エディテージ・グラント2024にて次点に入賞した津田 貴史さんに、入賞した喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。
津田 貴史さんプロフィール
Takashi Tsuda
2016年 愛媛大学医学部附属病院 初期研修医 修了
2025年 愛媛大学大学院医学系研究科 整形外科学 博士課程 修了
現在は整形外科医として勤務をしながら、研究を継続している。
勤務医として臨床に携わる一方で、現役ブレイクダンサーとして大会出場、イベント主催、イベント帯同、レクチャーなどを行っている。



受賞した研究内容について
私は現在、ブレイクダンス(ブレイキン)における負傷予防法の確立に取り組んでいます。ブレイクダンスは2024年パリオリンピック正式種目として開催され、社会的にも大きな注目を集めています。しかしその一方で高い外傷・障害発生率が報告されており、安全体制の構築が喫緊の課題となっています。
エディテージ・グラント2024次点を受賞して
私の取り組んでいる研究をご選出いただき、心より光栄に存じます。自身の取り組みを肯定してくださり、背中を押していただけたように感じており、身が引き締まる思いです。
ご自身の研究について
地元のダンスイベントに出席し、医学的アドバイスを通じ安全に配慮したダンスの継続に関する啓発活動を行っています。また、ダンス動作のバイオメカニクス解析を通じて、負傷発生メカニズムの解明にも取り組んでいます。
この研究に興味を持ったのは、やはり自身が永らくダンスシーンに関わってきたことが大きなきっかけとなりました。これまで私自身を含め、外傷や障害によってパフォーマンスの制限を余儀なくされたダンサーを数多く目の当たりにしてきました。医療者としての経験を重ねる中で、その視点をダンスシーンに落とし込みたいという思いが強まり、本研究を取り組むに至りました。
ダンサー、医師、そして患者というすべての立場を知る自分だからこそ取り組める研究を、今後も探究していきたいと考えております。その唯一無二の視点を活かし、ダンサーの未来を明るく照らし寄与することのできる研究成果をあげたい、と強く思っております。
若手研究者としては、自身の取り組みを発信する機会や、研究活動をさらに発展させるご縁に恵まれる機会が非常に貴重であり、ありがたく感じます。研究は時に良い意味で予想外の展開を見せることもあり、そのすべての瞬間に大きな高揚感と充実感を覚えます。
エディテージ・グラントに応募した理由
私はこれまでも自身の研究論文を執筆する際には、エディテージに英文校正を依頼しておりました。本グラントについては、エディテージからのご案内メールを拝見したことがきっかけで知りました。若手研究者を応援してくださるというコンセプト、そして分野を問わず広く応募を受け付けてくださる寛容なお考えに、強く惹かれました。自身の想いを自由に込めて発信できる絶好の機会と感じ、今回の応募を決意いたしました。
グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと
形式的な「計画調書」とは異なり、「エッセイ」という形式であることを意識し、審査員の方々に文章を通じてリアルな情景が思い浮かぶよう心がけて執筆いたしました。また、伝えたいことが多く、限られた字数内に収めることに大変苦労いたしました。
エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと
エディテージ・グラントは、助成金の用途に大きな自由度が認められている点もさることながら、何よりエッセイによる選考方法が非常にユニークであると感じました。エッセイという形式は、自身の研究への想いを言葉で表現しやすく、心躍る気持ちで準備を進めることができました。
また、セレモニーではさまざまな分野で情熱をもって研究に取り組む方々や、研究者を心から支援してくださる皆さまと交流する機会をいただき、大変刺激を受けました。エディテージ・グラントは単なる研究助成プログラムではなく、若手研究者への温かい応援の気持ちが込められた、心の宿るプログラムであることを実感いたしました。