エディテージ・グラント2025にて大賞を受賞した小出水 健人さんに、大賞を受賞した喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。
小出水 健人さんプロフィール
Kento Koizumi
2019-2023 筑波大学 工学システム学類
2023-2025 筑波大学大学院 知能機能システム学位プログラム 博士前期課程
2025-現在 筑波大学大学院 知能機能システム学位プログラム 博士後期課程(日本学術振興会特別研究員DC1)
幼いころから琴と三味線を習っており、現在も日々の気分転換として練習を続けている。時々、展示会に足を運んで新しい技術やアイデアの情報収集をしたり、休日には友人と会ってリフレッシュしたりして過ごしている。

受賞した研究内容について
本研究では、既存の電動車椅子に取り付け可能なアタッチメント機構を用いて、段差や不整地といった移動の困難を乗り越えるための移動支援技術の開発に取り組んでいます。車椅子にとって段差を乗り越えることは難しく、車椅子ユーザの移動には制約が生じています。本研究では、ユーザの身体動作と電動車椅子の駆動力を活用するアタッチメント機構を提案し、本機構を用いることで既存の電動車椅子の利便性を保ちながら移動性能を向上させることを目指しています。将来的には、多くの方が安全かつ自由に移動できる社会の実現に貢献することを目標としています。
エディテージ・グラント2025大賞を受賞して
この度はエディテージ・グラントの大賞に採択いただき、大変嬉しく思います。著名な審査員の方々に研究内容等を評価していただけたことを大変光栄に感じており、大きな励みになりました。今回の受賞を励みに、これからも自信を持って研究を進めてまいりたいです。
ご自身の研究について
普段は、車椅子の移動性能とユーザビリティを向上させるためのデバイスの研究開発に取り組んでいます。具体的には、PC上で力学シミュレーションを行い、その後、機械設計や3Dプリンタを活用したモノづくりを行っています。デバイスが完成した際には性能評価の試験を実施し、医学系の先生方へのデモンストレーションを行いながら、実際の車椅子ユーザへの適用に向けた議論を進めています。また、定期的に指導教員とミーティングを行い、方向性を検討しながら日々研究を進めています。
幼い頃からドラえもんが好きで、作品に登場するひみつ道具のように世の中の役に立つ技術を発明したいと思ったことが、ロボット分野に興味を持ったきっかけです。また、大学時代にロボットコンテストに参加した経験から、ロボット技術を競技のためだけでなく、人々の生活支援に活かしたいと考えるようになりました。特に、車椅子ユーザが駅員の介助を受けて電車に乗る姿を目にしたときから、工学的なアプローチによってユーザ一人で電車に乗ることを実現できないかと考えるようになり、現在取り組んでいる車椅子を含むパーソナルモビリティの移動支援技術の研究につながりました。
今後も、ユーザに寄り添ったパーソナルモビリティや生活支援ロボットの研究開発に取り組んでいきたいです。その実現に向けて、工学的な技術開発だけでなく、医学分野とも連携し、異分野融合による多角的な視点からデバイスの開発と評価を進めていきます。また、学術的な成果だけに留まらず、実際の現場課題の解決に貢献できるよう、研究成果を社会実装へとつなげていくことも意識しながら、社会に価値を生み出す研究に取り組んでいきたいです。
エディテージ・グラントに応募した理由
大学の就職活動イベントに参加した際に、株式会社エマージングテクノロジーズの深澤知憲様がエディテージ・グラントについて紹介されていたことがきっかけで、このグラントのことを知りました。博士課程の頃から研究助成金に挑戦することの大切さについてお話しされており、私も本グラントを通じて挑戦してみたいと思い、申請しました。
助成金を得られる点に加えて、エッセイの執筆によって自分への理解を深めることができ、今後のキャリア形成にも活かせると考えたことが、応募の大きな理由です。特に、エッセイの中に5~10年後の目標を記載する項目があり、この機会に自分のキャリアや人生も含めて将来を考え、言葉として整理してみたいと思いました。また、エッセイ形式であるため、論文や研究助成金の申請書とは異なり、自分の思いや研究への考えを自由に表現できる点にも魅力を感じました。実際に執筆している際には、自分の思いを率直に書くことができ、楽しく感じるとともに、改めて研究に対する思いを見つめ直す機会になりました。
グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと
読みやすい文章になるよう意識しました。具体的には、図を入れたり、文字の強調表現を取り入れたりといった工夫を行いました。ただし、エッセイ形式であるため、研究助成金の申請書よりも読みやすさを重視し、あくまでエッセイとして自然な体裁になるよう心掛けました。
エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと
エディテージ・グラントは、助成金を比較的自由に利用できる点が良いと感じました。研究の直接的な遂行だけに限らず、海外研究留学などの費用にも資金を活用できる点が魅力的だと思います。
また、応募からセレモニーまでを通して、研究者として自分の将来や研究への思いを改めて見つめ直す貴重な機会になったと感じています。著名な審査員の方々に評価していただけたことを大変嬉しく思い、今後の研究活動への大きな励みになりました。また、セレモニーでは様々な分野の方々と交流でき、それぞれの研究テーマや研究に対する思いの違いに面白さを感じるとともに、大きな刺激を受けました。全体を通して、若手研究者が自分の研究や将来について考え、挑戦することを後押ししてくれる大変意義のあるプログラムだと感じました。
普段、若手研究者として感じていること
自由に新しいアイデアに挑戦できる一方で、自分の研究が社会にどのような価値を生み出せるのかを常に意識することの大切さを感じています。特に、専門分野の知識だけでなく、その成果が社会にどう応用されるのか、本当に必要とされているものは何かを考えながら、様々な分野や現場の方々と議論を重ねて研究を発展させていくことの重要性を実感しています。そのような意味で、自分の研究を第三者にも分かりやすく伝える力や、様々な人とコラボレーションしていくスキルが今後ますます重要になると感じています。
