AIツールを使ったグラフィカルアブストラクトの作成方法

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研究者にとって、グラフィカルアブストラクトの作成は、すでに多忙なスケジュールにさらに負担をかける作業だと考えがちです。さらに、デザインが専門分野でない場合、完成したビジュアルアブストラクトの効果をどのように検証すればよいのでしょうか? 幸いなことに、グラフィカルアブストラクトの作成プロセスを円滑に進めるのに役立つツールやサービスがいくつかあり、その中には人工知能(AI)を活用したものもあります。

自分で作成する方法

グラフィカルアブストラクトを自分で作成しようとお考えですか? それでは、まずはそのプロセスに役立つ適切なデザインツールを探してみましょう。AIデザインツールである場合もあれば、そうでない場合もあります。実際、どのツールを選ぶかは、あなたの要件次第です。

1. デザイン・イラストレーションツールの活用

CanvaやAdobe Illustratorといった人気のデザインツールは、非常に使いやすく操作も簡単で、視覚的に魅力的なデザインを作成できます。しかし、これらのツールは、マーケティングコンテンツのプロモーションやソーシャルメディア用ポスターの作成など、学術的な用途よりも非学術的な用途に適しています。  

一方、Mind the GraphやBioRenderといったツールは、科学的なイラストの作成を容易にするために特別に開発されています。これらのツールは、科学分野に関連する専門的なアイコンやグラフィックに加え、テンプレートも提供しており、効果的なビジュアルアブストラクトの作成を支援します。以下のようなオプションが利用可能です。

  • テーマ別テンプレート
  • ニュートラルテンプレート
  • ドラッグ&ドロップ機能
  • カスタマイズ可能なアイコン

ジャーナルの要件を満たしつつ、さまざまなサイズや向き(横向きまたは縦向き)のグラフィカルアブストラクトを作成できます。

以下に、Mind the Graphで利用可能なテンプレートの例をいくつか紹介します。これらは、必要に応じてカスタマイズ可能です。

テンプレート例 1:メイン見出しの後にサブ見出しが続くこの形式は、明確なメッセージを伝える必要がある簡潔な研究に最適です。このような単一パネルのデザインは、一連の出来事を説明したり、一連の科学的結論を描写したりするのに使用できます。 

テンプレート例 2:このニュートラルテンプレートを使用すると、研究内容を3つのパネルに分割できます。例えば、研究の背景、方法論・分析、そして主な発見の順に提示することができます。

テンプレート例 3:よりプロセス重視の研究においては、以下のテンプレートのように、視覚的な手がかりを通して手順を説明するテンプレートが役立ちます。図の横に、関連性がありながらも簡潔な説明文を加えることで、研究の重要なメッセージを伝える包括的なデザインを実現できます。

2. 画像生成におけるAIプロンプトの活用

生成AIツールは、画像作成を大幅に簡素化しました。では、グラフィカルアブストラクトの作成にも役立つのでしょうか? 確かに、グラフィカルアブストラクトの作成プロセスを大幅にスピードアップすることは可能です。ただし、期待通りの結果を得るためには、適切なプロンプトを使用する方法を理解しておく必要があります。  

以下は、異なるプラットフォーム(無料版)で同じプロンプトを使用して作成された2つのグラフィカルアブストラクトです。以下の例のように、テキストによるアブストラクトと特定のプロンプトを入力することで、グラフィカルアブストラクトを作成できます。 

プロンプト:ChatGPTとGeminiという2つの生成AIプラットフォームに、レビュー論文[1]のアブストラクトとともに、シンプルでわかりやすいプロンプトを入力しました。

Create a graphical abstract for the following academic research paper abstract. Use simple easy-to-understand visuals: The purpose of this narrative review is to critically appraise recent advances in sports injury rehabilitation—primarily focusing on biopsychosocial (BPS) approaches alongside emerging technological innovations—and identify current gaps and future directions. A literature search was conducted in PubMed, Scopus, and Web of Science for the years 2018–2024. Eligible records were English-language, human studies comprising systematic reviews, clinical trials, and translational investigations on wearable sensors, artificial intelligence (AI), virtual reality (VR), regenerative therapies (platelet-rich plasma [PRP], bone marrow aspirate concentrate [BMAC], stem cells, and prolotherapy), and BPS rehabilitation models; single-patient case reports, editorials, and non-scholarly sources were excluded. The synthesis yielded four themes: (1) BPS implementation remains underutilized owing to a lack of validated tools, variable provider readiness, and system-level barriers; (2) wearables and AI can enhance real-time monitoring and risk stratification but are limited by data heterogeneity, non-standardized pipelines, and sparse external validation; (3) VR/gamification improves engagement and task-specific practice, but evidence is dominated by pilot or laboratory studies with scarce longitudinal follow-up data; and (4) regenerative interventions show mechanistic promise, but conclusions are constrained by methodological variability and regulatory hurdles. Conclusions: BPS perspectives and emerging technologies have genuine potential to improve outcomes, but translation to practice hinges on (1) pragmatic or hybrid effectiveness–implementation trials, (2) standardization of data and intervention protocols (including core outcome sets and effect-size reporting), and (3) integration of psychological and social assessment into routine pathways supported by provider training and interoperable digital capture.” 

(日本語参考訳)
「以下の学術研究論文の要旨について、グラフィカルアブストラクトを作成してください。シンプルで分かりやすい視覚的要素を使用してください:このナラティブレビューの目的は、スポーツ傷害におけるリハビリテーションの最近の進歩(主に生物心理社会モデル(BPS)アプローチと新興技術革新に焦点を当てたもの)を批判的に評価し、現在のギャップと将来の方向性を特定することです。文献検索は、2018~2024年を対象にPubMed、Scopus、Web of Scienceで実施しました。対象となる記録は、ウェアラブルセンサー、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、再生療法(多血小板血漿[PRP]、骨髄吸引濃縮液[BMAC]、幹細胞、増殖療法)、およびBPSリハビリテーションモデルに関する系統的レビュー、臨床試験、およびトランスレーショナル研究を含む英語のヒト研究でした。単一患者の症例報告、社説、および非学術的な情報源は除外しました。統合分析の結果、次の4つのテーマが明らかになりました。(1) 検証済みのツールの不足、医療提供者の準備状況のばらつき、システムレベルの障壁のために、BPS の実装は十分に活用されていない。(2) ウェアラブル機器と AI はリアルタイムのモニタリングとリスク層別化を強化できるが、データの不均一性、標準化されていない処理プロセス、外部検証の不足によって制限されている。(3) VR/ゲーミフィケーションは患者の関与度や課題に特化した練習を向上させるが、エビデンスはパイロット研究または実験室研究が中心で、長期的な追跡調査データは少ない。(4) 再生医療的介入はメカニズム的には有望だが、結論は方法論のばらつきと規制上の障害によって制約されている。結論: BPS の視点と新興技術は、治療成果を改善する真の可能性を秘めているが、実臨床への応用は、(1) 実用的またはハイブリッドな有効性実装試験、(2) データと介入プロトコルの標準化 (コアアウトカムセットや効果量報告を含む)、(3) 医療従事者のトレーニングと相互運用可能なデジタルデータ収集システムによってサポートされる、心理的・社会的アセスメントの日常的な診療プロセスへの統合が不可欠である。」

ChatGPTによって作成されたグラフィカルアブストラクト 

ChatGPTは、アブストラクトの内容を視覚的にまとめた以下の画像を単一のプロンプトで出力しました。ご覧の通り、まずグラフィカルアブストラクトのタイトルが表示され、レビューの主要テーマが強調されています。さらに、既存の課題が適切な図解アイコンとテキストで示され、その後、今後の研究の方向性が示されています。 

重要な部分は簡潔にまとめられているものの、グラフィカルアブストラクトの上半分にある「Regulatory & Methodological Hurdles」など、重複した記述がいくつか見受けられます。さらに、バーチャルリアリティと再生医療を表すアイコンが、スポーツ傷害のリハビリテーションにおける現在の課題の一つとして統合されているように見えます。これは視覚的に適切とは言えず、研究のメッセージを歪める恐れがあります。

Geminiによって作成されたグラフィカルアブストラクト

Geminiに同じプロンプトを入力したところ、まずはアブストラクトをパネル形式で視覚的に表現する方法を説明するフローチャートが生成され、使用可能なアイコンやコンテンツについて解説されました。以下の画像を得るには、次のように2つ目のプロンプトを入力する必要がありました。「Give me a ready-to-use image by creating the panels with appropriate textual content.(適切なテキストコンテンツを含むパネルを作成し、すぐに使える画像を生成してください。)」

ご覧のとおり、スポーツ傷害のリハビリテーションに関する研究の現状、課題、および今後の方向性を示す、わかりやすい3パネルのグラフィカルアブストラクトが作成されました。「RECENT ADVANCES & CURRENT STATUS(最近の進展と現状)」のパネルでは、4つのカテゴリーが明確に示され、知見のギャップが強調されています。2番目のパネルでは、既存の手法の導入における課題が取り上げられ、3番目のパネルでは、将来的な応用に向けたロードマップが視覚的にまとめられています。

しかし、2番目のパネルで言及されている「BARRIERS To CLINICAL PRACTICE(臨床実践における障壁)」は完全には明確ではなく、看板の1つに判読しにくい文字が見られます。また、壊れた橋の図は、本研究の文脈とは関連性が薄いように思われます。さらに、タイトルは「Critical appraisal of…(2018-2024): Present state, Gaps, and Strategic directions」といった、より適切な表現に変更すべきでしょう。 

AI生成のグラフィカルアブストラクトを改善する方法

上記の2つの例はいずれも、結果が完璧とは言えません。つまり、AIの出力は、完成品としてではなく、グラフィカルアブストラクト作成の出発点として扱う必要があります。例えば、上記のグラフィカルアブストラクトは、Canva上で修正を加え、誤りを訂正し、全体的な見栄えを向上させることができます。必要に応じて、背景色の変更、画像の一部の削除、フォントの変更、アイコンの差し替えなども可能です。

つまり、適切なプロンプトの使い方を学び、デザインツールの特定の機能の活用方法を習得すれば、ジャーナルへの掲載に耐えうる効果的なグラフィカルアブストラクトを作成することができるということです。

ただし、ジャーナルにより生成AIに対するガイドラインは異なりますので、事前に投稿先のガイドラインをしっかりと確認したうえでご利用ください。

プロのグラフィカルアブストラクト作成サービスを利用しましょう

グラフィカルアブストラクトを自分で作成するのが時間がかかりすぎたり、負担に感じられる場合は、プロのグラフィカルアブストラクト作成サービスを利用することもできます。エディテージでは、投稿先のジャーナルの投稿ガイドラインを確認し、研究の重要な部分を強調しつつ、視覚的にも魅力的で科学的に正確なデザインを作成します。完成した成果物は、ご希望の形式(jpg、pdf、png、tiffなど)で納品され、結果に満足いただけるまで、当社のデザイン専門家と共同作業を行うことが可能です。

こちらは、エディテージがクライアントのためにグラフィカルアブストラクトを作成する過程を示すビデオデモです。テキスト形式のアブストラクトから抽出した生データをもとに、Adobe Illustratorを使用してビジュアルアブストラクトを作成する様子をご覧いただけます。

参照

1. Sports injury rehabilitation: A narrative review of emerging technologies and biopsychosocial approaches https://doi.org/10.3390/app15179788 

グラフィカルアブストラクト制作ページはこちらから

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
今日、エディテージは専門家によるサービスとAIツールの両方を用いて、研究のあらゆる段階で便利に、安心して使っていただける包括的なソリューションを提供しています。