エディテージ・グラント2024にて大賞に選ばれたVALENCIA, JOSEPH EVANGELISTAさんに、大賞に選ばれた喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。
VALENCIA, JOSEPH EVANGELISTAさんプロフィール
VALENCIA, JOSEPH EVANGELISTA
新潟大学大学院保健学研究科の博士課程に在籍。フィリピン保健省熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine, Department of Health)の国立住血吸虫症研究所(National Reference Laboratory for Schistosomiasis)の研究員でもある。
6人兄弟の末っ子として生まれ、農家の両親に育てられる。貧しい人々や社会から疎外された人々が直面する社会問題に早くから触れ、それが自身の世界の見方を形成し、公衆衛生研究に関心を持つきっかけとなる。
仕事以外では芸術に強い関心を持っており、新潟での自由時間には陶芸をしている。リラックスしてストレスを解消することで、科学的な仕事と創造的なバランスをとっている。

受賞した研究内容について
フィリピンにおける日本住血吸虫症の撲滅に向けた継続的な努力にもかかわらず、依然としてギャップが存在します。その一つは、危険地域や病気の伝染場所を特定するための高感度な環境モニタリングツールがないことです。このギャップに対処するため、我々は環境DNA(eDNA)技術を応用し、環境中の日本住血吸虫のDNAを検出するシステムを構築しました。eDNA、人口統計学的データ、地形学的データを統合することで、包括的で正確なリスクマッピングを作成し、住血吸虫症の伝染地におけるヒトや動物の宿主の曝露を軽減するのに役立てます。
エディテージ・グラント2024次点を受賞して
エディテージ・グラントの大賞の受賞を非常にうれしく思います。初めていただいた助成金なので、私にとって特別なものとなりました。しかしそれ以上に、エディテージ・グラントが私たちの研究の価値を認めてくださり、社会の向上に貢献する可能性を信じてくださっていることに深く感動しています。
ご自身の研究について
私は寄生虫学の環境DNA(eDNA)研究を行うチームの一員です。私の専門は寄生虫学で、特にフィリピンにおける住血吸虫症に重点を置いています。現在、私たちはeDNA技術を応用して、コミュニティ・レベルでの住血吸虫症の存在を検出し、感染動態をより深く理解しています。このデータは、この病気を軽減し、最終的には撲滅するための、より的を絞った効果的な戦略の開発に役立ちます。
フィリピンでは、住血吸虫症は主に農業地域の人々、特に農民が罹患します。農家の息子である私にとって、この問題は非常に身近な問題です。私の公衆衛生寄生虫学への関心と、農村における住血吸虫症の社会的関連性が、この研究に取り組むようになったきっかけです。
現在、住血吸虫症について研究していますが、将来どのような社会的課題が生じたとしても、私は研究を通じて対応し、貢献したいと思っています。また、若い人たちを指導し、公衆衛生研究を行うよう奨励することで、いつか恩返しをしたいと考えています。エディテージ・グラントは、私が最も必要としていた時に、自分自身を信じ、自分の技術を成長させる手助けをしてくれました。
エディテージ・グラントに応募した理由
教授がエディテージ・グラントについて教えてくれ、応募するよう勧めてくれました。彼女のサポートにとても感謝しています。最初はエディテージ・グラントに応募することをためらっていたのですが、その使命を知り、心を動かされました。研究者として初めて、エディテージ・グラントは私の苦労を認め、社会に変革をもたらす研究に貢献したいという私の情熱を理解してくれていると感じました。
グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと
正直なところ、外国人学生として、応募手続きがとてもスムーズに進んだことに驚きました。そのプロセスを通して私をたゆまずサポートしてくれた献身的なスタッフの存在は、とても大きかったです。エディテージは、特に言語の障壁を克服し、あらゆる背景を持つ若手研究者に平等な機会を提供するという点で、まさに限界を打ち破っています。
エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと
エディテージ・グラントは私にとって初めての助成金ですが、助成金を獲得するのはかなり難しいと同僚から聞いていました。多くの場合、目標を達成するのに十分なリソースに迅速にアクセスすることができず、研究が遅れてしまうのです。しかし、エディテージ・グラントは、研究者の生活を楽にするという使命に忠実です。主に遠隔地でフィールドワークを行う者としては、必要な時に必要な材料を購入できる柔軟性があることで、プロセスがより管理しやすくなります。エディテージ・グラントが若手研究者に寄せる信頼には目を見張るものがあり、私は一生感謝し続けるでしょう。
エディテージ・グラントに認められた若手研究者として、私はより力をもらい、刺激を受けています。私たちの苦労が認められ、純粋に若手研究者を支援する助成金があることを知り、心強くなりました。エディテージ・グラントは、私を若手研究者としてだけでなく、将来への自信と希望に満ちた人間へと成長させてくれました。