グラフィカルアブストラクトのデザインにおけるよくあるミスとその回避法

Common mistakes in graphical abstract design and how to avoid them

国際的なジャーナルの多くがグラフィカルアブストラクトの提出を求める中、論文執筆において効果的なグラフィカルアブストラクトを作成することは専門外で難しいと思われがちです。
インパクトのあるグラフィカルアブストラクトを作成するために何が必要なのか、混乱してしまうことがあります。

この記事では、グラフィカルアブストラクトのデザインでよく見られる5つの一般的なミスを事例に、それらを回避するためのヒントをご紹介します。

デザイン作成でよくあるミス

世界中の研究者は研究の露出度を高めるために「グラフィカルアブストラクト」をデザインすることに慣れてきています。そのデザインのプロセスでよく見られるミスに以下のようなものが挙げられます。

【ミス1】 わかりにくいレイアウトの使用

グラフィカルアブストラクトは、読者が論文を読む前に最初に目にするものです。わかりやすく一貫性のある図解表現とレイアウトを採用することで、読者に研究内容をより深く理解してもらう意欲を与えます。まずは、デザインを作成する際に以下の点を確認してみてください。

  • グラフィカルアブストラクトは「上から下へ」または「左から右へ」読めるように統一されているでしょうか?
  • データに最適な寸法はどれくらいでしょうか?
  • テキスト、データプロット、グラフの種類、ピクトグラムをどう組み合わせれば、読者が論文を読まずにデザインだけを見て理解できるでしょうか?

これらを確認することで、読者の目を引く読みやすいグラフィカルアブストラクトを作成するのに役立ちます。

【ミス2】 一貫性のないアイコンとフォントの使用

大きさの異なるピクトグラムや、不規則なフォントがバラバラに配置された商品広告や宣伝ポスターを想像してみてください。そのデザインを見てあなたは商品を買いたいと思いますか?

――このように、視覚的な表現に一貫性がないと読者は違和感を感じ、興味を失ってしまいます。

では、プレゼンテーションの一貫性はどう確保すればいいのか?
実は、その答えはすでに出ています。
ここからはその代表例をご説明していきます。
ぜひ参考までに以下の内容を意識して作ってみてください。

  • 画像として使用する視覚要素は、同じライブラリ内から選択しましょう。単一の図解を表現する際に、複数のリポジトリから取得したピクトグラム、シンボル、アイコンを使用することは避けることが大切です。 
  • テキストのフォントとフォントサイズは、画像全体で一貫性を持たせるようにしましょう。
  • 線幅、配色、詳細のレベルなど、視覚的要素の全体的な外観は統一させましょう。
  • 各ジャーナルのガイドラインを参考にして、フォーマット要件を理解し、それに応じてグラフィカルアブストラクトをデザインしましょう。

【ミス3】 不適切な背景

グラフィカルアブストラクトを作成する目的は、読者が一目で研究の要点を理解できるようにすることです。コントラストが低かったり、模様のある背景を使用したりして、視覚的にわかりにくくなると、読者は興味を失ってしまう可能性があります。

そこで、グラフィカルアブストラクトでは、前景要素とのコントラストがはっきりした背景を使用するのが常に効果的です。例えば、デザインに鮮やかな色や濃い色の要素が含まれる場合は、淡い色の背景が理想的です。一方、前景要素が淡い色調の場合、濃い色の背景を使用することが適切です。

なお、模様のある背景は視覚的にノイズになる可能性があるため、避けた方が良いでしょう。

【ミス4】 不必要な要素の追加

グラフィカルアブストラクトのデザインレイアウトを設定したら、それを忠実に守りましょう。デザインを作成していく中で、知らぬ間に関連する要素が余分に追加されていくことがよくあります。しかし、それらの要素は必ずしも必要ではない可能性があります。これを避けるために、以下の疑問を自分に問いかけてみると良いでしょう。

  • その要素がグラフィカルアブストラクトのデザインにどのような価値を追加するのか?
  • そのアイコン/ピクトグラム/矢印を追加することで、既存のデザインが提供している情報量と比べてどの程度増えるか?
  • 全体像の中で、その要素は読者が研究の主要なメッセージを理解する上でどの程度重要か?

やはり、多くの要素を詰め込みすぎることは、グラフィカルアブストラクトのデザインでよくあるミスです。詰め込み過ぎない、ミニマルなデザインを心がけましょう。

【ミス5】 色の使い過ぎ

「料理人が多すぎると料理が台無しになる」という諺を聞いたことがありますか? これは簡単に言うと「何事もやり過ぎはよくない」という意味です。

グラフィカルアブストラクトをデザインする際、目を引くようにできるだけ多くの色を使いたくなるかもしれません。しかし、それは逆効果になることもあります。色彩豊かな要素が多すぎると読者は圧倒されてしまい、グラフィカルアブストラクトの主要なメッセージから視線が逸れてしまう可能性があるのです。そのため、必ずデザインに使用する色数は4色以下に抑えましょう。

グラフィカルアブストラクトの最適な作り方

以下の大きなメソッドに沿ってグラフィカルアブストラクトを作ることで、これまで挙げた5つのミスを回避することができます。

メソッド①
グラフィカルアブストラクトをデザインは、論文を完成させた後に開始しましょう。これにより、研究内容を図解形式でわかりやすく要約することができます。

メソッド②
一貫性が重要です! アイコン、ピクトグラム、フォント、矢印、色、ラベル、全体の配置を再確認し、デザインに矛盾がないようにしましょう。

メソッド③
シンプルさが重要です。グラフィカルアブストラクトのデザインにおいては、効果的な結果を得るために、シンプルでミニマルなデザインを心がけましょう。


この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
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