エディテージ・グラント2025にて次点を受賞した黒田 佳奈さんに、入賞した喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。
黒田 佳奈さんプロフィール
Kana Kuroda
京都大学大学院の助産師コースの修士課程修了後、大阪大学医学部附属病院総合周産期母子医療センターにて助産師として5年間勤務。助産学分野のEBM確立と実装に繋がる研究がしたいと思い、退職。神戸大学大学院保健学研究科に進学、2026年3月現在博士後期課程2年に在籍しながら、同大学院特命助手として勤務。
普段は近くに住んでいる5才、3才の姪と公園で遊んだり、自転車の練習をしたり、一緒にゲームをしたりしている。

受賞した研究内容について
助産師・医師が妊婦に対して体重増加・栄養指導を行う際に、体重増加の目安となる使いやすい科学的資料を提示することを目的としています。日本の女性は妊娠前より痩せ傾向であり、また妊娠中体重増加が少ないため、将来の様々な疾患の原因である低出生体重児が多いです。現在は、10ヶ月の妊娠中いつ頃にどれほどの体重増加があれば適正かの具体的な指針がないため、助産師・医師個々人の経験をもとに、その場限りの判断と指導を行っており、最終的に推奨体重増加量に到達しないのが現状です。よって、科学的根拠を基に、個々に合わせた体重増加・栄養指導ができれば、日本の低出生体重児の発生抑制、ひいては、生涯にわたっての健康リスクの抑制に寄与することができると考え、本研究の策定に至りました。
エディテージ・グラント2025次点を受賞して
この度は、エディテージ・グラント次点受賞、ありがとうございました! 多くの応募者の中から選んでいただけたこと、誠にうれしく思っています。
私は、指導教授のもとに研究テーマを持ち込んで自分の研究を始めたため、自分で研究費を獲得する必要があります。しかしその道は険しく…研究助成不採用の通知が来る度に、「私の研究テーマは世の中に求められていないのではないか…」と不安になっていたのですが、今回の受賞で「この研究テーマで続けていいんだ!」という気持ちを持つことができました! ありがとうございました!
今研究している分野に興味を持ったきっかけ
私が⼤学病院の産科病棟で助産師として働いていた時、年々、合併症を伴わない妊婦さんから⽣まれてくる⾚ちゃんであっても、出⽣時体重がどんどん⼩さくなってきていると感じていました。その原因が、妊娠前の痩せや体重増加が少ないことであることは体感的に感じていたのですが、自分の身近にいた妊婦さん達に体重増加を制限する理由を聞くと、多くが「助産師さん、お医者さんに怒られるから。」という声でした。そこから、体重管理がどのガイドラインに基づいているか、それはどのようなエビデンスに基づいているか調べていくと、あまりにも曖昧であり、そのため私達助産師の指導も人によって違うものになってしまっているのだと感じました。そこで、自分達助産師が指導する際に、エビデンスに基づいて、なおかつ使いやすい資料を作りたいと考え、研究を始めました。
エディテージ・グラントに応募した理由
大学院生が応募できる研究助成を調べていたところ、ウェブサイトの掲示を見て、このグラントを知りました。大学院生が応募できる助成はあまり多くなく、また研究業績がないと採択されにくいのが現実です。その中でエディテージ・グラントは、これまでに論文投稿していない人・資金援助を受けていない人が優先されるということだったので、もしかしたら…!という思いと、当たって砕けろ…!という思いで、応募させていただきました。
グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと
選考委員の方々が、自分の研究分野とは異なる様々な分野の先生方だったので、専門的な内容の説明が疎かにならないよう、またその研究内容が専門外の方々にも必要だと分かっていただけるように記載しました。
エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと
エディテージ・グラントと他の助成金プログラムの違いは、応募がエッセイ形式であること、研究テーマの策定に至った動機を記載することです。自分が研究の道に進んだ理由をエッセイ形式で書く中で、さらに研究に対する思いが強くなり、エディテージ・グラントに応募させていただいたことでさらに「この研究を形にしたい!」という思いが強くなったのを覚えています。
日本は研究者が育ちにくい環境と言われることが多いですが、今回のグラントの応募からセレモニーまでを通して、様々な分野に同世代の研究者がたくさんいるんだと感じることができ、嬉しかったです。これからも頑張っていこうと思える機会になりました!
大賞に一歩届かなかった点は残念ですが、大賞を受賞された方々のお話を聞いていると、どの研究も「絶対に世の中に必要だ!」と感じさせられるものばかりでした。自分の研究は、そのように皆さんに伝えられているだろうか、そのように改めて振り返る機会にもなりました。
