フォーマットをAIに任せるべきではない4つの理由

How Does Formatting Matter in the Age of AI

普段の業務や日常生活の中でAIツールを目にする機会が増える今、出版プロセスの現場でもAIは様々な段階で大きな力を発揮しています。実際に、有名ジャーナルへの論文掲載に成功した研究者たちの話を聞くと、AIを活用するケースが格段に増えていることがわかります。中でもよく使われるのが、

  • 文献検索の支援
  • 論文の要約作成
  • 論文のアウトラインやドラフトの作成
  • 図表の作成準備

このように、研究者の中には従来のように自力で、もしくは他者の介入による執筆を続ける人もいますが、多くは論文の品質とガイドラインの遵守を確保するために「AIツール」を頻繁に活用するようになっています。

ここで問題となるのが「フォーマット」です。AIツールをうまく活用できたとしても、論文のフォーマットが適切に行われていないと、デスクリジェクト(査読段階にすら進めない状況)につながる恐れがあります。フォーマット調整は、論文の第一印象を決定づけるものであり、非常に重要なステップなのです。

近頃、AIのチャットボットを使う研究者も増えています。しかしながら、数秒で読みやすいドラフトを生成できる便利さゆえに、フォーマット調整は後回しになりがちです。自身の論文が読まれ、査読され、出版されることを考えると、「フォーマット」は単なる装飾的要素ではなく学術活動において不可欠な要素であることには変わりないのです。明確な構造と正しいフォーマットを徹底することで、編集工程を迅速にし、査読者の負担を軽減させ、あなたの研究はより説得力のあるものに進化します。

論文に求められる投稿規定に合わせるなら?

1. 第一印象の重要性

編集者や査読者は毎月数百もの論文を受け取っていることをご存じですか? ここ数年、ジャーナルへの投稿数は増加しており、編集者や査読者が受け取る論文の数も急増しています。
そんな中で良い印象を残すには、基本に忠実なフォーマットが何より大切です。

では、どうすれば編集者や査読者に良い印象を与えられるのでしょうか?

そのヒントをいくつかご紹介します:

  • 対象ジャーナルの構造に従う
  • 投稿チェックリストを遵守する
  • わかりやすいタイトルページを用意する
  • 簡潔な要約を記載する
  • 標準的なIMRaD構成(導入、方法、結果、考察)に従う
  • 図表を正しくフォーマットする
  • 参考文献をジャーナルの規定に従ってフォーマットする 

これらのステップは、論文執筆タスクの優先順位を付けることと、査読プロセスを迅速に進めることに大いに役立ちます。

一部のジャーナルでは、論文を査読に回す前に基本的なフォーマットのチェックを行う場合もあります。そのため、規定に準拠していない論文はフォーマット修正のために返却されるか、デスクリジェクトされる可能性があります。この場合、著者は本来節約できたはずの数週間を無駄にすることになってしまいます。

2. 正しいフォーマットが向上させるのは読みやすさだけではない

フォーマット調整は、論文の第一印象を左右する重要なステップです。ある研究によれば、“読みやすさ”や“見やすさ”は「抄録や論文の受け止め方」に影響を与えるだけでなく、「引用数」にも相関関係があることが示されています。明確な見出し、論理的な段落構成、適切にラベル付けされた図表を用いることによって、読者は文章構造の解読に労力を費やすことなく、論文に書かれた方法論や結果に集中することができます。つまり、フォーマットは理解度、信頼性、そして最終的にはあなたの研究成果の周知に直接影響を与えるのです。

3. AIは役立つが、人間の監視に取っては代わらない

AIライティングツールは文章の下書き、文法の改善、書き換え提案に優れています。執筆において面倒で機械的な部分の作業を賄い、英語を母国語としない人がより明瞭な文章を書くことを補佐します。一方でAIは、以下のものには依然として苦戦しています。

  • 分野固有の慣習
  • 図表のフォーマット
  • 引用スタイルのニュアンス
  • 多くのジャーナル特有のハウススタイル(投稿規定)

生成モデルは自然な文章を出力できますが、投稿規定に沿った正確なレイアウトを整えることまではできません。そのため、構造、ラベル付け、コンプライアンスに関する人間の監視は依然として不可欠なのです。

4. 再現性と倫理におけるフォーマットの重要性

論文において、方法の書き方やデータの整理の仕方といった「フォーマット」は、単なる見た目の問題ではありません。再現性を支える基盤であり、研究の信頼性や倫理性にも直結します。

たとえば、方法論がバラバラに記載されていたり、図の凡例で重要なパラメータが抜けていたりすると、他の研究者が同じ結果を再現することは難しくなります。そのため、方法を明確に構造化し、データセットに正しくラベルを付け、引用や出典を正確に記すことが欠かせません。実際に、CONSORTPRISMAといった報告ガイドラインは、論文の透明性と再現性を高めるために設計された「フォーマットの指針」と言えるでしょう。

最後に:人間+AIによる生産的なパートナーシップ

AIを「言語を磨くアシスタント」、そして研究者を「構造、正しい提出フォーマット、校正、科学的誠実さを遵守する設計者」としてみると良いでしょう。このハイブリッドなアプローチは、倫理的で再現性のあるレポートに必要な人間の判断力を維持しつつ、執筆スピードを加速させます。

近い将来、人間とAIの協働は当たり前になるでしょう。だからこそ、時間をかけて正しいフォーマットを整える姿勢が、これまで以上に重要になります。査読者、編集者、読者への配慮こそ、あなたの研究がより明確な出版への道筋を得ることにつながります。

論文に求められる投稿規定に合わせるなら?


この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
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