AIによる執筆・校正の後も、独自の「Author Voice(著者の声)」を保つ方法

How to Preserve Your Unique Author Voice After AI Writing and Editing

「ああ、彼女の本を読むのが本当に大好きなんです。ストーリーは無理なく展開していくし、登場人物が生き生きと描かれているんです!」

「Arnold教授が、思春期の若者における社会的移行への対処に関する新しい教科書を出版したそうです。きっと前作と同じくらい良い本でしょうね。」

著者の文体には、何度でもその人の著作を手に取りたくなるような何かがあります。時間が経つにつれてその文体が認識できるようになり、お気に入りの作家となるのです。簡単に言えば、それは読者に直接語りかけてくる「著者の声(Author Voice)」です。しかし小説などとは異なり、学術的な執筆や校正は通常、決まった表現スタイルに従います。言葉遣いは一般にフォーマルで、独自性を表現する余地はほとんどありません。それでも、研究論文にストーリーテリングを織り込むことは可能です。この考え方については以前に詳しく取り上げていますので、以下のブログ記事をお読みください。

この記事では、AIが書いた文章を「人間らしくする」ことに焦点を当てます。といっても、ヒューマナイザーツールの話ではありません。AIライティングアシスタントを使っていても、研究論文を作成する際に自分の声と独自の文体を保つにはどうすればよいかを学ぶ、ということです。

目次

文章における「著者の声」とは何か?

著者の声とは、個々の著者が時間をかけて身につけていく文章スタイルのことです。著者は、自分らしい単語、フレーズ、表現、そして文の長さの変化などを用いることで、文章を通して自身の個性を表現できます。 

自分の文章スタイルは、どうすれば把握できるのでしょうか。次の問いを自分に投げかけてみてください。

  • アイデアを切り替える際に、自分が好んで使う言葉は何か?
  • 文章の中で、疑問文をどのくらいの頻度で使っているか?
  • 能動態で書くことが好きか? それとも受動態を使うことのほうが多いか?
  • 好みの文の長さはどのくらいか? 短く簡潔なものか、長くて複雑なものか?
  • 分野固有の専門用語については、説明なしにそのまま使うか、それとも一般の読者に向けて詳しく説明するか?

大学時代から、あなたは課題、エッセイ、実験レポート、研究論文などを書いてきたはずです。その中には、おそらくAIが登場する以前に書かれたものもあるでしょう。それらを参考資料として、自分独自の文章スタイルを見つけ出してください。

AIがあなたの文章スタイルに及ぼす影響

ChatGPT、Perplexity、Claudeといった生成AIツールを使えば、著者はプロンプトを与えてツールにコンテンツを生成させることができます。当然ながら、これはAIが関与した文章の真正性という問題を提起します。しかし、仮にAIが生成したコンテンツをそのまま原稿に使うのではなく、研究論文を準備する際に参照するだけだとしましょう。それでも文章スタイルに影響はあるのでしょうか。それは確かにあります。

AIの文章を繰り返し読んでいると、AIの語彙に過度に慣れてしまうため、アイデアの表現方法が変わってきます。たとえば、意図せずに「moreover」、「it is important to note that…」、「furthermore」といった語句を文章の中で頻繁に使い始めるかもしれません。あるいは、ヘッジ表現(断定を避け、主張の強さを調整する表現)を用いずに強い主張をするAIツールのやり方が、いつの間にかあなたの文章にも入り込んでいるかもしれません。その結果、過大な主張をせずに結果を報告することが求められる結果や考察のセクションで、「may」「might」「suggests」「indicates」「appears to」「possible that」といった限定表現の使用を最小限に抑えてしまうかもしれません。  

では、解決策は何でしょうか。AIを完全に放棄すべきなのでしょうか。

必ずしもそうではありません。Paperpalのように学術執筆のために作られたAIツールは、時間を節約し効率的に作業するうえで実に優れています。研究論文を練り上げていく過程で、論文を構成するためのアウトラインを作成したり、文章を言い換えたり、さらにはアイデアのブレインストーミングにツールを使ったりすることもできます。要するに、AIが生成・編集した内容について、人間がその妥当性を確認することが重要なのです。

AIらしい文章を編集する方法

ここから、AIが生成した文章を言い換える最良の方法について見ていきましょう。

1. 繰り返し使われているように見える接続語を認識し、それらを置き換える。

フォーマルな文章や学術的な文章では、「moreover」「however」「not only…but also」「it is important to…」などの接続詞がよく使われます。これらは厳密に言えば間違いではありませんが、繰り返し過剰に使うと、文章がAIの書いた文のように見えてしまいます。

解決策:さまざまな接続表現を使い分けましょう。「moreover」を使う文もあれば、「in addition」「furthermore」「beyond this」「additionally」を使う文があってもよいのです。場合によっては、接続詞を使わずに、情報をそのまま直接述べてもかまいません。文頭で「it is important to note that…」を使うのは避けましょう。これは非常にChatGPT的です。代わりに「notably」を使うか、このフレーズ自体を完全に削除してください。

語彙や表現に変化を持たせることで、AIが生成した文章も自然に言い換えやすくなります。

2. 分野固有の用語を加えてニュアンスを保つ

AIライティングツールの使用に関する最大の懸念は、ニュアンスや文脈が失われることです。これらは研究分野によって異なり、多くの場合、研究テーマ固有のものです。たとえば、考察セクションのドラフト作成の助けとして、ChatGPTに研究結果を解釈するようプロンプトで指示し、そのプロンプト内に実験結果を貼り付けたとすると、2つの大きなリスクが生じる可能性があります。

a) 未発表の研究結果が生成AIツールと共有されたことになります。モデルの学習に使われる可能性はないのでしょうか。あるいはさらに悪いことに、最終的に論文を発表したとき、AIツールがその結果を参照してユーザーに情報を出力していたかもしれないために、その結果が剽窃として指摘されることはないでしょうか。

b) 研究結果の解釈には批判的思考が必要であり、これは人間特有のスキルであって、機械には任せられない作業です。ツールは研究結果が示す意味を複雑にし、本来意図した意味ではなく、ツール自身の学習データセットに基づいて解釈してしまう可能性があります。

したがって、適切な箇所では専門用語を残し、分野固有の用語を使うことで、このようなニュアンスの喪失を防ぐようにしましょう。

例

AIの文章:SPSN is a concept close to RSN. However, SPSN possesses distinctiveness in that it encompasses professional and practical aspects, whereas RSN does not.

人間が編集した文章:Although SPSN is conceptually related to the RSN, it distinguishes itself by encompassing professional and practical aspects, such as nurses’ growth orientation, active involvement in teams, and interpersonal consideration, whereas the RSN emphasizes adaptability and psychological persistence in challenging situations.

3. 段落内の文の長さに変化をつけ、文章に抑揚をつける

最近、ロボットのように聞こえるソーシャルメディアの投稿を見かけませんか?

「問題なのはXではなく、Yです。Yについては深刻な懸念がありますが、解決策はあなたが思っているよりもずっと簡単です! A、B、Cを実行するだけでいいのです。これを継続して、人生を最高の形に変えましょう!」

ありきたりな表現に聞こえるかもしれませんが、内容はさておき、文の長さに注目してみてください。典型的な構成として、肯定的な考え1つと否定的な考え1つがカンマでつなぎ合わされ、続いて意外性のある要素、3つの手軽な解決策(なぜいつも3つなのでしょうか?!)、問題の再提示があり、最後に行動を促す言葉が続きます。

AIに「学術的なトーン」の文章を生成するよう指示した場合にも、同じ問題が起こります。文の長さに変化がなく、同じ表現が繰り返されるため、原稿が単調になります。特に読者が各段落で同じパターンに遭遇すると、その傾向が顕著になります。したがって、そのようなAI生成のものは、文の長さに変化を保てるように言い換えましょう。以下に例を示します。

AIの文章:Improving athletic performance is a major area where assessing physical risk plays an important role. Traditional evaluation methods based on past analysis and general guidelines often fail to capture physical stress during sports activities. Therefore, it is important to improve assessment methods to better reflect the changing nature of competitive sports.

人間が編集した文章:Biomechanical risk assessment plays a pivotal role in enhancing athletic performance. Conventional evaluation methods based on retrospective analyses and ergonomic guidelines often fail to capture real-time biomechanical stress during dynamic activities, strenuous workouts, and athletic movements. Therefore, assessment techniques must evolve to reflect the changing nature of competitive sporting events.

4. 研究結果を過度に断定している文章を修正し、適切なヘッジ表現を用いる

AIツールは、ユーザーのプロンプトに応答する際、自信に満ちた調子になりがちです。あいまいな表現が使われていたとしても、その言い回しは「this information may vary」(この情報は異なる場合があります)、「results can differ」(結果は異なる可能性があります)、「it is important to note」(留意することが重要です)、「in some cases」(場合によっては)など、非常に一般的な言い回しにとどまります。では、著者の場合はどうでしょうか。あいまいな表現は、エビデンスの評価に基づいたものであるべきです。

たとえば、十分に確立された事実や理論に対して、助動詞や確率副詞を使う必要はありません。あいまいな表現を使うのは、データについて本当に確信が持てない場合、あるテーマについて専門家の意見が分かれている場合、あるいはデータへのアクセスが限られている場合だけにしましょう。

AIライティングにおける著者の声の喪失に関するよくある質問

1. AIが書いた文章で必ず確認すべき3つのポイントは何ですか?

AIが生成したコンテンツはすべて、構文、語彙、そして引用の正確性について徹底的に確認しなければなりません。

  • 構文(syntax):文の長さ、能動態と受動態の使い方、従属節、接続表現などを確認します。
  • 語彙(diction):特定の語彙や単語の選択によって、文章のトーンが機械的で単調になっていないかを確認します。
  • 引用の信憑性: 生成AIツールが参考文献として挙げた引用が本当に正確かどうかを、必ず検証します。

2. 学術論文であいまいな表現の使いすぎを避けるにはどうすればよいですか?

学術論文であいまいな表現を使うこと自体は問題ありません。ただし、特に方法と結果のセクションでは、誤用や使いすぎがないように注意しなければなりません。

  • データとそれに対応する結果に確信があるときは、事実をそのまま述べましょう。自分の結果を疑うような書き方をすると、報告した結果の妥当性を査読者に疑わせてしまう可能性があります。
  • 周知の科学的事実にあいまいな表現を使うのは避けましょう。あいまいな表現が必要なのは、不確実なデータや限られたデータ、不明確なエビデンス、あるいは専門家の意見が分かれている場合だけです。
  • 習慣としてあいまいな表現を繰り返し使ってはいけません。議論全体を弱めてしまうことがあるからです。十分に裏付けのある主張においてまで「may」「might」「could」「appear to」などの表現を不必要に重ねると、研究が伝えようとするメッセージに影響が及びます。

3. 著者の声を最もよく保てるAIツールはどれですか?

ChatGPTのような生成AIツールやチャットボットは、学術執筆には適していません。著者の声を維持することが重要な場合は、独自のコンテンツを生成するのではなく、あなたの文章を修正するだけのAIライティングアシスタントを使うことをおすすめします。

Paperpal、SciSpace、Jenni AIなどのツールは、学術論文の執筆を支援するために設計されています。そのため、著者の文体が損なわれる可能性が低くなります。Paperpalの提案やアウトラインを使って原稿を組み立てましょう。アイデアを練ったり、文章を言い換えたり、剽窃チェックを行ったり、PDFの内容についてAIと対話したりすることで、批判的思考に取って代わるのではなく、執筆の質を高めることができます。  

4. AIツールが文法の誤りを修正した場合、著者の声は失われてしまいますか?

必ずしもそうではありません。著者の声は文法によって決まるものではありません。したがって、AIツールがあなたの文章の文法上の誤りを訂正しても、文章を改善しているだけで、あなたの考えそのものを置き換えているわけではありません。あなたの文章スタイルを決めるのは、構文、語彙、能動態と受動態の使い分け、そして文の長さの変化です。これらの面に注力し、英文法はツールに任せましょう。

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
今日、エディテージは専門家によるサービスとAIツールの両方を用いて、研究のあらゆる段階で便利に、安心して使っていただける包括的なソリューションを提供しています。

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