エディテージ・グラント2023大賞を受賞-WANG TINGさんにインタビュー

エディテージ・グラント2023にて大賞に選ばれたWANG TINGさんに、大賞に選ばれた喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。

WANG TINGさんプロフィール
Wang Ting


2016年9月に北海道大学・大学院環境科学院の修士課程に進学するために初来日。最初の半年は研究生として渡辺悌二教授の研究室で勉強・研究を行い、2017年4月に修士課程に入学。同研究室で大雪山国立公園の黒岳野営指定地を研究対象として、高山帯の野営活動による環境荒廃問題・混雑問題およびその適切な管理について研究を始める。2019年3月に修士課程を修了し、同年4月に同じ環境科学院の博士課程に進学。博士課程では空中写真マッピング、UAVマッピングおよびラプスカメラなどの測量・モニタリング手法を使って、大雪山国立公園全域の野営指定地を対象に、その荒廃状況・利用状況を把握。さらに、日本国内および海外の山岳国立公園の野営場管理の事例を参考にした上で、大雪山国立公園をはじめとする山岳国立公園における持続可能なキャンプサイト(野営場)の管理対策を作成。2022年12月に博士課程を修了。
現在は北海道大学・大学院地球環境科学研究院・博士研究員

受賞した研究内容について

3次元マッピングの手法を山岳国立公園管理者・地元ステークホルダーなどの非研究者に普及することにより、非研究者の力により広範囲にわたって登山道・キャンプサイトの荒廃データを効率的・継続的に取得・蓄積することを促進。山岳国立公園内の土壌侵食問題の削減に必要となる新たな管理枠組みの構築を目的とした研究です。

エディテージ・グラント2023大賞を受賞して

エディテージ・グラントの大賞を受賞できたことで、ドローンと組み合わせて使う調査設備を確保できました。さらに大雪山国立公園(日本)およびサガルマータ国立公園(ネパール)において、野営指定地・登山道の土壌侵食問題についての継続的なモニタリングを実施するための旅費もいただくことができ、本当にうれしく思います。100万円の助成金は、主に応募した研究に必要な調査道具・備品の購入、フィールドワークの旅費の一部の支出および研究結果を公表するための準備(英文校閲)に使いたいと思います。

ご自身の研究について

普段は山岳国立公園内の登山道・キャンプサイトをメインの調査対象として、UAV(ドローン)やモバイルLiDARなどの先端技術を使って、高繊細な3次元マッピングを行っています。登山・野営活動による環境の荒廃問題の把握・モニタリングおよびそれらの問題の解決を目指して、関係した地元ステークホルダーや利用者の意見を考慮した上で、適切な管理対策の作成・改善を促進するような研究を行っています。

恵まれた自然環境を保護・保全すると同時に質の良いレクリエーション経験を提供するという2つの役割を果たしている国立公園は、私たち人間の健康的かつ質の良い生活を維持するには欠かせない財産です。ところが、レクリエーション活動を行うと、環境に悪いインパクトをもたらすことは避けられません。適切な管理により、そういうレクリエーションのインパクトを削減することが大きな課題となっています。特に、環境が脆弱でアクセスが悪い高山帯においては、その管理が喫緊の課題となっています。この研究分野では、自然科学と社会科学との2つのアプローチから課題の解決に直接貢献でき、世界の持続可能な山岳国立公園管理を促進させることができる点に一番惹かれています。

今後は多分野・多国間の連携を積極的に図り、国立公園をはじめ世界の山岳型自然保護地域の保護・保全およびその持続可能な利用に貢献できる研究をしていきたいです。

エディテージ・グラントに応募した理由

普段から、エディテージの英文校閲サービスを使っていて、エディテージの公式メールアカウントから2023年度のグラント応募者を募集するとのメールがあり、応募しました。博士号を授与されたばかりの研究員として、1人前の研究者になるまでの旅はまだまだ長いです。研究のアイデアに花を咲かせるには、努力だけではなく、経済的な支援が不可欠なものだと切に感じていました。エディテージ・グラントは多分野の若手研究者への支援を重視している助成プログラムです。自分の研究アイデアを異分野の専門家の前で披露することで、異分野の専門家がどのように私の研究を評価してくださるのかを知りたかったことから、今回、応募を考えました。

エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと

これまで助成金を応募した経験はまだあまり多くはないため、用途や応募方法の面では特に他のグラントとの大きな違いは感じませんでした。ただ、申請書の中に「将来5年、10年の目標について書いてください」という項目があり、各応募者に自分の将来像について記述してもらう点が特別だと感じました。応募にあたって工夫したのは、自分の研究アイデアをわかりやすく伝わるために、申請書を作成する時も2次選考のインタビューの時も、文章の構成や図表の使いについて時間をかけて考えたことです。応募した後の対応、インタビュー前の案内およびセレモニーへの招待までエディテージ・グラントを企画したカクタスグループの一人一人との触れ合いの中から、若手研究者への期待および心からの支えを深く感じました。

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この記事を書いた人

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