論文のフォーマットは主に視覚的な作業です。対象ジャーナルに掲載された論文の特定のテキストブロックの外観を観察し、自分の論文の対応するブロックを、選択したブロックと同じように見せる方法を見つける必要があります。
タイトルのフォーマット
このテーマの視覚的な要素を考慮して、今回はイラストを多く使って説明します。Lancet誌に掲載された論文のタイトルは図1のようになります。
図1)Lancet誌の最近(2024年12月)の論文のタイトル

タイトルのフォーマットについて、通常のテキストと異なるのは、フォントが大きく太字であることだけです。つまり、論文のタイトルを太字にし、通常のテキストで使っているフォントよりも4ポイントほど大きなフォントを使えばいいのです。フォントサイズは、ターゲットジャーナルで使用されているものと全く同じである必要はなく、目立つ大きさであればよいことに注意してください。また、タイトルは左揃えで、通常の大文字を使用することにも注意してください。
ではLancet誌ではなく、New England Journal of Medicine誌に論文を投稿するとします。New England Journal of Medicine誌では、図2に示すように、タイトルの書式がかなり異なります。
図2)New England Journal of Medicine誌の最近の(2024年12月)論文のタイトル

より複雑なフォーマットに注意してください。タイトルは中央揃え(左揃えではない)で、大きめのフォントが使われ、「タイトルケース」とも呼ばれる見出しスタイルの大文字化に従っています(「in」という単語だけが大文字ではありません)。また、タイトルは太字ではないように見えます。
見出しスタイルの大文字化は、どの単語を大文字にするかについての慣例が異なるため、注意が必要です。例えば、「AMA Manual of Style」では冠詞、接続詞、または”短い”前置詞(3文字以下)は大文字にしませんが、「Chicago Manual of Style」では5文字以上の前置詞は大文字にします。幸いなことに、簡単なツールがこの作業を行うことができます。タイトルを入力するだけで、ツールが選択したスタイルに合わせて変換してくれます。<https://titlecaseconverter.com>
見出しと小見出しのフォーマット
フォーマットの細かな点は、タイトルだけでなく、論文のすべての部分に適用されます。特に見出しと小見出しにとってフォーマットは重要です。なぜなら、大見出し、中見出し、小見出しなどのレベル、つまり階層内の位置 (見出し1、見出し2、見出し3など) を反映する必要があるためです。論理的には、これらのレベルは、タイポグラフィによるコーディングなしに、数字を使うだけで正確に示すことができます(1 はじめに、2 材料と方法、3 結果など、小見出しは2.1、2.1.1、2.1.2など)。しかし、ほとんどの出版社では、最も高いレベルを最も目立たせ、次のレベルは少し目立たず、3番目のレベルは2番目のレベルより目立たず、といったように、タイポグラフィでレベルを示すようにしています。レベルを示すために使用される配置、色、書体の変更、フォントサイズの変更、太さ(太字か普通か)、姿勢(斜体か普通か)などはジャーナルによって異なります(図3)。
図3)2つのジャーナルにおける2階層の見出しの表記処理

表と図のキャプションのフォーマット
何に注意すればよいかがわかれば、表、図、リストなどのキャプションのフォーマットも容易になります。例えば、表番号と表のタイトルを例にとると(図4)、ラベル(Table 1、Table 2など)と表のタイトルが同じ行に表示されているか、ラベル自体が別の行にあるか、「Table」という単語そのもの(TableかTable かtable かTABLEか 、太字か斜体か、両方かどちらでもないか)、表番号と表のタイトルの間に句読点がある場合はその記号、タイトルの大文字化、末尾の句読点など、フォーマットについて注意します。同様に、図については、FigureかFigか確認します。
表のタイトルと図のキャプションの配置にも注意してください。従来、表のタイトルは表本体の前に、図のキャプションは図本体の後に配置されます。なぜなら、私たちはまず図を見てからキャプションを読みますし、表の意味を知るためにはまず表のタイトルを先に読む傾向があるからです。しかし、例えばLancet誌のように、表のタイトルも表本体の後に配置するジャーナルもあります。
図4)表番号と表のタイトルの書式の違い

引用のフォーマットについてはまた別の記事で説明します。
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