剽窃と言い換え:その違いを理解する

Plagiarism vs Paraphrasing

剽窃と言い換え(パラフレーズ)

  • 「剽窃」とは、適切な出典明示なしに他人の成果を自分のものとしてしまうことです。
  • 「言い換え(パラフレーズ)」とは、他人の考えを自分の言葉で表現し、適切な出典を明記することです。

はじめに

私たちの多くが「剽窃(盗用)」について最初に覚えているのは、学校で先生から「お互いの課題を写してはいけない」と言われたことではないでしょうか。

「コピーするのは悪いことだ」 

この考えは、幼い頃から私たちの脳に叩き込まれてきました。しかし、大人になってみると、研究者は他人の研究成果を基に自分のアイデアを構築していることに気づきます。これはコピーには当たらないのでしょうか? その答えは複雑です。研究の世界では、「剽窃」や「言い換え」といった用語はしばしば混乱を招きがちです。この記事を読んで、それらの用語を明確にしておきましょう。

剽窃とは

剽窃とは、他人のアイデア、研究、または発見を自分のものとして提示し、出典を明記しないことを指します。意図的な剽窃(直接的な剽窃とも呼ばれます)は、著者が自身の行為を認識しながらも、あえて非倫理的な行為を行うことを指します。時には、意図せず剽窃してしまうこともあります。著者が、他者の論文の内容を「言い換えた」だけだと考えており、自分の行為が剽窃とみなされる可能性があることに気づいていない場合です。

言い換え(パラフレーズ)とは

言い換え(パラフレーズ)とは、すでに公表されているアイデアや研究結果を自分の言葉で書き直し、出典を明記することです。これは2つのステップからなる行為であることを覚えておいてください。

  • まず元の文章を言い換える
  • その後に出典を明記する。

このステップのどちらかでも欠けていた場合、それは剽窃となります。

剽窃の種類

剽窃には、意図的な場合もあれば、偶発的な場合もあります。とはいえ、各ジャーナルがどのような内容を剽窃とみなしているかを理解しておくことは、自身の研究において剽窃を避ける上で役立ちます。ここでは、『International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism』に掲載された研究論文[1]を例に挙げながら、3つの代表的な剽窃の形態について解説します。

直接的な剽窃(コピペ剽窃)

公開済みの研究論文から文章をそのまま自分の論文にコピーした場合、それは直接的な剽窃にあたります。出典を明記していたとしても、原文をそのままコピーしている以上、それは剽窃であることに変わりはありません。

例:

Smith et al. (2022) の論文における原文:

It is recommended that mixed participant studies assess each participant classification separately.

あなたの文章:

It is recommended that mixed participant studies assess each participant classification separately.

なぜ剽窃と見なされるのでしょうか? 第一に、原文から一切変更を加えず、そのまま文章をコピーしていること。第二に、適切な出典の明示がないことです。引用符を使用しておらず、出典も明記していません。次のように修正するといいでしょう。

Smith et al. (2022) recommend separate assessment of participants classified into categories, especially when the participant group is mixed. 

情報を出典を明記し、自身の研究にとって重要な点を反映するように表現を修正することで、適切な文章を作成することができます。

言い換えによる剽窃 (Paraphrasing plagiarism)

言い換えによる剽窃とは、他者のアイデアを書き換えたものの、出典を明記しない場合に発生します。つまり、文章自体は自分のものであっても、そのアイデアは他人のものなのです。そして、出典が明記されていない場合、それは剽窃とみなされます。 

例:

Smithら(2022)の論文における原文:

By identifying strengths and gaps in the quantity and quality of the existing literature, sports practitioners and academics can uncover underdeveloped topics or potential problems with the quality of research in relation to female athletes.

あなたの文章:

Identifying strengths and gaps in both quantity and quality of existing literature is a great way for sports practitioners and academics to recognize less-explored topics and possible issues with research quality with respect to female athletes.

原文を言い換えていますが、アイデアの出典を明記していないため、剽窃とみなされます。修正方法は以下の通りです。

According to Smith et al. (2022), for sports professionals and scholars, one way of recognizing emerging topics and potential issues with research quality concerning female athletes is to assess the strengths and weaknesses in both the quantity and quality of current literature.

この文章では、アイデアの出典が正確に明記され、正しく言い換えられています。

モザイク型剽窃(mosaic plagiarism)

仮に、言い換えを行い、出典を明記したとしても、言い換えの仕方が重要です。もし、原文の単語をいくつか、例えば同義語に置き換える変更をしただけなら、そこにはあなた自身の考えは一切含まれておらず、単に文章の読み方を変えて、原文とわずかに異なるようにしたに過ぎません。これがモザイク剽窃です。

例:

Smithら(2022)の論文における原文:

It is noted that specific allocation of these themes will likely change according to the topic or subdiscipline of SSSM being assessed and may involve some subjectivity.

あなたの文章:

Smith et al. (2022) noted that particular allocation of themes is likely to modify according to the topic or subdiscipline of SSSM being evaluated and may include some subjectivity.

太字の部分に注目してください。これだけが変更した箇所です。文頭で原著に言及しているにもかかわらず、文章自体にオリジナリティが欠けていることが際立ち、その結果、剽窃チェックツールがその文章を剽窃と判定する原因となります。代替え案は以下の通りです。

The allocation of research themes is subjective when exploring the subdisciplines under sports science and sports medicine (Smith et al. 2022).

違いがわかりますか? 原文で提唱されているアイデアを採用しつつ、それを自分の言葉で表現し、適切な出典を明記しています。これが適切な書き方です。

正しい言い換えの方法

ここまで、剽窃の原因とそれを回避する方法について見てきました。要するに、正しく言い換えを行い、出典を明記する必要があるということです。出典を明記するという点は簡単ですが、言い換えについてはどうでしょうか? 以下に、役立つ4つのヒントを紹介します。

  • 原文を最後まで読み、内容を完全に理解しましょう。著者は何を伝えようとしているのでしょうか? そして、そこからあなたは何を読み取りましたか? 内容を明確に把握してください。
  • 概念が明確になったら、記憶を頼りに理解した内容を書き出しましょう。原文を繰り返し見返すと、自分の考えが原文に左右されてしまう可能性があるため、避けるようにしてください。
  • 次に、自分の文章と原文を比較します。核心となるメッセージは同じでありながら、使われている言葉が異なっていることを確認してください。
  • 最後に、適切な出典明示を行います。どの部分が引用されたかが明確になるよう、その文の直後(またはその近く)に出典を明記してください。

剽窃への対応は、特に長文の研究論文を執筆・編集する際には判断が難しいことがあります。多くのジャーナルでは、査読前のスクリーニング段階で、サードパーティ製または自社開発の剽窃チェックツールを用いて投稿論文を確認しています。

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投稿前の最終確認としてぜひご活用いただき、安心して論文をご投稿ください。

参考文献

1. Methodology review: a protocol to audit the representation of female athletes in sports science and sports medicine research https://doi.org/10.1123/ijsnem.2021-0257 


この記事はエディテージ・インサイト英語版に掲載されていた記事の翻訳です。エディテージ・インサイト ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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