エディテージ・グラント 選考委員インタビュー①-早野 元詞先生

エディテージ・グラントは、自身の研究によって社会にインパクトを与えたいと願う若手研究者に、経済的支援、メンターシップ、キャリアガイドを提供することを目的とした、エディテージの若手研究者支援プログラム。その選考委員である早野 元詞先生に、若手研究者における研究助成の重要性やエディテージ・グラントへの想いなどをうかがいました。

早野 元詞
慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室 特任講師

Subject area
ライフサイエンス / 分子生物学 / 老化

Researchmap link
https://researchmap.jp/motoshihayaano

2017年から慶應義塾大学医学部で老化を研究するチームを主宰。日本学術振興会海外特別研究員、Human Frontier Science Program (HFSP) 長期研究員として、ボストンのハーバード大学医学部のDavid A. Sinclair教授の研究室で、DNA損傷とエピゲノムによって老化が引き起こされるICEマウスを用いたプロジェクトに取り組む(2013年~2017年まで)。現在は、株式会社坪田ラボにもCSOとして参画(2022年6月上場)。また、優秀な研究の発掘と支援のためベンチャーキャピタルであるKII、ANRI、AIFAM、SIPへパートナー等として参加。
また、研究者の海外への留学、独立、キャリアパスやイノベーション支援など行なっている。海外へ挑戦する研究者のネットワーク構築と活用に尽力する。一般社団法人UJA理事、アメリカNPOUJAW.Inc Board member、日本NPO法人ケイロン・イニシアチブ理事および一般社団法人ASG-Keio代表理事

目次

失敗の可能性の高い研究や研究者としての経験を高めることに、
このグラントを使用してほしい

研究は社会にとって重要な役割を担っている

視覚情報の処理について1981年にノーベル賞生理学賞を受賞したトルステン・ウィーセル博士と対談をさせていただいたことがあります。その時に、ウィーセル博士は「研究は自己実現するための方法で、若い人にとって素晴らしい職業だと思う。」とコメントされました。サイエンスに対して真摯に自由なアイデアで取り組み、時に個性を表現している研究は素晴らしいと思います。

若い研究者を取り巻く環境は年々厳しくなり、その実情を目にする中で研究者を目指す若い人が減っています。研究は社会にとって技術を生み出すだけでなく、自分で課題を解決する能力を身につける人材を育成するという意味においても重要な役割を担っています。若手研究者を支えるエディテージ・グラントのような活動が、1人でも多くのアツい研究者を支える機会になれば嬉しいです。

若手研究者の「失敗」と「挑戦」を応援したい

20代は私自身、自分に何ができるのか不透明な中で、研究に没頭して技術や研究スキルをひたすら磨き、30代で研究内容を変更して自分のやりたいことは何か、見つめ直す機会として活用した時期であったと思います。それは、私だけでなくUJAやUJAWなどで多様な研究者の経験談をまとめたり、キャリアを支援する中でも「挑戦」と「失敗」がキーワードになっています。

研究は課題に対して仮説を考えて実際に挑戦する過程の繰り返しですが、ほとんどが失敗に終わります。時には失敗の連続で、終わりが見えない時期もあると思います。ただ、そのような過程は若い研究者にとってかけがえのない経験値となり、アカデミアではないキャリアを最終的に選択したとしてもコンパスとして支えてくれると信じています。

論理的かつ夢のある提案を期待しています

エディテージ助成金については、失敗の可能性の高い研究や研究者としての経験を高める目的に使用していただければと考えています。人と全く違う、すぐに評価されない、そういった研究で予備データがなかったとしても、論理的かつ夢のある提案を数多く拝見させていただける貴重な機会なのではないかと期待しております。

HFSPの助成金責任者の方に以前、「データがなくても面白くて納得できる内容なら、そういう提案を応援したい」と言われたことがあります。若い方には、一旦業績や予備データ、表彰履歴などを全部忘れていただいて、どういったことをやりたいか、記載してぶつけていただけると幸いです。審査員として力量不足のこともあるかと思いますが、全力で取り組みたいと思います。

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この記事を書いた人

エディテージはカクタス・コミュニケーションズが運営するサービスブランドです。学術論文校正・校閲、学術翻訳、論文投稿支援、テープ起こし・ナレーションといった全方位的な出版支援ソリューションを提供しています。

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