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エディテージのお客様の声:人文科学系英文校正

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玄田 有史(げんだ ゆうじ)先生

古代日本独特の文化や価値を英語でもっと情報発信をして、海外の研究者と交流することで、自分の研究を深め、幅を広げたいです。

お名前鈴木 正信(すずきまさのぶ)先生 ご所属/お役職早稲田大学高等研究所/准教授 ご利用回数30回(2014年9月〜2015年3月) ご利用サービス
  • スタンダード英文校正


早稲田大学高等研究所の鈴木正信先生にインタビューをさせていただきました。ご専門は日本の古代史です。英語で論文を書く人がまだまだ少数派の分野でありながら、積極的に英語で情報を発信し、新しいことに挑戦されています。スタンダード英文校正をご利用いただいた感想、また、日本の古代史に関する研究を英語で発表することの意義などについて伺いました。

*聞き手 寺内洋二郎(カクタス・コミュニケーションズ株式会社)
(以下、本文敬称略)

スタンダード英文校正を使う理由

――― スタンダード英文校正を利用されて、満足感という点ではどうですか?

鈴木細かく見ていただいて、とても満足しています。最初に校正をお願いしたときは、辞書や文法の本を使って一生懸命書いたつもりだったのに、コメントや訂正がたくさんあり、真っ赤になって返ってきて非常にびっくりしました。やはり見ていただいてよかったと思いました。

校正者から意見やコメントをいただける点も、すごくありがたいです。ファイルの中に挿入の形でコメントがたくさん書かれていて、レターも添付されていました。それも形式的なことではなく、中身に踏み込んだコメントでした。

たとえば、aとtheのどちらを使うかなど。自分でいろいろ考えながら書いてはいますが、やはり日本人にはよくわからないところがありますので、ネイティブの方に直していただく必要があると思っています。

私の場合、校正者のコメントで最も多かったのは、代名詞の使い方でしょうか。日本語で書いているときは「これ」「それ」で受けても誤解がないように、特に論文では注意して書いていますが、英語ではよくわからなくなるところがあるので、指摘していただくと助かります。

内容に関しては、先行研究が述べている部分と私の意見を明確に分けたほうがいい、という意見もいただきました。きちんと見ていただけていることがわかって、すごく満足しています。

――― 論文がよくなるだけでなく、英語学習の点でもメリットを感じてらっしゃるということですか?

鈴木はい。私の分野では、英語で発表したり論文を書いたりすることがほとんどないので、英語の勉強は大学や大学院の受験以来でした。いまの職場に移って、英語で論文を書くようになってから改めて勉強しているので、そういう点でもとても参考になります。

――― 満足度や質に関することで、他にも何か感想はありますか?

鈴木たとえば、繰り返し校正者に質問ができる点や、その質問に対する返事を早くいただけることです。また、期日よりもだいたい2、3日早く仕上がってくるのでスピーディーに対応していただけているところもいいですね。あとは、料金と納期がわかりやすくて、急いでいるときはこのコースでいこうとか、今回は時間に余裕があるのでこのコースにしようとか、そういう選択の基準が分かりやすいこと。それと、大学から公費で支払いができる点ですね。早稲田大学アカデミックソリューションの割引も効くので、それもありがたいです。

――― プレミアム英文校正ではなく、スタンダード英文校正を主に利用される理由は何でしょうか?

鈴木一番の理由は料金が安いということですね。研究費から支払いをしているので、年度末に足りなくならないように、年度途中はできるだけ節約をしながら使いたいということもあって、スタンダード英文校正を主に使っています。あと、私は理系の研究者のように海外の有名な雑誌に投稿するわけでなく、誤りや誤解のないようにしてもらえればよいと思っているので、その点ではスタンダード英文校正で十分だということもあります。


鈴木先生の英語の論文


日本の古代史を研究する意義

――― 海外にも日本の古代史を研究している人はいるのですか?どこの国の人ですか?

鈴木中国と韓国の研究者が多いです。また、私が早稲田で関わっている共同研究には、アメリカの先生も参加してくださっています。ほかに私が知っている範囲では、ベトナムやフランスの研究者もおられます。

――― やはり中国と韓国の研究者が多いのですね。

鈴木多いですね。日本人の側も、中国や韓国へ留学したり、現地の大学に勤めた経験があったりして、中国語や韓国語に堪能な研究者も多いです。古代の日本を知るためには、中国大陸や朝鮮半島とのつながりが不可欠ですので。私は以前、指導教授からお声をかけていただいて、早稲田大学と奈良県の共同研究に参加したり、いまも日本古典籍研究所という研究所の共同研究に参加しているのですが、そこで中国・韓国・日本の古代史は切り離して考えることができないと改めて感じました。以来、中国から日本へ招かれた菩提僊那(ぼだいせんな)という僧侶や、朝鮮半島から日本へ移住した高麗若光(こまのじゃっこう)という渡来人など、海を越えて活躍した人たちにも関心を持つようになりました。


菩提僊那が住んだ大安寺の塔跡

――― そもそも古代史を研究分野に選ばれたきっかけは何でしょうか?

鈴木小学生の頃から歴史小説をよく読んでいました。日本の古代史だけではなく、戦国時代や、幕末、世界史ではギリシア・ローマも好きでした。その頃は、歴史というのはメルヘンな世界、異次元の物語のようなイメージがあったのですが、高校生くらいのときに早稲田大学の先生が唱えられた王朝交替説という説を知りました。古代の天皇家は万世一系ではなく、何回か交替があったという説です。その先生の本を読んでいると、推理小説の謎を解いているような、パズルのピースを組み合わせていくような面白さがあって、それでもっと古代のことを知りたい、と。それが古代史の道に進んだ直接のきっかけだったと思います。

――― 高校生の頃から将来研究者になろうと思っていたのですか?

鈴木はじめは高校の教員になりたいと思っていたのですが、大学で勉強しているうちに、大学院で研究を続けて、大学の教員として学生に古代史の面白さや大切さを伝えていきたいと思うようになりました。

――― 根本的な質問になりますが、古代史を研究されることの意義はどういうところにありますか?

鈴木少し堅苦しい言い方になりますが、価値観を相対化して、現在を見直し、未来を見通すことだと私は思います。古代というのは、我々が当たり前だと思っていることが生まれてきた時代です。たとえば、日本という国の枠組み。私は日本で生まれて日本で育ったので、日本という国の存在を当たり前のように思っていましたが、日本という国の名前が定着したのは7世紀後半ごろのことです。これは国名の問題だけではなく、政治の仕組みや地域のまとまり、人々の信仰なども同じです。そうした我々が当たり前だと思っている物事がどのようにはじまって、どうやっていまにつながっているのかを、もっと知らないといけない。我々がどこからやってきたのかを知らないと、これから進むべき道を見失ってしまうと思います。

――― たしかに、そうですね。

鈴木古代のことを調べていると、「これは昔からずっと変わっていないんだ」とか、「これはいまでもあるけれど、古代には全然違うあり方をしていたんだ」とか、いろいろな驚きが生まれてきます。古代というのは、現代から時間がすごく離れているので、その分、驚きも大きいんです。そしてその驚きは、現代の我々の考え方が決して絶対的なものではないことを教えてくれます。いまとは違う時代の価値観や人々の生き方を通して、いろいろな角度から物事を見る目を養うことは、いまを見直し、これからを見通すことにつながります。そういうところが、古代史を研究する一番の意義だと思っています。


研究者としての武器 - 英語での情報発信

――― そういった日本の古代史に関する研究を、英語で発表することの意義や目的はどの辺りにありますか?

鈴木さきほども話に出ましたが、古代の日本は中国や韓国とのつながりが深くて、私の周りにも中国語や韓国語ができる研究者はすごく多いです。それに対して、英語での情報発信を行っている古代史の研究者は非常に少ないように思います。

――― 中国語や韓国語ができるというのは、日本の研究者のことですか?

鈴木ええ。国際シンポジウムではそういう方が間に入って通訳してくださいます。中国・韓国の研究者で、日本語が堪能な方もたくさんおられます。でも、少なくとも私が一緒に研究会で勉強している仲間の中には、研究で英語を使っている人は一人もいません。全国的にみれば英語で論文を書いている人はいますが、まだまだ少数です。なので、英語で情報発信ができれば、もっといろいろなことが見えてくると思うんです。あと、以前、中国の研究者とお話した時、私の方は片言でしたけど、英語でコミュニケーションできたことがありました。英語ができれば、いろいろな国の研究者とつながれるのではないかとも思っています。

――― 研究者として新しいことをやりたいということですね。

鈴木そうですね。それと最近、外国の研究者の論文を読んでいて、日本人にはない発想があると感じました。その影響もあって、洋画をよく見るようになったのですが、特にハリウッド映画には日本人がつくる映画とは全然違う面白さがあって、世界基準のエンターテイメントというか、これでもかというくらいアイディアが詰め込まれている。それと同じような刺激を、外国の研究者から受けることがあります。

――― 今のお話すごく面白いですね。何か具体例はありますか?

鈴木いま早稲田大学では、大正から戦後にかけて活躍した津田左右吉(つだそうきち)という歴史学者に関する共同研究を進めています。津田は戦前、古代の何人かの天皇は実在していなかったという説を発表したのですが、それが不敬罪だという批判を受けて、本は発禁処分になり、大学も辞職させられてしまいます。これは津田事件と呼ばれているのですが、共同研究に参加されているアメリカの大学の先生は、この事件をキリスト教の異端裁判と比較されるんです。また、津田の研究がアメリカでどう翻訳されて、外国の研究者たちがどういう影響を受けたのかということにも注目しておられます。私にはそういうグローバルな発想は全くなかったので、すごく刺激を受けました。


書籍に関する校正・翻訳

――― 鈴木先生は本をたくさん出されていますよね?本を書こうと思って文章を書かれているのですか?それとも論文がある程度まとまったら、本にするのですか?

鈴木私は単著として『日本古代氏族系譜の基礎的研究』(東京堂出版)と『日本古代氏族研究叢書 大神氏の研究』(雄山閣)、共編著では『国造制の研究』(八木書店)を出していますが、このうち単著2冊は、いままで学術雑誌に発表したいくつかの論文を一つのテーマに沿ってまとめて出版したものです。

――― 日本語の論文を翻訳して、英語の論文を出したいというニーズもありますか?

鈴木ええ。それでいま書いているものを校正していただいています。

――― そうでしたか。

鈴木いま私が働いている早稲田大学の高等研究所というところは、人文科学・社会科学・自然科学の若手の研究者が30人くらい所属していて、研究発表や会議なども全て英語なんです。そこで周りの先生から、日本の古代史で英語の論文を書く人はなかなかいないので、ぜひやってみてはどうかというアドバイスをいただいて。こういう環境に身を置くのも貴重な経験なので、せっかくだからチャレンジしてみようと思い、去年から今年にかけて論文を書いて、エディテージさんに校正をお願いしています。

高等研究所がある早稲田キャンパス9号館

――― ありがとうございます。もうすでに論文になっているものを英語にするのですか?

鈴木アイディアとしてはそうですね。ただ、もとになる論文は同じフィールドの日本人の研究者向けに書いていて、かなり込み入った内容になっているというか、そのまま英語に訳してもほとんど伝わらないと思うので、外国の方にもわかってもらえるように、もとの日本語原稿から書き直したり、論文の構成も変えたりしています。日本の古代史をよく知らない外国の研究者にも、興味を持って読んでもらえるような形にしたいと思っています。

――― 自分で翻訳して校正する形ですね。エディテージでは、書籍に特化した校正・翻訳サービスも別にありますので。

鈴木そうなんですか。ぜひ検討してみたいと思います。

――― 最後に今後の研究活動について、特に英語での研究成果の発表という観点ではどのように考えていらっしゃいますか?

鈴木私の場合は、神道の研究や、国宝に指定されている古代の古文書の研究が中心なので、そうした古代日本独特の文化やその価値を英語でもっと情報発信をして、海外の研究者と交流したり、フィードバックをもらったりすることで、自分の研究を深めたり、研究の幅を広げたりしていきたいですね。もちろん英語で論文を書くことは、日本語で書くより何倍も大変ですが、でも新しいことにチャレンジしていきたい。そして、そうした自分の経験を、大学で古代史を勉強している学生たちにも伝えていきたいと思っています。

――― 長時間にわたりインタビューにご協力いただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。