ある時、不満を抱えた著者が、リジェクトされた論文のコピーと、「参考文献がジャーナルのスタイルに合わない」という理由で論文を即座にリジェクトしたジャーナルの最新号を持って、私に詰め寄ってきました。「これを見てください! どちらもスタイルは同じです」と著者は言いましたが、私は両方を見て、「ジャーナルが著者のイニシャルをドットとスペースで区切っていたのに対し (Crick F. H. C.)、著者はどちらも使っていなかった (Crick FHC)」、「ジャーナルが各参考文献の末尾にドットを付けていたのに対し、著者はそれを省略していた」ことを指摘しました。
あるジャーナルは、「参考文献のスタイルが守られていなければ、査読なしでも論文を返却する」と前もって宣言しています。したがって、この部分を正しくすることは著者の利益となります。この記事では、最初のパートは引用について、2番目のパートは論文の最後に表示される参考文献リストについて紹介します。
引用のフォーマット
番号付き引用-バンクーバースタイルとも呼ばれるこの引用は、単に番号で表されます。ただし、正しくフォーマットするのであれば、以下の点に注意する必要があります。
- 縦位置:数字は上付きですか? それとも通常の位置ですか?(例:²なのか2なのか)。
- 配置:数字はピリオドの後(文中に数字がある場合はカンマの後)ですか? 前ですか?
- 囲み:数字は括弧で囲まれていますか? それとも角括弧で囲まれていますか? あるいは何も囲まれていませんか?
- 書体:数字はイタリック体ですか? ローマン体(通常の形)ですか?
著者名と出版年を併記した引用-ハーバードスタイルとも呼ばれ、「Watson and Crick, 1953」のように著者の姓の後に出版年を記すか、著者が多い場合は「Florey et al., 1946」のようにします。注意すべきスタイルのポイントは以下の通りです。
- 句読点:年号と名前の間はコンマで区切りますか? それともスペースで区切りますか?
- 著者の数:著者が2人以上、3人以上、またはその他の任意の閾値以上の場合に『et al.』を使用していますか?
- 書体:「et al.」という表現はイタリック体(et al.)ですか? ローマン体(et al.)ですか?
- グループ化された引用の順序:複数の引用をグループ化する場合、順序は著者のアルファベット順、年代順、あるいは逆年代順(最新の文献を最初に示す)のどれですか?
参考文献のフォーマット
短くてシンプルな引用に比べて、参考文献は長くて複雑なので、さらに気にすべき点がたくさんあります。
- 含まれる要素:ジャーナルによっては、論文のタイトルを省略し、ページ番号を「123-129」ではなく「123-9」のように最小桁数で表記する場合もあります。
- 要素の順序:年号は著者名の直後に記載されていますか? ジャーナルの巻数の近くにありますか? それとも最後についていますか?
- 大文字と小文字:ジャーナル名や書籍名は、タイトルケースとセンテンスケース(例:Physical Review LettersなのかPhysical review lettersなのか)のどちらですか? 論文のタイトルについてはどうですか?
- 句読点:ジャーナルはしばしば、参考文献に句読点を打つ際に通常の句読点の慣例[1]から外れることが多く、各参考文献をピリオドで終わらせることさえあります。人文科学の分野では、論文のタイトルは引用符で囲むのが慣例です。著者のイニシャルの句読点にも注意してください。ドットで区切っています(Crick H.F.S.)か? スペースで区切っています(Crick H F S)か? 両方で区切っています(Crick H. F. S.)か? それともどちらでもない(Crick HFS)ですか?
- 書体:ジャーナルのタイトルや書籍のタイトルにはイタリック体が一般的に使用され、ジャーナルの巻数には太字がよく使われます。
これで引用と参考文献について何を見るべきかがわかったので、ターゲットジャーナルに記載されている参考文献リストを解析し、そのフォーマットを正確に再現するのは簡単なはずです。ジャーナルのスタイルに厳密に従うことで、編集者に対して、そのジャーナルのために論文を特別に準備したのであり、リジェクトされたものを単に再利用したのではないというさりげないメッセージを送ることにもなります。それがあなたの論文が査読に送られた際に、即座にリジェクトされるのではなく、むしろ有利に働く可能性もあるのです。
参考文献
[1] Joshi Y. 2021. Restoring sanity into punctuation of references. Science Editor 44: 46–47. [DOI: 10.36591/SE-D-4402-46 ]
この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。
ジャーナル規定に沿った論文のフォーマット調整、スタイルガイドに沿った大型原稿、
学位論文の調整もスペシャリストにおまかせ
