シカゴスタイル引用とは? Chicago Manual of Style (CMOS)の書式と参考文献の完全ガイド

Chicago style citation guidelines Formatting style guide

人文学・社会科学分野の研究者にとって、論文執筆における引用スタイルの理解は欠かせません。APA や MLA などのスタイルガイドを使ったことがある方であれば、それぞれに決められた引用形式があることをご存じでしょう。たとえば、APA は「著者名‐年方式」、MLA は「著者名‐ページ番号方式」といった形式を採用しています。
一方、出版社や編集者、著者にとって最も権威あるスタイルガイドの一つである Chicago Manual of Style(CMOS)[1] では、著者は 本記事で紹介する2種類の引用スタイルから選択することができます
では、どちらのスタイルを選ぶべきなのでしょうか。また、それぞれはどのような場面で使われるのでしょうか。本記事では、Chicago Manual of Style の基本と引用方式の違いを解説し、シカゴスタイルを使う際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

目次

Chicago Manual of Style とは?

まずは基本から確認しておきましょう。Chicago Manual of Style(CMOS)は、1906年に初版が刊行されたスタイルガイドで、Chicago Styleとも呼ばれます。このガイドは、ジャーナル投稿用原稿や書籍原稿、エッセイなど、さまざまな学術文書を作成する際の詳細な指針を提供するものです。内容には、文法、句読法、書式設定、引用方法など、学術出版に必要な幅広いルールが含まれています。最新版となる第18版のChicago Manual of Styleは、2024年9月に刊行されました。

シカゴスタイル(Chicago Style)の書式ガイドラインにおける変更点(第18版)

Chicago Manual of Style 第18版では、スタイルや書式に関するいくつかの重要な変更と、新しい指針が導入されました [2]。特に近年の研究環境の変化を受け、人工知能(AI)に関する情報源の扱いAI生成コンテンツの引用方法などについて、より明確なガイドラインが示されています。たとえば、研究や執筆の過程で AI を使用した場合、どのツールをどの程度使用したのかを明示する責任についても言及されています。

ここでは、第18版で押さえておきたい主な変更点をいくつか紹介します。

  • 参考文献リストの著者表記
    著者名は最大6名まで記載できます。著者が7名以上いる場合は、最初の3名を記載し、その後に et al. を付けます。
  • 小見出しの表記ルール
    節の小見出しは、タイトルケースでもセンテンスケースでも使用できます。ただし、原稿全体で表記を統一する必要があります。
  • コロン後の大文字表記
    完全な文の中でコロン(:)を使用する場合、コロンの後に続く語の最初の文字は大文字にします。
  • 複合名称の表記
    複合名称には、ハイフンではなくエンダッシュ(–)を使用します(例:Runge–Kutta method)。
  • 謝辞の配置
    書籍の謝辞は、従来のように前付けに置くだけでなく、後付けに配置することも可能になりました。
  • 出版地の記載ルールの変更
    1900年以降に出版された書籍では、出版地を記載する必要はありません。
    一方、1900年以前に出版された書籍については、出版社名を省略することは可能ですが、出版年と出版された都市または州の記載が必要です。
  • AI生成コンテンツの開示
    AI生成コンテンツを使用した場合は、その利用を明示し、生成日および使用したツールやプラットフォームのバージョンも併せて示す必要があります。

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シカゴスタイルの引用形式の種類

前述のとおり、シカゴスタイルでは 2種類の引用形式 から選択することができます。これは、研究分野や執筆形式に応じて、著者が自分の原稿に最も適した引用方法を選べるようにするためです。

Chicago Manual of Style では、主に次の2つの引用方式が用いられます。
著者名–年方式(Author–Date)
注と参考文献方式(Notes and Bibliography)

それぞれの特徴を見ていきましょう。

シカゴ引用スタイル1:著者名–年方式(Author–Date)

この方式は、社会科学分野の研究者によく使用されます。本文中引用では、著者の姓と出版年を括弧内に示します。直接引用の場合は、ページ番号も併記します。

例:
・(Al-Bahadur 2013)
・(Laurence, Shah, and Tupsy 2019)
・According to Duckworth et al. (2020, 65–66), “the absence of any regulatory mechanisms must necessarily result in …”

著者が 4名以上いる文献を引用する場合は、本文中では最初の著者名のみを記載し、その後に “et al.” を付けます。イタリック体にはしないでください。

シカゴ引用スタイル2:注と参考文献方式(Notes and Bibliography)

文学、美術史、メディア研究などの人文学分野では、引用が多く、比較的長い論文や書籍が執筆されることがよくあります。このような場合、読者が巻末の参考文献一覧だけを確認するのではなく、本文を読みながらすぐに出典を確認できる方法が便利です。そのため、Chicago Manual of Style では 「注と参考文献(Notes and Bibliography)」方式が用意されています。

この方式では、次のように引用を示します。
・本文中引用は、各ページ下部に置く脚注として示します。
・脚注は上付き数字で示します。
・脚注番号は、文末の句読点の後に置きます。

また、原稿の最後には Bibliography(参考文献一覧) を作成します。

シカゴスタイルの注の種類

シカゴスタイルの脚注には、主に次の2種類があります。

① Full Notes:文献を初めて引用する際に使用する完全な注
② Short Notes:同じ文献を再度引用する際に使用する簡略注

シカゴスタイルにおける Full Notes
Full Notes では、引用する文献の書誌情報を完全な形で示します。

例:
Mary Gibberyfish, The Little Dog Laughed: Trials of a Kennel Maid, 2nd ed. (London: Goandfindout Press, 2020), 87–98.

シカゴスタイルにおける Short Notes
Short Notes は、本文ですでに引用した文献を再度引用する場合に使用します。同じ書誌情報を繰り返し書く手間を省くための形式です。

例:
Gibberyfish, Little Dog. 121–122.

また、直前の脚注と同じ文献を引用する場合には “ibid.”(同書・同所) を使用することもできます。ページ番号が異なる場合でも、“ibid.” の後にカンマを付けて新しいページ番号を記載すれば問題ありません。

シカゴスタイルにおける参考文献リストの書式ガイドライン

シカゴスタイルでは、引用形式が2種類あるのと同様に、参考文献の一覧もbibliography と reference listの2つの形式を使い分けます。注と参考文献方式(Notes and Bibliography)を使用する場合には、 bibliography(参考文献一覧)を作成します。 著者名–年方式(Author–Date)を使用する場合には、 reference list(参考文献リスト)を必ず付けます。

どちらの形式でも、引用した文献は原稿の末尾に一覧としてまとめて記載します。ただし、各エントリーの書式には違いがあり、特に出版年の位置が異なります。reference listでは、本文中の著者名–年方式の引用に対応するため、出版年を著者名の直後に記載します。これにより、読者は本文中引用と参考文献リストを容易に対応づけることができます。

Bibliography の記載形式

学術誌向け論文
書式Author last name, first name. “Article Title.” Journal NameVolume, no. Issue (Publication Year): Page range. DOI/URL.
著者の姓, 名. “論文タイトル.” 雑誌名 巻, no. 号(出版年): ページ範囲. DOI/URL.
Ergun, Sabri. “Fluid Flow Through Packed Columns.” Chemical Engineering Progress 48, no. 2 (1952): 89.
書籍
書式Author first name, last name. Book Title: Subtitle. Edition. Publisher, Year. URL.
著者の名 姓. 書名:副題. 版. 出版社, 出版年. URL.
Ashley, Harriet, and Michael M. Scott. Healed Wounds: A Psychologist’s Perspective. Routledge, 2003. 
ウェブサイト
書式Author Last Name, First Name. “Page Title.” Website Name. Month Day, Year. URL. 
著者の姓, 名. “ページタイトル.” ウェブサイト名. 月 日, 年. URL.
Joshi, Yateendra. “Formatting files for submission to journals: Part 1.” Editage Insights. March 26, 2025. https://www.editage.com/insights/formatting-files-for-submission-to-journals-part-1. 

Reference List の記載形式

学術誌向け論文
書式Author last name, first name. Publication year “Article Title.” Journal NameVolume, no. Issue: Page range. DOI/URL.
著者の姓, 名. 出版年. “論文タイトル.” 雑誌名 巻, no. 号: ページ範囲. DOI/URL.
Ergun, Sabri. 1952. “Fluid Flow Through Packed Columns.” Chemical Engineering Progress 48, no. 2: 89.
書籍
書式Author first name, last name. Year of Publication. Book Title: Subtitle. Edition. Publisher, URL.
著者の名 姓. 出版年. 書名:副題. 版. 出版社, URL.
Ashley, Harriet, and Michael M. Scott. 2003. Healed Wounds: A Psychologist’s Perspective. Routledge. 
ウェブサイト
書式Author Last Name, First Name. Year. “Page Title.” Website Name. URL.
著者の姓, 名. 出版年. “ページタイトル.” ウェブサイト名. URL. 
Joshi, Yateendra. 2025. “Formatting files for submission to journals: Part 1.” Editage Insights. https://www.editage.com/insights/formatting-files-for-submission-to-journals-part-1. 

シカゴスタイルの一般的な書式ルール:重要ポイント

Chicago Manual of Styleでは、引用だけでなく、原稿全体の書式についても基本的なルールが示されています。代表的なポイントを以下にまとめます。

  • フォントとサイズ
    読みやすいフォントとサイズを使用します(例:Times New Roman 12 pt)。
  • 余白
    ページの上下左右すべてに 1インチ(約2.54cm)の余白を設けます。
  • 本文の書式
    本文は左揃えとし、ダブルスペースで記載します。各段落の冒頭は 0.5インチ(約1.27cm)字下げします。
  • ページ番号
    ページ番号は ページ右上または下中央に配置します。
  • タイトルの配置
    通常は独立したタイトルページは不要で、ページ上部中央にタイトルを配置し、その下から本文を書き始めます。ただし、ジャーナルや大学から別途タイトルページを求められている場合は、その指示に従ってください。

まとめ

Chicago Manual of Style(シカゴスタイル)は、人文学や社会科学分野で広く用いられているスタイルガイドです。著者名–年方式と注と参考文献方式という2種類の引用形式を選択できる点が特徴であり、研究分野や執筆スタイルに応じて適切な方法を選ぶことができます。
また、参考文献リストの作成方法や脚注の使い方、原稿全体の書式など、守るべきルールも細かく定められています。特に近年は、AI生成コンテンツの扱いなど、新しい研究環境に対応した指針も追加されています。

しかし、これらのルールをすべて正確に確認しながら原稿を整えるには、想像以上に時間と手間がかかるものです。投稿前の段階で書式やフォーマットに不備があると、編集段階で差し戻しや修正が求められることもあります。投稿前のフォーマット調整に不安がある場合は、専門サービスの活用も一つの方法です。エディテージの論文フォーマット調整サービスでは、ジャーナルガイドラインに沿った原稿の書式チェックと調整をサポートしています。投稿準備をスムーズに進めたい方は、ぜひご活用ください。


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参考文献

1. Chicago-Style Citation Quick Guide https://www.chicagomanualofstyle.org/tools_citationguide.html
2. What’s new in the 18th edition https://www.chicagomanualofstyle.org/help-tools/what-s-new.html

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
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