エディテージ・グラント2025次点を受賞-梶田 美香さんにインタビュー

エディテージ・グラント2025にて次点を受賞した梶田 美香さんに、入賞した喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。

梶田 美香さんプロフィール
Mika Kajita

フィンランド・トゥルク大学に所属する歯科医師・疫学研究者であり、EUの競争的研究者育成フェローシップであるSYS-LIFEフェローとして、歯科不安(Dental Anxiety)と口腔健康格差をテーマとした研究を行っている。

広島大学歯学部卒業後、九州歯科大学大学院で博士号を取得し、歯科麻酔科専門医として臨床経験を積んだのち、公衆衛生・疫学研究へと研究分野を広げる。
現在はトゥルク大学にて、出生コホート研究などの大規模疫学データを用い、歯科不安が歯科受診行動や口腔疾患、さらには全身疾患リスクにどのように影響するかを研究している。また、歯科不安による受診回避という「見えない医療アクセス障壁」を解決するため、行動科学に基づいた歯科行動変容アプリ「DentalGO」の開発にも取り組んでいる。

歯科医療における心理的要因を科学的に可視化し、すべての人が安心して歯科医療にアクセスできる社会の実現を目指して研究を進めている。

5歳娘の母。美術館めぐりやバイオリンを弾くことが趣味だが、子育てで休止中。最近親子アートスクールに行き始め、親子ともども楽しんでいる。

mika kajita

受賞した研究内容について

私は、歯医者に行くことが怖いという感情である「歯科不安」について研究しています。歯科不安は個人差があり、全く怖くない人もいれば、とても怖さを感じ、歯が痛くても歯医者に行くことをためらうという方も多くいます。歯医者で痛い思いをした等の経験も歯科不安の形成に影響しますが、生まれ持った気質、例えば感覚の敏感さや不安の感じ易さの影響が大きいこともわかってきました。歯の健康は全身の健康や社会生活に影響を与えます。生まれ持った気質で歯医者に行くことにバリアができてしまうのは健康格差につながると考え、歯科医院の外で楽しんで使用できる口腔衛生アプリを構想しました。

エディテージ・グラント2025次点を受賞して

医療系ではない学問全般を対象としたグラントでしたので、私の研究を評価してくださったことがとても嬉しく、励まされる気持ちになりました。

ご自身の研究について

普段は歯科不安研究の最先端である、フィンランドトゥルク大学で大規模データを使って歯科不安が人々の行動やお口の健康を介して全身の健康に与える影響を研究しています。

私自身、幼少期に「歯医者が怖い」という気持ちに苦しみました。私の不安に寄り添い、笑顔で受け入れてくれた女性⻭科医師の存在が、私の職業的原点です。患者さんの気持ちに寄り添える歯科医師を志し、歯科麻酔専門医を取得しました。その後、歯科不安に苦しむ人は歯科医院まで辿り着けていない、歯科医院の外で研究をしなければならないと考え、歯科口腔衛生領域に軸足を移しました。

今後は、歯科、心理、医学、疫学を横断する研究、そして研究結果を社会実装する研究を行いたいです。それを通じて、誰もが安心して歯科を受診し、お口の健康を守れる社会を目指します。

エディテージ・グラントに応募した理由

エディテージには10年ほど前から英文校正をお願いしており、同社からのメールでこのグラントのことを知りました。現在、歯科不安という社会的問題を解決するためのアプリの開発を試みていますが、資金不足でプロトタイプが作れない、先行データがない、グラントに応募できないという負のスパイラルにはまっていました。エディテージ・グラントは「自身の研究によって社会にインパクトを与えたいと願う若手研究者」を対象としており、私の目的とステージに合うかもしれないと考え応募を決めました。

グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと

エッセイを書くというのはこれまでの研究者人生であまり経験がありませんでした。普段論文を書くときは可能な限り主観を排除します。しかし今回はエッセイなので、なぜこの研究がしたいのか、なぜこの研究が重要なのかを主観的に書くことがとても新しく大変でした。

エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと

応募方法がエッセイ、使用用途に制限がないというのは他のグラントと大きく異なる点で、グラント申請の経験が浅い若手研究者でもアイデアと熱意でチャレンジが可能と感じました。

普段、若手研究者として感じていること

若手研究者というアカデミックステージは限られています。若手研究者であるうちに可能な限り論文を書き、グラントにチャレンジしなければならない一方、育児期間も重なる点に困難を感じます。育児と研究の両立というつなわたりを日々行っています。

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
今日、エディテージは専門家によるサービスとAIツールの両方を用いて、研究のあらゆる段階で便利に、安心して使っていただける包括的なソリューションを提供しています。