研究論文をストーリーと共に伝える方法と取り入れるべきタイミング

研究論文におけるストーリー立ての重要性

論文執筆は簡単ではありません。とくに、正しい方法で取り組まなければ、研究論文を書くのはさらに難しく感じられるでしょう。そんなときに役立つのが「ストーリーテリング」の考え方です。この記事では、研究論文をストーリーと共に伝える方法と取り入れるべきタイミングをご紹介します。

研究論文におけるストーリーの役割

論文執筆は、ブログ記事のようなカジュアルな文章を書くのとは大きく異なるため、「ストーリーなんて必要?」と思うかもしれません。ですが、基本的なIMRaD構成(Introduction, Methods, Results, and Discussion)は維持しつつも、その中にストーリー的な要素を自然に織り込むことができれば、読者にとってはよりわかりやすく、読みやすい論文になります。

序論(Introduction)

このセクションでは、読者がこれから読む内容を理解できるよう、研究テーマの背景や文脈を示し、読者がスムーズに内容に入れるようにします。

  • 研究のテーマを紹介し、なぜそのテーマを選んだのかを説明します。
  • 主な疑問点を提示し、既存の文献とのギャップをどのように解決するのか、研究の意義を説明します。
  • 研究の意義や目的を明確にし、論文がどのように研究課題に答えるかを簡潔に説明します。
  • 論文の構成を簡単に紹介し、各セクションで何が得られるのかを説明します。

方法と結果(Methods、Results)

この2つのセクションは論文の中心であり、研究の過程と結果を伝える「本編」にあたります。

方法(Methods):ここでは、研究の登場人物(変数、データ、被験者など)を紹介します。

  • 使用した材料や実験手法、統計的手法、調査方法などを具体的に説明します。
  • なぜそれらを選んだのか、その理由も合わせて説明します。
  • 実際にどのように研究を進めたか、参加者には何をしてもらったのかなど、研究の流れがわかるように説明します。

結果(Results):読者は、上記の登場人物たちがどんな結末を迎えたのかを知りたがっています。

  • 明確で論理的なプレゼンテーションを確実にするために、このセクションをサブセクションに分けます。これらのサブセクションは、Methodsのセクションで説明したことと並行させることができます。
  • 期待通りの結果でなかった場合も含め、すべての主要な結果を記述します。否定的な結果も今後の研究のヒントになります。
  • 図表、グラフ、イラストなどを使い、視覚的にわかりやすく示すのも有効です。ただし、内容を重複させないように注意しましょう。

考察(Discussion)

すべての物語には「終わり」があり、読者に納得感を与える必要があります。考察(論文によっては結論のセクションも)では、読者に研究全体の意味や今後の方向性を示すべきです。

  • 研究結果の要点をまとめ、その意味を考察します。正確な推論で結論を正当化しましょう。
  • 期待した結果と一致したかどうかを振り返り、一致しなかった場合にはその理由を考察します。
  • 今後の研究につながる課題や可能性について提案します。

まとめ

ストーリーテリングは、カジュアルな文章だけでなく、学術論文でも重要な役割を果たします。研究の背景、方法、結果、そして考察をひとつの「物語」として読者に伝えることで、より伝わりやすく、印象的な論文になります。次の論文執筆では、ストーリーテリングをぜひ活用してみてください。

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この記事を書いた人

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