査読プロセスが急速に進化する中、新たなモデルがジャーナルによって頻繁に開発・導入されています。従来のシングルブラインドやダブルブラインドの査読とは異なり、共同査読は査読プロセスを通じて著者と査読者が相互に交流できる機会を提供する新しい仕組みです。
共同査読とは何か?
その名の通り、共同査読は査読者同士の協働、そして場合によっては著者との協働を可能にする査読モデルです。この査読プロセスでは、ジャーナルが査読者同士の議論を行うためのプラットフォームを提供し、研究論文の質について合意形成を図ることができます。これにより、査読者は孤立して論文を評価するのではなく、他の査読者の視点を踏まえながら論文を検討することが可能になります。場合によっては、より良い成果を得るために査読者と著者が協力して議論を行うケースもあります。著者と査読者はジャーナルが提供するプラットフォーム上で論文について議論し、共有されたフィードバックをもとに原稿を改善していきます。
共同査読の主な手順
1. 論文の提出と編集部による初期審査
著者がジャーナルに論文を投稿すると、編集チームによる初期審査が行われます。論文が査読対象として承認された場合、編集者は査読プロセスを開始します。
2. 査読者の割り当てと共同プラットフォームの構築
編集者は研究テーマに関連する専門知識を持つ査読者を特定し、利益相反の有無を確認した上で査読者を選定します。その後、査読者が共同作業を行うためのプラットフォームが設定されます。例えば、査読者が決められた時間にオンラインミーティングやビデオ通話で集まり、論文について議論する場合もあります。
3. ディスカッションとフィードバックの交換
査読者は研究論文の内容について意見や洞察を共有します。透明性を高めるため、編集者が著者を議論に参加させる場合もあります。著者は査読者からのコメントに対応し、必要に応じて論文を修正します。
4. 修正、採否決定、受理
論文が修正されると最終審査が行われ、最終的に掲載の可否が決定されます。
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共同査読の利点と課題
他の査読モデルと同様に、共同査読にも利点と課題があります。
共同査読の利点
- 包括的なフィードバック:査読者間の連携により、著者はより一貫性のあるフィードバックを受け取ることができます。例えば、ある査読者が方法論の問題を指摘した場合、別の査読者が改善策を提案することもあります。このような包括的な議論は、論文全体の質を高めることにつながります。
- バイアスの最小化:査読者が評価時に意図せずバイアスを持つことは珍しくありません。グループで議論を行うことで、多様な視点が共有され、評価の客観性を高めることができます。
- 査読の迅速化:査読者間の連携により、論文の改善方法について迅速に合意形成が行われる可能性があります。その結果、研究成果の出版プロセスが効率化され、重要な知見の普及も早まります。
- メンターシップを通じた学習:共同査読は、特に若手研究者にとって査読プロセスを学ぶ機会にもなります。経験豊富な査読者の考え方を知ることで、新しい査読者は評価スキルを高めることができます。
共同査読の課題
- 査読者間の調整:複数の査読者を同時に集めることは容易ではありません。スケジュール調整が難しい場合、査読プロセスが遅れる可能性があります。
- 相反するフィードバックの処理:査読者の意見が対立する場合、合意に至るまでに時間がかかることがあります。結果としてフィードバックが複雑になり、著者にとって対応が難しくなることもあります。
- 著者と評価者の境界の曖昧化:査読者と著者の過度な協働は、論文の著作権や貢献の範囲について疑問を生む可能性があります。
これらの課題は、査読プロセスに明確なガイドラインを設けることで管理することが可能です。編集者は合理的なタイムラインを設定し、公正な評価が行われるよう議論を適切に調整する必要があります。
共同査読で重要になる「査読コメントへの対応」
共同査読では、査読者同士の議論に加えて、著者が査読コメントに対して迅速かつ明確に対応することが求められる場合があります。複数の査読者からの指摘を整理し、それぞれのコメントにどのように対応したのかを分かりやすく示すことは、査読プロセスを円滑に進めるうえで重要です。
しかし、査読コメントへの返信(Response to Reviewers)は、単に修正内容を説明するだけではありません。査読者の意図を正確に理解し、論理的かつ礼儀正しい形で回答することが求められます。対応の仕方によっては、査読者との議論が建設的に進む場合もあれば、誤解が生じて査読プロセスが長引くこともあります。
そのため、多くの研究者が査読コメントへの返信文のチェックや改善を専門家に依頼しています。エディテージの査読コメント対策サービス(Response Letter Check)では、研究分野の専門エディターが査読コメントへの回答文を確認し、論理の明確さや英語表現、説得力を高めるサポートを行います。査読者とのコミュニケーションをより円滑にし、建設的な査読プロセスにつなげることが可能です。
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この記事はエディテージ・インサイト英語版に掲載されていた記事の翻訳です。エディテージ・インサイト ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

