論文フォーマットスタイルガイドは数多く存在し(学術誌独自のスタイルガイドを作成していることもあります)、どれを使えばよいか迷うことがあります。また、投稿先の学術誌が初回投稿時にどのスタイルでも可能としている場合はどうすればよいでしょうか?
この記事では、本文中の引用と参考文献リストにおけるアメリカ心理学会(APA)スタイルガイドの使い方と、APAスタイルにおける他のフォーマットの基本的な概要を説明します。
APAスタイル(APA形式)とは?
APAスタイルガイドは、研究論文、学位論文、博士論文、症例報告などの学術文書の書式について、アメリカ心理学会が定めた公式の標準フォーマットです。以下の書式設定に関するガイドラインが含まれています:
- ページレイアウト
- フォント
- 余白
- 行間
- 見出しスタイル
- 段落スタイル
- および引用・参考文献リスト
「APAスタイルの目的と重要性」
APAスタイルは、社会科学、行動科学、社会学、心理学、人類学、政治学分野の学生が広く活用しています。また、多くの学術誌では、研究論文の初回投稿時にもAPAスタイルが推奨されています。
APAスタイルガイドの目的は、科学的知見を報告する際の書式や文章、そして引用源の記載における一貫性と明瞭性を保つことです。そのために、以下のことが重要です。
- 読みやすさを高めるために論文の構造を標準化すること
- 研究結果とその意義を効果的に伝えること
- 出典の正確な記録を維持すること
- 報告時の個人的分析における偏見を排除すること
- 研究準備における専門家らしさを示すこと
第7版(2019年出版)の最新版の概要
APAスタイルマニュアル第7版は2019年に出版されました。APAスタイルガイドは、著者が研究論文の書式化に直接使用できるテンプレートを提供しています。APAスタイルで研究論文を書式化する際の基本的な注意点は、
- 四方に1インチの余白を設ける
- 12ポイントのセリフ体フォント(Times New Romanなど)を使用し、ダブルライン間隔(2行間隔)を設定する
- 段落の最初の行は0.5インチインデントする
- ページ番号は右上に記載する
- 全ページの左上に、スペースを含む50文字以内のランニングヘッド(論文タイトルの略記)を記載する
APAスタイルにおけるレイアウトと書式
フォントとサイズ:推奨フォント(セリフ体とサンセリフ体)
APAスタイルガイドは、原稿全体で判読性が高く、読みやすく、一貫性のあるフォントの使用を著者に求めています。推奨されるフォントには、以下のようなセリフ体(明朝体)フォントが含まれます:
- Times New Roman (12 pt)
- Georgia (11 pt)
- Computer Modern (10 pt)
また、以下のようなサンセリフ体(ゴシック体)フォントも使用できます:
- 12-pt Aptos,
- 11-pt Arial or Calibri, and
- 10-pt Lucida Sans.
フォントの種類やサイズの選択は、投稿要件によって異なります。たとえば、学術誌は初回投稿時のページ数に制限を設けている場合があり、フォントの種類やサイズによりページ長が異なるためです。投稿規定に従って、自分の原稿に最適なフォントを選んでください。
余白と行間:上下左右すべて2.54 cm(1インチ)、ダブルスペース(2行間隔)
APAスタイルマニュアルは、ページ四方に1インチ(2.54cm)の余白を保つことを規定しています。ただし、学位論文や博士論文の投稿はこのルールが柔軟に適用されます。たとえば、指導教員から製本を紐じるために左に1.5インチの余白を設けるよう指示があれば、それに従ってページレイアウトを変更してください。
APAスタイルガイドでは、論文のほとんどのセクションにおいてダブルスペース(2行間隔)を推奨しています:
- アブストラクト
- 本文
- ブロック引用
- 表・図のキャプション
- 参考文献リスト
しかし、いくつかの例外もあります。例えば、表のセル内の記述は、提示する情報が最も見やすくなる形式に応じて、シングルスペース(1行間隔)またはダブルスペース(2行間隔)のどちらにしても構いません。同様に、図の中のテキストも、必要に応じてシングルスペースにすることができます。脚注を使用する場合は、Wordドキュメントのデフォルト(初期)設定に従い、シングルスペースの小さめのフォントにします。
ページ番号とランニングヘッド:右上配置のルール
すべてのページに番号を付ける必要があります。ページ番号は表紙ページから始まり、各ページの右上に記載してください。
APAスタイルガイドでは、すべてのページにランニングヘッドを含めることも求めています。ランニングヘッドとは、論文のタイトルを短縮したもののことです。元のタイトルがすでに短い場合は、短縮する必要はありません。学生がランニングヘッドを使用するかどうかは、指導教員、担当教官、または大学のガイドラインの判断(指示)に委ねられます。以下に、APAスタイルにおけるランニングヘッド作成の基本的なガイドラインを示します:
- すべて大文字(英大文字)で表記します。
- スペース(空白)を含めて、50文字以内に収めてください。
- タイトルページ(表紙)を含む、すべてのページに配置します。
- 左余白に沿って左寄せにし、右側にあるページ番号と同じ行に配置します。
APAスタイルの構成要素と執筆
APAスタイルマニュアルは、学術文書の7つの主要セクションを規定しています。各セクションに対し、スタイルガイドは具体的な書式および執筆上の指示を示しています。
タイトルページ(表紙)
学生の提出論文と学術誌への投稿論文は、どちらも原稿の冒頭に独立したタイトルページ(表紙)を設ける必要があります。ただし、タイトルページの書式や記載内容は、この2つでそれぞれ異なります。
学生用タイトルページの構成要素
- 論文タイトル: 中央揃え、太字にし、主要な単語の頭文字を大文字で表記します。
- 著者名: タイトルの下に1行分の空白を空けて中央揃えにします。著者が2人の場合は「and」でつなぎ、3人以上の場合は各著者名の間にカンマ(,)を使用します。
- 著者所属: 著者名の下に中央揃えにします。大学、機関、専門学校などの名称に加え、学部や学科名も記載します。
- コース(科目)の詳細: 所属の下に中央揃えにします。コース番号(科目コード)と科目名を明記します。
- 指導教員名: コース情報の下に中央揃えにします(教授や担当教官の名前)。
- 提出期限日: 指導教員名の下に中央揃えにします。お住まいの地域や国で一般的に使われている標準的な日付形式で、課題の提出期限日を記載します。
- ページ番号: Wordのページ番号挿入機能を使用して、右上の角にページ番号を挿入します。
研究者向け(学術誌投稿用)タイトルページの構成要素
- 論文タイトル: 中央揃え、太字、主要な単語の頭文字を大文字で表記します。
- 著者名: タイトルの下に1行分の空白を空けて中央揃えにします。著者が2人の場合は「and」を使用し、3人以上の場合は各著者名の間にカンマ(,)を使用します。複数の著者の所属機関が異なる場合は、名前の横に上付き数字を付して、正しい所属機関を示します。
- 著者所属: これは研究が実施された機関を指します。異なる所属機関を持つ複数の著者がいる場合は、それぞれを中央揃えにし、対応する上付き数字の後に新しい行(改行)で記載します。
- 著者ノート: タイトルページの下半分あたりに、中央揃えかつ太字で「Author Note」と記載します。著者のORCID(研究者識別子)の詳細が利用可能な場合は、それも含めてください。
- ランニングヘッド: ページヘッダーの左側に配置(左寄せ)し、すべてのページに表示させます。
- ページ番号: ページヘッダーの右側に配置(右寄せ)し、ランニングヘッドと同じ行に並べます。Wordのページ番号挿入機能を使用して、すべてのページに挿入してください。
アブストラクト
APAスタイルガイド第7版には、アブストラクトとキーワードに関する明確なガイドラインが設けられています。学生の課題の場合、アブストラクトやキーワードが必要ない場合もありますが、大学のガイドラインについて担当教員または指導教員に確認してください。
APAスタイルのアブストラクトは250単語以内で作成します。研究全体の包括的な概要を示し、以下の内容について簡潔に述べる必要があります:
- 研究の背景(文献レビューの要点)
- 明確にした研究課題
- 研究デザインやサンプル(調査対象)の説明を含む、使用した研究方法
- 研究の主要な結果と知見
- 研究がもたらす意義や示唆
アブストラクとの作成には、上記で紹介した推奨フォントのいずれを使用しても構いません。要約は常にタイトルページの直後に配置するため、原稿の2ページ目に位置することになります。余白や行間といったページレイアウトは、論文の他の部分と同様の設定(上下左右2.54 cm、ダブルスペース)を維持します。まず、ページの1行目に「Abstract」という見出しを太字・中央揃えで配置します。要約の本文はその1行下から開始し、字下げ(インデント)をせずに、1つの段落として記述します。
キーワードのリストはアブストラクトの下に記載します。見出しは『Keywords』とイタリック体で記載し、キーワードは同じ行に小文字(固有名詞を除く)で列記し、イタリック体にしず、コンマで区切ります。リストの最後のキーワードの後にピリオドは付けないでください。
導入
APAスタイルにおいて、「導入」は研究原稿全体のトーンを決める非常に重要なセクションの一つです。導入セクションを執筆する際に注意すべきいくつかのポイントを以下に示します:
- その分野における既存の知見を評価し、特定された主要な研究課題へと文章を移行させる必要があります。
- 先行研究への引用は必ず含めてください。ただし、すべての文献について詳細な説明を提示することは避けてください。
- 情報を直接引用するのではなく、先行研究の内容を言い換える(パラフレーズする)ようにしてください。
- 目的は、読者の注意を目の前にある課題と、あなたの研究がどのようにその解決策を見出すかという点に向けることです。
導入の構造は、逆三角形のようになっています。まずは広範な説明から始め、読者の関心をあなたの研究課題へと徐々に絞り込んでいってください。

研究方法
APAスタイルの研究方法セクションは、研究の実施方法を正確に記載することに焦点を当てるべきです。使用した研究デザイン、サンプルサイズ、小道具の記載、そして他の研究者が研究プロセスを再現できるような、十分な明瞭さと詳細を含む手順を記入してください。
使用した材料や装置(器具)について、調達(入手方法)に関する情報と合わせて記述します。研究室のサポートを受けた場合は、その支援がどのように提供されたかを明記してください。また、実験手順の中で従ったプロトコル(実験手順の規定)はすべて説明する必要があります。読者が内容を理解しやすくなるよう、適切な小見出しを用いて、このセクションをいくつかの小セクションに分割しても構いません。
結果
APAスタイルにおいて、「結果」セクションでは、行った分析のすべての結果(知見)をもれなく提示する必要があります。ここでも、対応するデータ分析方法ごとに小セクションに分けて結果を記述することができます。APAスタイルで結果セクションを執筆する際に、考慮すべきいくつかの重要なポイントを以下に示します:
- 必要に応じて表や図を適切に使用してください。ただし、情報が重複しないように注意する必要があります。例えば、異なる時期に収集されたサンプルデータの相関関係をグラフで説明している場合、全く同じデータを表でも提示する必要はありません。
- このセクションを小セクションに分割する場合は、研究デザインを説明するために「研究方法」セクションで使用した小セクションと、結果の知見を関連付けるようにしてください。例えば、「研究方法」セクションの小セクションで特定の統計手法について説明したとすれば、「結果」セクションの下にも、その統計分析から得られた知見を要約する小セクションを設けるようにします。
- 研究によって得られた知見を客観的に提示することだけに集中してください。結果セクションの中では、その知見から導き出される推論について決して議論しないでください。その情報は「考察」セクションに記載します。
考察
考察セクションでは、研究によって得られた知見を説明し、解釈する必要があります。これにより、あなたの研究結果が「導入」セクションで述べた研究仮説とどのように結びついているのかを、読者が理解できるようになります。考察セクションは、導入セクションとは「逆の構造」であると考えてください。
- 自身の研究課題から始め、その後、あなたの研究がもたらす意義についてより広い視野での理解を提示してください。
- あなたの分析や得られた知見が、どのように研究仮説を支持しているのかを明確にしてください。
- 「導入」セクションで言及した文献を活用してください。あなたの知見は、これらの先行研究で報告された結果とどのように異なっていますか?進歩した点を強調してください。
- もし予想外の結果や興味深い結果があった場合は、そのことに触れ、考えられる理由を理論的に説明してください。
- あなたの研究の限界を明確にしてください。何が達成できなかったのか?何が研究の範囲外だったのか?それは今後の研究で探求される予定ですか?これは、あなたの今後の研究の基礎を築くための優れた方法です。
引用文献
APAスタイルでは、引用文献リストは独立した新しいページから開始し、ページの中央に「References」という見出しを太字で配置する必要があります。各文献はアルファベット順に並べ替え、0.5インチ(約1.27 cm)のぶら下げインデントを適用し、行間はダブルスペースにします。本文中で引用したすべての文献を、必ず引用文献(References)リストに記載するようにしてください。引用文献リストを作成する際の詳細なルールについては、後ほど説明します。
APAスタイルにおける本文中の引用
基本原則:著者・刊行年システム
APAスタイルの引用は「著者・刊行年」形式に従います。この形式では、本文中の簡潔な引用に著者の姓と刊行年を含めます。これに対応する形で、論文の最後にある引用文献リストに完全な情報が記載されます。APAスタイルのガイドラインに従って研究論文を執筆またはフォーマットする際、注意すべきいくつかの重要なポイントを以下に示します:
- 本文中の引用と引用文献リストの間で、綴り(スペル)は一致していなければなりません。
- 個人的なやり取りは本文中にのみ引用してください(ただし、先住民族の伝統的な知識や口承を引用する場合は、それに関するAPAガイドライン[3]を必ず確認してください)。
- すべての引用文には引用元の記載が必要です。
- 個人の電子メール、アーカイブ(保存)されていないSNSのライブ配信や投稿など、後から確認(取得)できないオンライン情報源の使用は避けてください。
- スクリーンリーダーなどの支援技術を使用している読者に配慮し、複数の引用を長く何個も並べることは控えてください。
- 一般的な知識(常識)ではない事実や数値には、すべて引用元の記載が必要です。例えば、「人間は哺乳類である」と述べる際には情報源を引用する必要はありませんが、「うつ病は自殺念慮のリスク因子である」と述べる際には必ず情報源を引用しなければなりません。
- 可能な限り、APAは二次資料よりも一次資料を使用することを推奨しています。これは、実際の罹患(りかん)データを自ら収集したわけではなく、単にそのデータを報告しているだけの研究を引用するのではなく、X国におけるマラリアの罹患率に関するWHOの報告書を直接参照することを意味します。
重要:本文中のすべての引用には、引用文献リストに対応する項目が必ず存在していなければなりません。同様に、引用文献リストにあるすべての項目は、本文(または図、表、脚注、付録)の中で少なくとも1回は引用されている必要があります。
過去5〜10年以内に出版された文献のみを引用すべきだと言われることがあるかもしれません。APAはこれを公に「誤解と呼んでおり[4]、可能な限り最新の情報を含む、信頼できる一次資料を引用することを推奨しています。APAスタイルに出版年の期限はありません。もちろん、神経心理学やサイコオンコロジー(精神腫瘍学)などの一部の分野は非常に急速に進歩しているため、そこでの最新の動向を常に把握しておく必要があります。
括弧内引用と叙述的引用
APAにおける括弧内引用:括弧内引用では、著者の姓と刊行年が本文中の括弧内に配置されます。このスタイルでは、引用を文の中央、または文末に記述することができます。
例: A longitudinal, multi-center study (Rangamurthy, 2010) did not find any relationship between sleep duration and dementia risk.
APAにおける叙述的引用:叙述的引用では、著者の姓を文の一部として記述し、その後に刊行年を括弧内に配置します。
例: Rangamurthy (2010) identified economic barriers to access to mental health services.
著者の人数に応じたルール:1人、2人、および3人以上(「et al.」の使用)
文献の著者の人数によって引用スタイルは異なります。著者が3人未満(1人または2人)の場合は、すべての著者の名前を記載する必要があります。著者が3人以上(※原文はmore than threeですが、APA第7版のルールでは3人以上)の場合は、筆頭著者の姓の後に「et al.」を使用します。著者の人数が異なる文献の引用方法の例については、以下の表を参照してください。
表1:APAスタイルにおける文献の引用方法
| 著者の人数 | 括弧内引用の例・書式 | 叙述的引用の例・書式 |
| 1人 | (Nadal, 2004) | Nadal (2004) |
| 2人 | (Taylor & Devon, 2021) | Taylor and Devon (2021) |
| 3人以上 | (Romera et al., 2014) | Romera et al. (2014) |
| 組織(団体)が著者の場合* | (ISRO, 2024) | ISRO (2024) |
*本文中で初めて引用する際は、略語とともに正式名称(展開形)を記載しなければなりません(例:(Indian Space Research Organization [ISRO], 2024))。2回目以降の引用では、略語のみを記載します(例:(ISRO, 2024))。
情報の欠落:著者が不明な場合と刊行年がない場合(n.d.)の対応
引用する文献において、著者名や刊行年などの情報が欠落している場合があります。APAスタイルでは、このような文献を扱うためのルールが定められています。情報が欠落している場合に、本文中の引用や引用文献リストの項目をどのように作成すべきかについては、以下の表を参照してください。
表2:情報が欠落している場合の引用の扱い方
| 欠落している情報 | 本文中引用のテンプレート | 引用文献リストのエントリのテンプレート |
| 著者名 | Parenthetical: (Title, year) Narrative: Title (year) | Title. (Date). Source. |
| 刊行年 | Parenthetical: (Author, n.d.) Narrative: Author (n.d.) | Author. (n.d.). Title. Source. |
| 文献のタイトル | Parenthetical: (Author, year) Narrative: Author (year) | Author. (Date). [Description of work]. Source. |
引用文献リスト作成のルール
基本書式:著者、日付、タイトル、情報源の順序
引用文献リストには、本文中で引用されたすべての文献を記載しなければなりません。APAスタイルのマニュアルでは、引用文献リストの各項目をどのようにフォーマットすべきか、その方法が規定されています。基本書式には、著者(author)、日付(date)、タイトル(title)、情報源(source)という4つの重要な要素が含まれます。
著者(Author)
- 著者の構成: 著者は、単独、複数、または機関(団体)の場合があります。
- 基本の表記: 最初に姓(苗字)を記載し、その後にイニシャル(名の頭文字)を続けます(例:Author, A. A.)。
- 著者が2人の場合: 2人の名前を「&」(アンパサンド)で区切ります(例:Author1, A. A. & Author2, B. B.)。
- 著者が3人の場合: カンマと「&」を使用して次のように表記します:Author1, A. A., Author2, B. B., & Author3, C. C.
- 著者が21人以上の場合: 最初の19人の名前を書き、アンパサンド(&)は使わずに省略記号( … )を挟んでから、最後の著者の名前を記載します。
日付(Date)
- 日付の構成: 日付は、刊行年のみ、年と月、または年・月・日の場合があります。
- 基本の表記: 刊行年を括弧内に配置し、その後にピリオドを打ちます(例:(2025).)。
- 詳細な日付が判明している場合の書式: 年と月日が分かっている場合は (2024, July 1)、月のみが分かっている場合は (2024, July) と表記します。
- 未刊行の場合: 文献の掲載(出版)は決定しているものの、まだ正式に出版されていない場合は、(in press) と記載します。
タイトル(Title)
- 大文字・小文字の扱い: タイトルはセンテンスケースで記載します。つまり、最初の単語の先頭文字と固有名詞のみを大文字にします。
- 文末のピリオド: タイトルの最後にはピリオドを打ちます。
- イタリック体(斜体)のルール:文献がより大きな著作物の一部である場合(例:ジャーナルの論文、書籍の章など)は、イタリック体にしません。ウェブページ、報告書、書籍のように、それ自体で独立しているその他の文献については、タイトルをイタリック体にしなければなりません。
- 書籍タイトルの特記事項: 書籍タイトルの場合は、タイトルの直後の括弧内に版(edition)や巻(volume数)を記載します。
情報源(Source)
- 情報源は、その文献がどこから取得されたか(例:ジャーナル、ウェブサイト、報告書、修士論文、博士論文など)を表します。
- 通常は、巻(volume)、号(issue number)、ページ範囲、およびDOIを記載する必要があります。
資料タイプ別の具体例:書籍、ジャーナル論文、ウェブサイト、SNS投稿
参考文献の書式は、情報源のタイプによって異なります。ジャーナル論文、書籍、および学位論文(修士論文・博士論文)が最もよく引用される文献です。しかし、ポッドキャストの動画、ウェブページ、ニュース記事などの情報源が引用されることもあります。以下の表では、様々な種類の情報源の書式について、具体例を交えて説明します。
表3:APAスタイルにおける引用文献リストのエントリ書式
| 情報源のタイプ | 引用文献リストの書式 | 例 |
| ジャーナル論文 | Author1, A. A, & Author2, B. B. (Year of publication). Article title. Journal name, Volume(issue), page range. DOI | Pasini, A., Torre, L., Romeo, L., Cervone, A., & D’Agostino, L., (2010). Reduced-order model for H2O2 catalytic reactor performance analysis, Journal of Propulsion Power, 26(3), 446–453. https://doi.org/10.2514/1.44355. |
| 書籍 | Author, A. A. (Year of Publication). Title of the book. Publisher. DOI | Hendricks, L., Shane, W., & Rao, A. (2024). Athletes in action: The evolution of Olympics. Penguin Random House. https://doi.org/10.1037/00034-9056 |
| 書籍の章 | Author1, A. A., & Author2, B. B. (Year). Title of the chapter title. In Initial. Surname (Eds.), Book title (chapter page number). Publisher. DOI of the chapter | Walid, Z. A., Thomas, H. L., & Nadine, D. C. (2016). Balancing extracurricular activities with core subjects. In M. Calvin & B. M. Andrews (Eds.), Promoting holistic learning in schools (pp. 17–25). Penguin Random House. https://doi.org/10.1037/005670-638 |
| 学位論文 | Author, A. A. (Year of Publication). Title of dissertation/thesis [Master’s thesis/Doctoral dissertation, Name of institution]. URL or database name | Maya, H. L. (2025). Genuine reviews to paid promotions: The evolution of influencer marketing [Doctoral dissertation, Stanford University]. ProQuest Dissertations and Theses. |
| ウェブページ | Author, A. A. (Year, Month Day). Title of webpage. Website name. URL | Oliver, K. (2022, June 14). Creamy vegan mushroom stroganoff. Yummy Tummy. https://yummytummy.com/creamy-vegan-mushroom-stroganoff |
| ポッドキャストのエピソード | Host name, A. A. (Host). (Year, Month Day). Title (episode number if known) [Podcast episode name]. In Title of podcast. Publisher. URL | Whitaker, S. (Host). (2025, October 21) Become a Nat Geo Photographer and Explorer (No. 17) [Audio podcast]. In Some Like it Wild. Spotify. https://www.spotify.com/season-1-episodes/episode-17 |
| 新聞記事 | Author, A. A. (Year, Month Day). Title of the article. Title of the Newspaper. URL | Smith, B. (2021, March 5). Barcelona’s Gerard Pique set to be out for weeks with right knee injury. The Indian Express. https://indianexpress.com/article/sports/football/gerard-pique-barcelona-right-knee-injury-update-7215106/ |
第7版における主な変更点:出版地の省略、DOIの書式、URLの「Retrieved from」の削除
APAスタイルマニュアル第7版では、引用文献ページの書式においていくつかの注目すべき変更点が導入されています:
- 最大20人までの著者を記載: 著者が20人を超える場合は、19人目と最後の著者の間に省略記号(…)を追加します。
- DOIはハイパーリンクで記載: URLの前に「DOI:」を付けてはいけません。例えば、doi: 10.1080/20260506.789.345 は、今後は代わりに [https://doi.org/10.1080/20260506.789.345](https://doi.org/10.1080/20260506.789.345) と記載する必要があります。
- URL前の「Retrieved from」の削除: 取得日やアクセス日が指定されている場合を除き、URLの前に「Retrieved from」と書く必要はなくなりました。
- 出版地の省略: 書籍の出版地を明記する必要はなくなりました。
- タイトルの表記: タイトルはタイトルケースで記載します(タイトルの最初の単語と固有名詞のみを大文字にします)。
表と図の挿入に関するルール
表の構成要素:番号、タイトル、注記
APAスタイルの表の基本的な構成要素には、番号、タイトル、見出し、本体(データ部分)、および注記が含まれます。
- 表番号: 左揃えにし、表タイトルの上に太字で記載します。
- 表タイトル: 表番号から1行あけて(ダブルスペースで)配置します。タイトルケース(主要な単語の頭文字を大文字にする)で記載し、イタリック体(斜体)にします。また、タイトルの最後にはピリオドを付けてはいけません。
例:
Table 1
This is a Table Title
- 列見出し: 中央揃えにします。
- セル内のテキスト: 左揃えにします。行間はシングルスペース(1行)、1.5行、またはダブルスペース(2行)のいずれでも構いません。
- 注記: 表の内容を説明し、記載されている情報をより明確にするために必要な場合にのみ、表の下に配置します(例:略語の定義、 p値の横にあるアスタリスクの説明など)。
図の構成要素:キャプションの配置と明確さ
APAスタイルでは、表(table)ではない視覚的表示項目はすべて「図(figure)」とみなされます。一般的な図の種類には、以下のようなものがあります。
- グラフ: (例:折れ線グラフ、棒グラフ)
- チャート: (例:フローチャート、円グラフ)
- 図画・マッピング: (例:イラスト・図面、地図、プロット)
- 画像: (例:写真、インフォグラフィック)
APAにおける図の基本的な構成要素には、図番号、タイトル(またはキャプション)、画像、凡例、および注記が含まれます。図の構成(配置方法)は、表の構成とよく似ています。
- 図番号: 左揃えにし、図タイトルの上に太字で記載します。
- 図タイトル: 図番号から1行あけて(ダブルスペースで)配置します。タイトルケース(主要な単語の頭文字を大文字にする)で記載し、イタリック体(斜体)にします。また、タイトルの最後にはピリオドを付けてはいけません。
例:
Figure 1
This is a Figure Title
- 画像: タイトルの下に配置します。図の中のテキストは、サンセリフ体(Aptos、Lucida Sans、Calibri、Arialなど)を使用し、フォントサイズは8〜14ポイントにします。
- 凡例: 図の中で使用されている記号(シンボル)を説明するために使用することができます。
- 注記: 図の内容を説明するために必要な場合、図の下に配置します。
APAスタイル(第7版)に準拠した、視覚的にわかりやすく効果的な図を作成するための主なヒントは以下の通りです。
- 画像の鮮明さ: 各要素がシャープかつ滑らかに表示され、画像全体がクリアであることを確認します。
- 適切なフォントの使用: 判別しやすく読みやすいフォントを使用します。APAが推奨するフォントの種類とサイズのみを使用してください。
- 測定単位の記載: 必要に応じて、必ず測定単位を明記します。
- 要素の明確なラベル付け: 図の中のすべての要素を明確に識別できるようにラベルを付けます。
- 図の配置場所: 図は、本文中で最初に言及された場所に最も近い位置に挿入するか、あるいは原稿の最後(引用文献リストの後)にまとめて配置します。
学術論文の執筆品質を向上させるためのポイント
客観的かつ簡潔な言語の選択
科学論文の執筆において、自らの分析を提示する際に客観性を保つことは、大きな課題の一つです。また、膨大なデータを収集し、そのテーマを深く掘り下げて調査した場合は特に、簡潔に記述することが難しくなることがあります。
客観性を維持しながら、表現の簡潔さを保つにはどうすればよいでしょうか。以下にいくつかのヒントを挙げます。
- エビデンスに基づく主張を行う: 個人の信念や意見ではなく、データや文献の引用に語らせるようにします。「I feel(私は〜と感じる)」や「we believe(私たちは〜と考える)」ではなく、「the data suggest(データは〜を示唆している)」といった表現を用いて議論をサポートすることで、主張の説得力が増します。
- 能動態を活用する(規定で許可されている場合): ジャーナルや大学の規程で認められている場合は、能動態で執筆します。例えば、受動態の「the data was analyzed(データが分析された)」は言葉数が多く冗長ですが、これを能動態の「we analyzed(私たちは分析した)」に置き換えることで、より簡潔な表現になります。
- 不必要な冗長さを最小限に抑える: 無駄な言葉塗れを排除します。例えば、「due to the fact that(〜という事実により)」は「because of(〜のために)」に、「performed a study to investigate(〜を調査するための研究を行った)」は「investigated(〜を調査した)」に、「final result(最終結果)」は単に「result」や「outcome(結果)」と言い換えることができます。
- 分野に応じた適切な語彙を使う: 研究テーマや学問領域に応じた専門用語を適切に使用します。ただし、定義や意味が曖昧な業界用語の使用は避けてください。
- 用語の統一性を維持する: 論文全体を通じてキーワードの表記を統一します。例えば、一度「study participants(研究参加者)」という表現を使ったら、単調さを避けようとして「subjects(被験者)」や「individuals(個人)」といった類義語に言い換えてはいけません。読者に別のものを指しているような誤解を与え、混乱させる原因になります。
偏見のある表現の回避(ジェンダー、人種、障害など)
APAスタイルのマニュアルでは、偏見(バイアス)のある表現を使用しないよう指示しています[5]。こうした偏見は、ジェンダー、障害、人種や民族的アイデンティティ、年齢、あるいは社会経済的地位に関連する可能性があり、APAは不適切な先入観を排除し、正確な表現を使用するための具体的なガイドラインを規定しています。
- 包括的な言葉の選択: すべてのカテゴリーを網羅する言葉を選びます。例えば、研究の対象となる人間全体を指すときに「men(男性/人間)」と言うのではなく、「individuals(個人)」、「persons(人々)」、「participants(参加者)」、あるいは「subjects(被験者)」を使用します。
- 「人間第一(Person-First)」の表現: 病名や障害名で人を定義するのではなく、まず「人」であることを優先した表現(person-first language)を使います。例えば、「diabetic patients(糖尿病患者)」ではなく、「patients with diabetes(糖尿病を持つ患者)」と表現します。
- 人種・民族表記の正確さと配慮: 人種や民族のグループについて記述する際は、適切に具体化し、不適切なラベリング(分類)にならないよう配慮します。また、正しい大文字表記(例:「Blacks」、「Whites」、「Native Americans」)を徹底します。
- ジェンダー・アイデンティティの尊重: すべての参加者がシスジェンダー(生まれ持った性と性自認が一致している人)であると自明視せず、研究に関連する場合は、参加者のジェンダー・アイデンティティ(トランスジェンダー、シスジェンダー、あるいはその他のアイデンティティ)を明確に記載することをAPAは推奨しています。
- 具体的な年齢層の特定: 論文の「方法(Method)」セクションでは、「18歳未満(under 18)」や「65歳超(over 65)」といった大まかな表現を避け、具体的な年齢範囲を特定して記述します。
効率化ツールの活用(文献管理ソフトウェア、自動生成サイト)
APAスタイルのマニュアルには引用や文献リストに関する厳密なフォーマット規程が定められているため、これらを効率的に管理・構築するには専用のツールを活用するのが最適です。
- 文献管理ツール(Zotero、EndNote、Mendeleyなど): 文献を効率的に管理するのに役立ちます。
- 検索・追跡ツール(RDiscovery、ResearchRabbitなど): 文献検索の際に、関連する著作や引用文献を追跡するプロセスを大幅に簡素化できます。
- 自動引用生成ツール: APAスタイルの文献リストや本文中の引用を自動生成するツールを活用することで、細かいフォーマットのミスを防ぐことができます。
APAスタイルに関するよくある質問
Q1. 著者が3人以上いる場合、本文中の引用はどのように記載すべきですか?
著者が3人以上の場合は、本文中で引用する際、筆頭著者の姓の後に「et al.」を付けて記載します。
括弧内引用の例: (Author1 et al., year)
本文中引用の例: Author1 et al. (year)
Q2. 論文の出版日が不明な場合はどうすればよいですか?
論文の出版日が不明な場合は、本文中の引用だけでなく、文献リストの項目でも「no date(日付なし)」を意味する「n.d.」を使用することができます。
文献リストの記載例: Author. (n.d.). Title. Source
本文中の引用例: (Author, n.d.) または Author (n.d.)
Q3. ウェブサイトを引用する場合、閲覧日(アクセス日)は必要ですか?
ウェブサイトを引用する場合、そのコンテンツが動的(随時更新されるもの)であれば、閲覧日(または取得日)が必要になります。言い換えれば、ウェブサイトやオンライン記事の内容が時間の経過とともに変更されるように設計されている場合は、「Retrieved <日付> from 」と記載する必要があります。以下に例を示します。
Retrieved September 9, 2025, from https://www.riken.jp/en/
Q4. 日本語の文献を引用する場合、英語(ローマ字)で記載すべきですか?
APAスタイル第7版では、英語以外の文献を英語(ラテン文字)に音訳(翻字)することを推奨しています。これは、日本語の文献のタイトルを文献リストに記載する場合や、本文中で引用する場合(タイトルを引用する場合)に、アルファベットに音訳しなければならないことを意味します。ここでの「音訳」とは、文字化けなどのエラーを防ぐために、日本語の文字を英語のアルファベット(ローマ字)で書き換えることを指します。
Q5. 文献リストの並び順に決まりはありますか?
はい、文献リストは著者名(姓)のアルファベット順に並べる必要があります。
Q6. 指定されているフォントは「Times New Roman」だけですか?
いいえ、APAスタイルのガイドラインでは、著者がセリフ(Serif)フォントとサンセリフ(Sans Serif)フォントの選択肢から柔軟に選ぶことができます。フォントの種類によって推奨されるフォントサイズが異なり、主に以下のようなものが挙げられます。Times New Roman(12 pt)、Georgia(11 pt)、Arial(11 pt)、Calibri(11 pt)、Aptos(12 pt)など。スタイルガイドでは、選んだフォントタイプに合わせて、これらの推奨されているサイズを適用するよう定めています。
まとめ
ガイドラインをしっかりと確認し、ルールに従って進めれば、APAスタイルに沿った研究論文のフォーマット作成は決して複雑なものではなく、非常に明快です。
- 学術誌(ジャーナル)に投稿する際は、そのジャーナルが提供しているテンプレート(用意されている場合)をダウンロードして、その指示に従うだけで十分です。
- 一方で学生の場合は、大学の提出ガイドラインを確認し、不明な点があれば指導教員や担当講師に連絡して確認しなければなりません。
もしジャーナルや大学から具体的なガイドラインが示されていない場合は、提出原稿をプロフェッショナルな形に整えるための優れた基準として、APAスタイルのマニュアルを活用するとよいでしょう。
論文の準備が出来たらプロによる最終フォーマットチェックを行うことで、より安心して投稿作業を進めることが可能になります。エディテージでは、フォーマット調整単体のサービスや、フォーマット調整を含む英文校正サービスを提供しています。
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参考文献
- American Psychological Association (APA)’s style manual https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/citations/basic-principles
- 7th Edition Abstract and Keywords Guide https://apastyle.apa.org/instructional-aids/abstract-keywords-guide.pdf
- APA guidelines for personal communication https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/citations/personal-communications
- The “outdated sources” myth https://apastyle.apa.org/blog/outdated-sources-myth
- Bias free language https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/bias-free-language


