研究発表の場では、ジャーナルが論文と一緒に「グラフィカルアブストラクト」や「ビジュアルアブストラクト」を求めるケースが増えています。デジタル出版の普及に伴い、学術コンテンツの構成は劇的に変化しました。検索エンジンを通じて発見・インデックスされ、拡散されるため、そして進化し続ける読者層が内容にアクセスしやすくするために、ジャーナルや学術出版社は、グラフィカルアブストラクトのようなウェブとの親和性の高い要素を原稿に取り入れる必要があります。
この記事では、グラフィカルアブストラクトのメリットを理解する一助となるよう、ジャーナル投稿に向けた効果的なグラフィカルアブストラクトの作り方をご説明していきます。
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グラフィカルアブストラクトとは?
グラフィカルアブストラクトとは、研究論文の重要な発見を、シンプルかつ簡潔に視覚化した要約のことです。その最大の利点は、論文の核心や最も伝えたいメッセージを、ひと目で理解できる形で提示できることにあります。これにより、読者が「論文の全文を詳しく読んでみよう」という気持ちになり、結果として論文の閲覧や読者層の拡大を促進します。
グラフィカルアブストラクトは、手軽に共有できるコンパクトな画像しての役割も果たし、研究論文のSNSでのエンゲージメントを向上させます。それだけでなく、「論文の質が高い」「科学的に厳密である」、さらには「より聡明な著者陣によって執筆されたものである」といったポジティブな印象を強める効果もあります。
実際、ビジュアルアブストラクトはテキストのみのアブストラクトに比べてSNSで8倍多く共有され、その結果、関心を持った読者が論文へと足を運ぶ確率が格段に高まることが研究によって示されています。
グラフィカルアブストラクトの効果とは?
視覚的に魅力的なグラフィカルアブストラクトは、画像に対する脳本来の親和性を活用することで、理解度を高め、記憶への定着を促します。
ただし、グラフィカルアブストラクトは論文そのものの代わりになるものではないという点に注意が必要です。グラフィカルアブストラクトはあくまで読者の注意を引き、複雑なデータを素早く理解させることで、研究論文の全文をより深く読み進めるよう動機付けるためのものです。グラフィカルアブストラクトの具体的なメリットを正しく把握しておくことは、著者が自身の研究メッセージに合致した、効果的なデザインを作成する助けとなります。
グラフィカルアブストラクトによって論文が目に付きやすくなる
研究者が文献調査を行う際、目にするすべての論文の要旨(アブストラクト)を読み込む時間はありません。研究内容をひと目で把握できるビジュアルアブストラクトがあれば、研究の核心を迅速に理解してもらうことができます。それにより、自身の分析にとってその研究がどれほど関連性があるかを即座に判断できるようになり、結果として論文をさらに読み進めるきっかけとなるのです。
グラフィカルアブストラクトは研究の要点を伝えるのに役立つ
研究の重要な発見を視覚的に要約することは、読者が求めている情報を的確に提供することに繋がります。グラフィカルアブストラクトは、分析に用いられた主要な手法や、研究の核となる成果を際立たせるのに効果的です。これにより、読者は著者が何を伝えようとしているのかを即座に理解できるようになり、その研究についてさらに詳しく知りたいという意欲が高まります。
グラフィカルアブストラクトはSNSでの共有を通じて認知度を高める
研究成果の普及は、もはや学術雑誌や定期刊行物だけに限定されるものではありません。ソーシャルメディアや短尺コンテンツの発展に伴い、科学コミュニティもコンテンツ普及における急速な変化を受け入れるようになりました。
研究によると、ビジュアルアブストラクトはSNS上でのリーチを広げ、論文内の主要な図表よりも、X(旧Twitter)でのインプレッション数やリツイート、「いいね」の数を増やすことが示されています。また、グラフィカルアブストラクトは各論文の引用数やSNSでの露出を効果的に増やすことができ、この傾向は特に胃腸病学(Gastroenterology)や肝臓病学(Hepatology)分野のジャーナルで顕著に見られます。
簡単に言えば、SNSで共有しやすいグラフィカルアブストラクトを活用することで、研究論文の認知度を大幅に向上させることができるのです。
グラフィカルアブストラクトは視覚的な表現によって理解を促進する
先に述べたように、グラフィカルアブストラクトは研究論文を補完するものであり、論文そのものに取って代わるものではありません。人間はテキストによるコンテンツよりも視覚的な表現をより良く把握する傾向があるため(4)、テキスト形式の要旨(アブストラクト)に加えてグラフィカルアブストラクトを提供することは、読者の研究に対する理解を深めることにつながります。テキストの要旨を力強いビジュアルやイメージで補完することで、研究メッセージの明快さが高まり、その結果として研究のインパクトをより強めることができるのです。
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グラフィカルアブストラクトの作成方法
多忙なスケジュールの中でグラフィカルアブストラクトを作成することは、さらなる負担が増えるように感じられ、気が引けるかもしれません。また、デザインが専門外である場合、完成したビジュアルアブストラクトが果たして効果的なのかどうか、確信が持てないこともあるでしょう。
幸いなことに、グラフィカルアブストラクトの作成プロセスをスムーズに進めるのに役立つツールやサービスが、現在では数多く存在しています。
自分で作成する方法
グラフィカルアブストラクトを自身で作成する際は、そのプロセスを助けてくれる適切なデザインツールを見極める必要があります。
デザイン・イラスト作成ツールの活用
CanvaやAdobe Illustratorといった広く普及しているデザインツールは、ユーザーフレンドリーで操作もしやすく、視覚的に優れたデザインを作成できるプラットフォームとして知られています。しかし、これらのツールは本来、マーケティング用のプロモーション資料やSNS向けのポスター作成など、非学術的な用途に適したものです。
Mind the GraphやBioRenderといったツールは、研究者が科学的なイラストレーションを作成するのを支援するために開発されたものです。これらのツールは、効果的なビジュアルアブストラクトの作成を助けるため、科学分野に関連する専門的なアイコンやグラフィック、そしてテンプレートを提供しています。テーマ別のテンプレートや汎用的なテンプレート、ドラッグ&ドロップ機能、カスタマイズ可能なアイコンなどのオプションを活用することで、ジャーナルの規定を満たしつつ、さまざまな寸法や向き(横向き、縦向き)のグラフィカルアブストラクトを作成することが可能です。
以下に、ニーズに合わせてカスタマイズ可能なMind the Graphのをいくつか紹介します。
テンプレート例1: メインの見出しに続いて小見出しを配置するこの形式は、明確なメッセージを伝える必要があるシンプルな研究に最適です。このようなシングルパネル(1枚構成)デザインは、一連の出来事の流れを説明したり、一連の科学的結論を描写したりするのに適しています。

テンプレート例2: この汎用的なテンプレートでは、研究内容を3つのパネルに分割することができます。例えば、「研究背景」「手法・分析」「主要な知見」といった一連の流れを、この順序で提示するのに適しています。

テンプレート例3: プロセス(手順や工程)の説明に重点を置いた研究には、以下のような、視覚的な誘導によって各ステップを説明できるテンプレートが役立ちます。図の隣に関連する最小限のテキスト説明を添えることで、研究の主要なメッセージを過不足なく伝える、まとまりのあるデザインに仕上げることができます。

画像生成AIプロンプトの活用
生成AIツールを活用することも、グラフィカルアブストラクトを作成する一つの手段です。近年の生成AIの進歩により、画像生成のプロセスは簡略化され、グラフィカルアブストラクト作成のスピードを大幅に上げることが可能になりました。ただし、期待通りの結果を得るためには、どのようなプロンプト(指示文)を使用すべきかについて、研究者自身が熟知しておく必要があります。
以下は、同じプロンプトを使用して、異なるプラットフォームで作成された2つのグラフィカルアブストラクトの例です。下記の例のように、テキスト形式の要旨(アブストラクト)と特定のプロンプトを組み合わせて入力することで、グラフィカルアブストラクトの作成に役立てることができます。
プロンプトの内容: あるレビュー論文の要旨(5)とともに、シンプルで分かりやすいプロンプトを2つの生成AIプラットフォーム(ChatGPTとGemini)に入力しました。
“Create a graphical abstract for the following academic research paper abstract. Use simple easy-to-understand visuals: The purpose of this narrative review is to critically appraise recent advances in sports injury rehabilitation—primarily focusing on biopsychosocial (BPS) approaches alongside emerging technological innovations—and identify current gaps and future directions. A literature search was conducted in PubMed, Scopus, and Web of Science for the years 2018–2024. Eligible records were English-language, human studies comprising systematic reviews, clinical trials, and translational investigations on wearable sensors, artificial intelligence (AI), virtual reality (VR), regenerative therapies (platelet-rich plasma [PRP], bone marrow aspirate concentrate [BMAC], stem cells, and prolotherapy), and BPS rehabilitation models; single-patient case reports, editorials, and non-scholarly sources were excluded. The synthesis yielded four themes: (1) BPS implementation remains underutilized owing to a lack of validated tools, variable provider readiness, and system-level barriers; (2) wearables and AI can enhance real-time monitoring and risk stratification but are limited by data heterogeneity, non-standardized pipelines, and sparse external validation; (3) VR/gamification improves engagement and task-specific practice, but evidence is dominated by pilot or laboratory studies with scarce longitudinal follow-up data; and (4) regenerative interventions show mechanistic promise, but conclusions are constrained by methodological variability and regulatory hurdles. Conclusions: BPS perspectives and emerging technologies have genuine potential to improve outcomes, but translation to practice hinges on (1) pragmatic or hybrid effectiveness–implementation trials, (2) standardization of data and intervention protocols (including core outcome sets and effect-size reporting), and (3) integration of psychological and social assessment into routine pathways supported by provider training and interoperable digital capture.”
ChatGPTによって作成されたグラフィカルアブストラクト: ChatGPTは、1回のプロンプトで以下の画像を出力し、要旨(アブストラクト)に含まれる情報を視覚的に要約しました。ご覧の通り、まずレビュー論文の主要なトピックを強調するタイトルが提示されています。さらに、既存の課題が適切なアイコンとテキストとともに示され、その後に研究の将来展望が描かれています。

重要なポイントはしっかり押さえられていますが、グラフィカルアブストラクトの上半分に「Regulatory & Methodological Hurdles」という文言が重複しているなど、細かな課題もいくつか見受けられます。さらに、バーチャルリアリティと再生医療のアイコンが合体して、スポーツ傷害リハビリテーションの現状の課題の一つとして表現されてしまっています。これは視覚的に不自然であり、研究のメッセージを正しく伝える妨げになる恐れがあります。
Geminiによって作成されたグラフィカルアブストラクト: 同じプロンプトをGeminiに入力した際、最初はアブストラクトをどのようにパネル分けして視覚的に表現するかというフローチャートが生成され、使用すべきアイコンやコンテンツの候補について説明が行われました。そのため、以下の画像を得るには、次のような2番目のプロンプトを入力する必要がありました。
“Give me a ready-to-use image by creating the panels with appropriate textual content.”

ご覧の通り、スポーツ傷害リハビリテーション研究の現状、ギャップ(課題)、そして将来の方向性を示す、明快な3パネル構成のグラフィカルアブストラクトが作成されました。「最新の進展と現状(recent advances and current status )」のパネルには4つのカテゴリーが明確に示され、知識のギャップが強調されています。2番目のパネルでは既存手法の実装における課題が浮き彫りにされており、3番目のパネルでは将来の応用に向けたロードマップが視覚的にまとめられています。
しかし、第2パネルで言及されている「臨床現場への障壁(barriers to clinical practice)」の内容は完全には明確ではなく、看板(サインボード)の一つには文字化けしたようなテキストも見受けられます。また、壊れた橋の描写も、この研究の文脈には関連性がないように思われます。さらに、タイトルについては、「 Critical appraisal of…(2018-2024): Present state, Gaps, and Strategic directions 」といった、より適切な表現に修正できるでしょう。
AI生成のグラフィカルアブストラクトを改善する方法: 上述の2つの例からもわかるように、AIによる出力は決して完璧なものではありません。つまり、AIの出力は「完成品」としてではなく、グラフィカルアブストラクト作成の「たたき台」として扱う必要があるということです。例えば、Canvaなどのツールを使用して、AIが生成した図の間違いを修正したり、全体的な見栄えを整えたりすることができます。ニーズに合わせて、背景色の変更、画像の一部の消去、フォントの調整、あるいはアイコンの差し替えなどを行うとよいでしょう。
要約すれば、ジャーナルへの投稿に求めらる効果的なグラフィカルアブストラクトを作成するためには、研究者自身が適切なプロンプトの出し方を学び、デザインツールの基本的な機能を使いこなせるようになることが重要です。
専門のグラフィカルアブストラクト制作サービスを利用する
自分自身でビジュアルアブストラクトを作成することが、あまりに時間がかかったり、負担が大きすぎると感じたりする場合は、いつでもプロの作成サービスを利用するという選択肢があります。
エディテージでは、投稿先ジャーナルの投稿規定を詳細に確認した上で、研究の重要なポイントを際立たせつつ、視覚的に魅力的で、かつ科学的にも正確なデザインを作成します。最終的な成果物は、必要とされる形式(JPG、PDF、PNG、TIFFなど)で納品され、仕上がりにご満足いただけるまで、当社のデザインエキスパートと協力しながら修正を重ねることができます。
以下は、エディテージがクライアント向けにグラフィカルアブストラクトを制作する際の実演動画です。テキスト形式の要旨から抽出した生データをもとに、Adobe Illustratorを使用してどのようにビジュアルアブストラクトを仕上げていくかをご覧いただけます。 動画:[プロフェッショナルなグラフィカルアブストラクトの作り方(英語)]
また、Mind the Graphを活用してグラフィカルアブストラクトを作成する方法については、こちらの動画をチェックしてください。効果的なグラフィカルアブストラクトをデザインするための、Mind the Graphのさまざまな機能の使い方をステップ・バイ・ステップで解説しています。 動画:[グラフィカルアブストラクト作成のためのMind the Graphの使い方]
グラフィカルアブストラクトの作成プロセス
ご自身で作成する手法を採るにせよ、専門のグラフィカルアブストラクト制作サービスを利用するにせよ、作成に取り掛かる前に著者側で済ませておくべきステップがいくつかあります。
ステップ1:キーワードとターゲット読者の特定
グラフィカルアブストラクトの目的は「迅速な理解」にあるため、まずは研究の中で最も伝えたい核となる情報を特定する必要があります。研究のさまざまな側面を強調したくなるかもしれませんが、これだけは絶対に外せないという「最も重要な要素」(例:新規の手法や画期的な発見)を一つに絞り込みましょう。これがデザインの最優先事項となります。
この中心的なアイデアを軸に、図全体の構成を組み立てていきます。また、ターゲットとなる読者は、同分野や隣接分野の研究者だけでなく、政策立案者や一般市民である可能性も考慮しましょう。読者を圧倒してしまわないよう、あまりに多くの要点や複雑すぎる概念を盛り込みすぎないことが重要です。
ステップ2:ラフスケッチ(下書き・下絵)の作成
まずは手書きで、いくつかラフスケッチを描いてみましょう。アイコン、図表、テキストをどこに配置すれば、そのグラフィカルアブストラクトに最適なレイアウトになるかを確認するための、簡単な下書きで構いません。何度も描き直し、失敗を繰り返しながら形にしていきましょう。この際、一つの図の中に要素を詰め込みすぎないよう注意してください。
次に、情報の流れを「上から下」にするか、あるいは「左から右」にするかを決めます。重要なポイントをただランダムに並べるのではなく、研究の「ビジュアルストーリー」を提示することを意識しましょう。
ステップ3:実際のデザインを確定させる
複数のスケッチが作成できたら、それらを比較して、自分の研究を最も適切に表現しているデザインを選びます。この際、背景には十分な余白を確保することを意識し、図に盛り込む主要な要素を最終決定しましょう。
視覚要素とテキストのバランスを良好に保つことが重要です。長々と説明的な文章を書くのは避け、読者がその図の文脈を理解するために必要な最小限の本質的な情報だけに絞り込むようにしてください。
ステップ4:作成ツールやサービスの選択
準備が整ったら、いよいよグラフィカルアブストラクトの制作を開始しましょう。前述のツールやプラットフォームを活用して自作する道もあれば、プロの制作サービスに依頼してクオリティを追求するという選択肢もあります。
自作する場合、使用するツールは1つか2つに絞るようにしましょう。複数のツールを併用して作業するのは、かえって手間がかかり煩雑になります。生成AIを使って作成する場合は、仕上がりをより洗練させるために、Canvaのような編集ツールの使い方に慣れておくとよいでしょう。一からデザインすることに決めたのであれば、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopの便利な機能を習得する必要があります。
もし投稿の締め切りが迫っているのであれば、研究論文のために効果的なグラフィカルアブストラクトを作成してくれる専門サービスを活用するのが賢明です。 テキスト形式の要旨(アブストラクト)と投稿先ジャーナルの詳細を共有するだけで、あとは専門のデザイナーが最適なビジュアルを仕上げてくれるため、安心してお任せいただけます。エディテージの「グラフィカルアブストラクト制作サービス」は、科学的に正確でカスタマイズされた図を通じて、あなたの研究のインパクトをより高めるお手伝いをいたします。
会社により納期は大きく異なりますので、締め切りと納期をしっかりと確認することをお勧めします。
ステップ5:フィードバックを取り入れ、デザインを洗練させる
自身でグラフィカルアブストラクトを作成した場合は、同僚や仲間に共有してフィードバックをもらいましょう。批判も前向きに受け入れ、それに応じてデザインを磨き上げることが大切です。例えば、使用している色使いについて改善が必要な場合もあります。特に医学分野などでは、特定の要素に対して標準的な色の慣例存在する場合があるため、それらを確実に遵守するようにしてください。
プロの制作サービスを利用している場合は、提示されたデザインを評価し、修正や改善の要望があればデザイナーにフィードバックを伝えます。専門のデザイナーと協力し、自身の意見を率直に伝えることで、最終的にニーズを満たす完成度の高いグラフィカルアブストラクトを手にすることができます。
グラフィカルアブストラクトの制作例
以下は、お客様からのご依頼に基づき、エディテージのグラフィカルアブストラクト制作チームが手がけた、さまざまなデザインのサンプルです。
2Dグラフィカルアブストラクトの例
事例1: 下記のグラフィカルアブストラクトに示されているように、複雑なプロセスであっても、効果的なビジュアルを用いることでより容易に理解できる場合があります。さらに、この手法によって基質とリガンドの結合がどのように特定されるのかを正確に説明するためのテキストによる補足が加えられており、読者が分子レベルのプロセスを具体的にイメージできるよう工夫されています。

事例2: このグラフィカルアブストラクトは、大規模で複雑な研究をいかに簡約化し、核となる分析と結果を正確に描写できるかを示す好例です。視覚的な表現を通じて、読者は研究者がどのタンパク質を研究したのか、変異をどのように分類したのか、そしてその分類が何に役立つのかを一目で理解することができます。

事例3: こちらは、より伝統的な構成を持つグラフィカルアブストラクトの例です。描き込みが精緻で情報量も多いですが、背景、手法、主な結果を明確なセクションごとに整然と提示することで、読者がセクションから次のセクションへと論理的な流れを追えるようになっており、非常に効果的な仕上がりとなっています。

3Dグラフィカルアブストラクトの例
事例1: この3Dグラフィカルアブストラクトでは、糸状菌(しじょうきん)の内部を「ズームアップ」して、分子レベルで何が起きているかを描写するというコンセプトで可視化が行われました。標準的な構成(パネル分けなど)にはこだわらず、読者の関心を惹きつけ、視覚的な面白さを生むために、より抽象的な表現手法を採用しています。最小限のテキスト量でありながら、主要な研究手法とそこから得られる最も重要なメッセージの両方がしっかりと伝えられています。

事例2: このグラフィカルアブストラクトは、バッテリーの電気化学的な詳細に深く立ち入ることなく、その将来性や利点をいかに際立たせることができるかを示しています。3Dグラフィックスと最小限のテキストを組み合わせることで、読者はトピックの内容と、電気自動車(EV)への応用といった用途を即座に把握できます。バッテリーの構成要素をテキストラベルで説明する代わりに、ズームアップの手法を用いることで、液体金属やグラフェンの存在を視覚的に直接伝えています。

グラフィカルアブストラクトに関するよくある質問
- 全てのジャーナルでグラフィカルアブストラクトが必要ですか?
-
いいえ、全てのジャーナルで提出が義務付けられているわけではありません。しかし、Elsevier、Taylor & Francis、Wileyといった主要な出版社のジャーナルの多くは、グラフィカルアブストラクトを必須としています。ジャーナルによっては、最初の投稿時には必要がなくても、論文の採択(アクセプト)後に提出を求められるケースがあります。また、必須ではなくても、著者に対して提出を推奨している場合も少なくありません。ご自身の研究論文にグラフィカルアブストラクトが必要かどうかを判断するには、投稿先ジャーナルのガイドライン(投稿規定)を確認することが最善の方法です。
- デザインスキルがなくても、グラフィカルアブストラクトを自作できますか?
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はい、可能です。使いやすいデザインツールや生成AIが登場したことで、専門的なデザインスキルがなくてもグラフィカルアブストラクトを作成できるようになりました。生成AIから最適な出力を得るための的確なプロンプトの書き方を学び、デザイン・編集ツールの基本的な機能をいくつか習得して図をブラッシュアップすることで、自作は十分に可能です。
しかし、ジャーナルの編集者の目に留まるような、際立った図に仕上げるためには、専門家の視点が大きな力になります。AIツールは便利ですが、人間ならではの細かなニュアンスや科学的な文脈の理解までは及びません。そのため、ツールを使って作成した最終的なデザインに不安がある場合は、ぜひプロのグラフィカルアブストラクト制作サービスを活用することを検討してください。
- 著作権はどうなりますか?
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エディテージでは、作成されたグラフィカルアブストラクトの著作権はお客様(著者)に帰属します。2Dグラフィカルアブストラクトの場合、著者は完成した図を、利用許可などの心配をすることなく自由に利用・共有することができます。また、3Dグラフィカルアブストラクトの場合も、著者は完成したグラフィック全体の著作権だけでなく、その図の中で使用されている個々のベクター要素の権利も保持します。
ご自身でグラフィカルアブストラクトを作成される際は、著作権トラブルを避けるため、デザインに使用する画像、図形、アイコンなどの素材に細心の注意を払ってください。たとえ無料のストック画像であっても、著作権者の表示(クレジット表記)や出典の報告が必要な場合があります。著作権に関するガイドラインは、多くの場合、投稿先ジャーナルの公式ウェブサイトに記載されています。トラブルを未然に防ぐため、これらを必ず確認し、遵守するようにしてください。
- AIが生成したコンテンツを使用しても大丈夫ですか?
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これは少し判断が難しい問題です。ほとんどのジャーナルでは、AI生成コンテンツの使用に関する明確なガイドラインを設けており、投稿時にどのように申告すべきかを規定しています。現在は非常に稀ではありますが、AI生成コンテンツの使用を全面的に禁止しているジャーナルも存在する可能性があるため、注意が必要です。
一般的に、グラフィカルアブストラクトのデザインにAIツールの助けを借りることは差し支えありませんが、その使用を適切に申告することが非常に重要です。
一部のジャーナルでは、投稿書類に含めるべき「AI使用に関する申告書」のテンプレートを用意していることさえあります。投稿先のジャーナルが何を認めているかを必ず確認し、その規定に沿って投稿の準備を進めるようにしてください。
- 色覚の多様性とアクセシビリティを考慮すべきですか?
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グラフィカルアブストラクトは、さまざまなターゲット層に向けてソーシャルメディア等で広く共有されるため、ダイバーシティとインクルージョンに配慮することは非常に重要です。例えば、赤と緑のような色合いの使用を避けることが推奨されます。これは、色覚多様性を持つ方にとって、これらの色の組み合わせは判別が困難なケースが多いためです。
作成したグラフィカルアブストラクトが、アクセシブルで色覚多様性に配慮できているかを確認する手軽な方法は、画像を一度「グレースケール(白黒)」に変換してみることです。色情報がなくても、図の内容が正しく理解できるかチェックしましょう。また、選んだ色同士の彩度に15%〜30%の差をつけるようにしてください。あわせて、投稿先のジャーナルに代替テキストを提供するオプションがあるかも確認しましょう。グラフィカルアブストラクトの主要な要素を言葉で説明することは、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を利用する読者を助けるだけでなく、視覚に障害を持つすべての読者に対するあなたの真摯な配慮の証となります。
まとめ
科学コミュニケーションは絶えず進化するプロセスであり、現在はデジタルコミュニケーションが効果的な研究のプロモーションに寄与する時代となっています。グラフィカルアブストラクトは、こうした科学コミュニケーション手法の中心的な存在であり、今後さらに普及していくことが予想されます。効果的なツールが利用可能になったことで、科学的に正確なグラフィカルアブストラクトをご自身で作成することもできます。一方で、専門家にデザインを依頼することは、時間と労力の節約に繋がり、その分を論文投稿プロセスにおけるより重要なタスクに充てることも可能になります。
また、グラフィカルアブストラクトは、研究論文におけるテキスト形式の要旨(アブストラクト)を代用するものでは決してないという点も、覚えておくべき重要なポイントです。それらはあくまで、あなたの研究がより幅広い層から正当な注目を集め、より大きなインパクトを生み出すための「手段」に過ぎません。
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参照
1. Graphical abstract in scientific research https://assets.cureus.com/uploads/review_article/pdf/189291/20231022-17123-1htbj3p.pdf
2. Optimal Dissemination of Scientific Manuscripts via Social Media https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0302283822000847
3. Seeing Is Believing: The Effect of Graphical Abstracts on Citations and Social Media Exposure in Gastroenterology & Hepatology Journals https://jkms.org/pdf/10.3346/jkms.2022.37.e321
4. Why visual content converts better than text https://sitepactja.com/why-visual-content-converts-better-than-text-alone/
5. Sports injury rehabilitation: A narrative review of emerging technologies and biopsychosocial approaches https://doi.org/10.3390/app15179788

