エディテージ・グラント2024にて次点に入賞した真鍋 一生さんに、入賞した喜びやご自身の研究について、グラントに応募して感じたことなどを語っていただきました。
真鍋 一生さんプロフィール
Issei Manabe
2022年3月 大阪教育大学 教育学部 教員養成課程 卒業
2024年3月 名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士前期課程 修了
2024年4月 名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 博士後期課程 入学
現在に至る
いろいろなことにはまりがちだが,昔からバスケットボールと音楽をきくことに対しては一貫して興味を持ち続けている。バスケでは特に国内バスケリーグのB LEAGUEをよく観ており、試合のある日は何試合も同時に観戦。音楽は中学生のころから、back numberが好きでライブがあれば毎回必ずといっていいほど参戦している。

受賞した研究内容について
私の研究は「学習における負担(=コスト)」を学習者がどのようにとらえているかに注目したものです。
「負担は悪いもの」と考えられがちですが、そのとらえ方次第で、学習への向き合い方も大きく変わります。私は「コストに対する信念」という概念を独自に提案し、大学生を対象にした調査や介入研究を通じて、その有効性を検討しています。
負担を感じても挑戦しようと思えるような学習者を育てるために,将来的には教育現場で使える実践モデルの開発を目指しています。
エディテージ・グラント2024次点を受賞して
この度は、エディテージ・グラント2024の次点を受賞でき、大変うれしく思います。
これまで、研究に関して賞をいただいた経験がなく、今回初めて、自分の研究が「賞」というかたちで認められたように感じております。このような評価をいただけたことを、大変光栄に思います。
今後は、この受賞に恥じぬよう、より一層研究に真摯に取り組み、社会に貢献できる研究者として成長していけるよう、日々努めてまいります。
ご自身の研究について
普段は「学習における負担(=コスト)」に対する学習者のとらえ方に注目し、学習動機や行動との関連を調べる研究を行っています。コストをどうとらえるかによって、学習への向き合い方が大きく変わることを明らかにすることで、よりよい支援のあり方を探っています。また、研究活動と並行して、大学や専門学校で心理学の授業も担当しており、教育現場での実践と理論の接続も大切にしています。
教育や学校場面に関する研究や書籍を読んでいる中で、ポジティブな側面に焦点を当てたものが多いことに気づきました。一方で、「しんどさ」や「不安」といったネガティブな側面も学習に大きな影響を与えているのではないかと感じたことが、今の研究に興味を持つきっかけです。そうした視点から、学習における負担(=コスト)に注目し、そのとらえ方によって学習への向き合い方が変わるのではないかと考えるようになりました。
子どもたちや学習者が、学習に対して前向きな姿勢をもち、たとえ負担を感じたとしても、自分自身の夢や目標に向かって挑戦し続けられるような支援につながる研究を進めていきたいと考えています。そのために、理論に基づいた検討を大切にしつつ、実践の場での視点も忘れず、研究者としてだけでなく教育実践者としての立場も意識しながら、現場に根ざした研究を続けていきたいと思っています。
若手研究者としては、これまで多くの先人たちが築いてきた知見を大切にしながら、自分自身もその土台の上に新たな発見を積み重ねていけるよう、日々努力していきたいと考えています。また、「若手であるかどうか」に関係なく、一人の研究者として、責任をもって一つ一つの研究に丁寧に向き合っていく姿勢が何よりも大切だと感じています。
エディテージ・グラントに応募した理由
前年度(2023年度)の募集時に、研究科の先輩からこのグラントの存在を教えていただきました。そのときはまだ博士前期課程だったため応募は見送りましたが、次のチャンスがあればぜひ応募したいと考えていました。特に、海外の研究者と直接コミュニケーションを取りたく、国際学会にも参加したいと思っていたのですが、これまで資金の都合でオンラインでの参加にとどまっていました。このグラントを通じて、実際に現地に足を運び、研究について対面で議論できる機会を得られたらと考え、応募を決意しました。
グラントへの応募にあたり、苦労したことや工夫したこと
これまでの経験や研究への思いを、限られた文章の中でどう伝えるかに工夫が必要でした。自分自身を振り返りながら、「なぜこの研究をしているのか、どのような経験が今につながっているのか」を丁寧に言語化することを意識しました。
エディテージ・グラントに応募してみて感じたこと
他の助成金では、研究計画や業績などが主に評価されることが多い印象がありますが、エディテージ・グラントでは、これまでの自分の経験や、研究に取り組む動機、問題意識といった研究者個人としての側面にも注目していただける点が特徴的だと感じました。
セレモニーでは、異なる分野で活躍されている研究者の方々と直接交流することができ、大変刺激を受けました。それぞれの研究に込められた思いや取り組みに触れることで、自分の研究にも新たな視点を得ることができたように思います。こうした貴重な機会を提供してくださったエディテージ・グラントに心から感謝しています。