており、このことがマイノリティとしてのこれらの作家の立場を捉え難くしているからです。結果として、キリスト者作家の文学にあらわれる宗教的なシンボルやイメージは作家の思想もしくは宗教学的な関心に基づいて解釈されてきましたが、それらの文学が持つ文化批評的な語りの特徴は十分に明らかになっていません。私はそこに着目して、戦後キリスト者作家の文学を研究しています。

櫻井さんの研究分野でいうと、年間の論文の執筆というのはどれくらいなのでしょうか?

櫻井 具体的な論文数はその年の研究進度や生活状況に左右されると思いますが、1–3本程度ではないでしょうか。私の場合、2022年には日本語論文1本、英語論文の2本の計3本を出版しました。日本語論文は国内誌『ピューリタニズム研究』(日本ピューリタニズム学会)に掲載されたもので、英語論文は国際誌Japan Review (国際日本文化研究センター)への投稿論文とHandbook of Japanese Christian Writers (Japan Documents)に所収された書籍内論文です。これまでの出版状況から言えばこの年は多いほうで、それ以前は年に1–2本でした。現在は、国際誌に投稿中のものが1本あり、査読のセカンドラウンドに向けて論文を書き直していて、そこでPaperpalを利用しています。

英語論文の掲載誌(2022年度)

英語を学術的表現に言い換えてくれるMake Academicなどがとても便利

英語論文執筆にPaperpalを使ってみていかがでしたか?

櫻井 もともとGrammarlyを使っていたのですが、そこにPaperpalが加わり、私のWordにはその2つが現在アドインされています。PaperpalのCopilotをクリックすると、Rewrite, Generate, AskというAIを使った機能が3つあり、これらはGrammarlyにはありません。このうち、Rewriteをクリックすると、さらにParaphrase, Trim, Make Academicと3つの機能に分かれます。例えば、文章を部分的に選択してMake Academicを押してみると、ボキャブラリーや文の構成が修正されて、とても洗練された英語になるんですね。特に私の場合、文学系の論文として好まれるような動詞を出してくれるときに非常に助かっています。最近の私のGrammarlyとPaperpalの使い分けとしては、Grammarlyはスペルチェックのために使用し、もうワンステップ先をいったような部分をPaperpalに頼らせていただいています。

ありがとうございます。Paperpalは出版された論文のデータを学習させているので、学術的な表現ができるのが特徴です。櫻井さんがPaperpalに感じていただいている利点も、まさにそこなんですね。

櫻井 そうですね。学術的な表現の検索方法としては、例えばGoogle Scholarを用いることもできますが、この場合は単語にアスタリスクを付けて検索し、その結果を一つひとつ確認する必要があるため、とても時間がかかります。Paperpalは、こうしたアナログな作業AIが代わりに行ってくれて、こちらが求めているものをうまく出してくれる感じですかね。

櫻井さんは論文を書かれるとき、最初に日本語で論文を書いてから、それを英訳しているのでしょうか? それとも最初から英語で書いているのでしょうか?

櫻井 私は最初から英語で書いています。書くという点においては、英語には冠詞などの日本語には存在しない品詞概念があり、また文章表現においてもセミコロンなど日本語論文には通常使用しない記号を活用するため、はじめから英語で書くほうが様々な翻訳の手間が省けて効率的です。また、書いた論文が読まれるという点においては、日本語圏と英語圏で研究関心やアプローチが異なることがあるため、最初から英語で書くほうが意識的に英語圏の読者をターゲットにして論文を仕上げることができます。このため、GrammarlyとPaperpalを使って白紙の段階から英語で書いています。

具体的には、Wordで文章を書いていて、一つのパラグラフを書き終わったり、あるいは文章が口語表現のようだなと思ったりしたら、PaperpalのMake Academicにかけてみて、学術的な表現に直してもらいます。ここで興味深いのが、Make Academicで学術的な英語が出てくると、そこで使われているボキャブラリーや文の構成に触発されて、「そういう表現ができるなら、こういう表現もできるな」と書き手の私の中からも英語の文章表現が引き出されてくることです。分野を問わず論文執筆のもっとも大変なステージが「0から1をつくり出す作業」だと思いますが、Paperpalがきちんとした学術的な表現を出してくれることで、この負担が軽減されてきたように感じています。

専門用語や、ご自身が意図的に使っている単語について、Paperpalの対応というのはいかがでしたか?

櫻井 そうですね、思いつく限りでは、専門用語などはMake Academicにかけても、置き換えないでそのまま使われています。仮に専門用語が置き換えられたとしても、論文の読みやすさや一貫性の観点から、私の方でもとの表現に直すようにしたいと思います。

Paperpalをご活用いただいている櫻井さんですが、それと同時にエディテージの英文校正サービスもご利用いただいています。その使い分けはどのように考えていらっしゃいますか?

櫻井 確かにPaperpalにはパラフレーズなどのAIによる機能がいろいろとありますが、論文を投稿する際にはそれだけだと不安なところもあります。たとえば、論理展開や専門分野に特有の文章表現については、英文校正サービスで英語が第1言語であり自分の専門に精通した方にチェックしてもらいたいです。あと、英文校正サービスの場合は校正者に質問ができることがメリットですね。修正の意図を質問することで、微妙な文章表現のニュアンスを調節することができます。私は英文校正サービスに出したときに、校正者によく質問させていただくのですが、そうした論文を仕上げる段階における細かい微調整はやはり人と人でないと完結しないプロセスなのではないかと思います。

ほかにも英語論文の執筆にいろいろなツールを使っていると思いますが、Paperpalの魅力はどんなところに感じでいらっしゃいますか?

櫻井 まだすべての機能を使い尽くしたわけではありませんが、やはりCopilotの機能が魅力的です。例えば、Generateの中にはAbstractという機能があります。ワンクリックで論文の要旨を作成してくれることを知ったときには驚きました。実際にその要旨を読んでみると、論文から幾つかセンテンスがそのまま切り取られて作成されていました。もちろん、論文を投稿するときは多少手を入れることになりますが、書き手にとっては「0から1をつくり出す作業」が一番大変なので、この「1」ができてくれるのはとても助かります。それを修正する作業であればそれほど負荷がかからないので、この機能はぜひ今後活用させていただきたいと思っています。

あとはまだ使ったことはないのですが、アウトラインやタイトルを生成する機能もぜひ使ってみたいです。英文校正サービスの際に自分のつけた論文タイトルやセクションタイトルが内容を反映されたものになっているか校正者によく確認するのですが、Paperpalを使うことでそこがどうなるのか、楽しみにしています。

Paperpalは論文を書くスピードも論文の質も両方を上げることができる

そうすると、今後英語論文を新しく書く際に最初からこのPaperpalがあれば、論文執筆は大きく変わってきそうですか?

櫻井 はい、先に述べたAIによる機能を使うことで、論文を書くのが速くなるのではないかと思います。また、まだ使ったことはないのですが、Paperpalに搭載されているOutlineの機能もこの点で役立つことを期待しています。今のところ、私はOneNoteで考えを整理したりパラグラフ単位で細かいアウトラインを作ったりしているのですが、そういった作業をどのようにサポートしてくれるか楽しみです。

また、繰り返しになりますが、Make AcademicなどのCopilotの機能を使えるのもかなり強みだと思いますね。私は博士課程に入る前にアメリカの大学に2年間勤めていましたが、そのとき感じたことは英語の書き言葉と話し言葉の違いです。あらためて考えてみれば当然のことかもしれませんが、話し言葉と違って書き言葉、特に学術的な文章表現はその言語圏に住んでいれば自然と身につくものではなく、地道なトレーニングが必要です。アカデミック・ライティングは第一言語の如何を問わず、鍛えなければいけないものだと思います。

学術的な英語の文章表現を身につける、その鍛え方はいくつかあると思います。オーソドックスな方法は、良く書かれた論文を読み、そこで使われているテクニックを自分の論文に活かすということだと思います。もちろん、これには時間も労力もかかります。一方で、Paperpalは自分が書いた文章を出版された論文データをもとに学術的に直してくれる。AIのESLスペシャリストが添削してくれる、とでも言うのでしょうか、そこまで一足飛びに直してくれるのはすごく便利ですね。どういう言葉を使えばいいのか調べるところからのスタートではなく、目の前に検討材料(修正された文章)が出てきて、それを使うか使わないかを決める。あるいは、Copilotが修正した文章に触発されて、自分の中に使われずにしまわれていたボキャブラリーが引き出されてくる。こうした人口知能と自分の脳との“相互作用”によって、ライティングのトレーニングが効率よく進むのではないかと思います。

なるほど。先ほどおっしゃられたように、やはり0を1にする作業が一番大変で、そこをPaperpalがやることで、時間の使い方も変わってくるのですね。櫻井さんの場合、量的な変化だけでなく、質的な変化も大きかったですか?

櫻井 そうですね。論文を書いていると、必ず何度か行き詰ることがあります。「トピックセンテンスが思いつかない」「何を書かなくてはならないかは分かっているが、どう書くか決めかねる」など、日常茶飯事です(苦笑)。ただ、PaperpalなどのAIツールがあることで、漠然と書けなくて悩むのではなく、どの単語を使うか/使わないか、こうした表現があるなら他にはどのような表現があったか、など悩みが具体的になります。結果として、仮にその日はあまり書けなかったとしても、不毛な時間としてではなくいくらか収穫があったという実感を持ちながらその時間を終えることができます。論文執筆は知的重労働であるとしばしば言われますが、日々これに従事する人にとってこのようにポジティブに一日を終えるというのはメンタル面で結構大事なのではないかと思っています。

論文執筆作業が簡単になれば、より多くの論文を書いていこうという方向になりそうですか?

櫻井 もちろん、論文を多く書きたいという気持ちはいつもあります。しかし、実際には1日の限られた時間のなかで、他の仕事や育児などをこなしながらでの執筆となると、思ったように論文を書く作業が進まないことは往々にしてあります。また、論文を書きながら別の論文のアイディアが浮かんできても、まずは今取り組んでいる論文を書き切らなくてはいけない。全体を通じて、論文執筆は非常にかなり忍耐のいる作業ですね。

少しでもPaperpalが今後の櫻井さんの論文執筆の役に立てればうれしいです。最後に、これからPaperpalを使おうと思っている方に、何かメッセージなどはありますか?

櫻井 英語論文の執筆にPaperpalをぜひ使っていただきたいと思います。特にCopilotの機能ですね。Rewrite, Generate, AskといったAIの機能が用意されていて、これらが自分の書いた文章を学術的な英語の文章表現に直してくれるので、とても助かります。論文を書くスピードも上がりますし、書いているときの思考を整理する上でもすごく役立つツールだなと思います。

本日は貴重なご意見をありがとうございました。


Paperpalは、リアルタイムに言語と文法を修正するための提案を行い、著者がより良い文章をより速く書くことを支援するAIライティングアシスタントです。プロの学術編集者によって強化された何百万もの研究論文に基づいてトレーニングされており、機械的なスピードで人間の精度を提供します。

Paperpal
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この記事を書いた人

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