APAスタイル:本文中の引用および参考文献の書式ガイドライン

APA Style Formatting Guidelines for In-text Citations and References

引用・参考文献の書式には多くのスタイルがあり、さらにジャーナルごとに独自の投稿規定が設けられている場合もあります。そのため、「どのスタイルに従えばよいのか分からない」「初回投稿時は任意のスタイルで可と言われたが、何を選ぶべきか迷っている」と感じる研究者も少なくありません。

本記事では、American Psychological AssociationAPA)スタイルに基づき、本文中の引用方法および参考文献リストの書式設定について分かりやすく解説します。あわせて、APAスタイルの基本的なフォーマット要件についても簡潔にご紹介します。

目次

APAフォーマットとは?

社会科学や行動科学分野の研究者であれば、APAスタイル第7版(The 7th edition of the APA Style Manual)[1]に精通しておくことが望まれます。

APAスタイルは心理学に限らず、社会学、人類学、政治学など幅広い分野で採用されている代表的な書式ガイドです。研究論文、修士論文、博士論文、症例報告など、さまざまな学術文書の整形方法を包括的に定めています。

具体的には、以下の要素について詳細な規定があります。

・ページレイアウト
・フォントと余白
・行間設定
・見出しスタイル
・段落形式
・本文中の引用形式
・参考文献リストの書式

単なる引用形式だけでなく、論文全体の構造と視認性を統一するためのガイドラインである点がAPAスタイルの特徴です。

APAスタイルにおける引用の書式:基本原則

APAスタイルは「著者名‐発行年(author-date)」方式を採用しています。本文中では「著者の姓+出版年」を簡潔に示し、論文末尾の参考文献リストに完全な書誌情報を記載します。

例:
(Tanaka, 2023)

APAスタイルで論文を執筆・整形する際は、次のポイントに留意してください:

  1. 著者名・タイトルのスペルを一致させる
    本文中の引用と参考文献リストの表記は、必ず完全に一致させます。綴りやアクセント記号の誤りは修正対象となります。
  1. 私信(personal communication)の扱い
    私信は本文中でのみ引用し、参考文献リストには含めません。ただし、先住民の伝統的知識や口承を引用する場合は、最新のAPAガイドライン[2]を必ず参照してください。
  1. 直接引用には必ず出典を明記
    逐語的な引用を行う場合は、必ず出典を明示します。必要に応じてページ番号も付記します。
  1. 再確認できないオンライン情報源の扱いに注意
    以下のような第三者が再確認できない情報源は、原則として引用を避けます。
    • 個人メール
    • アーカイブされていないSNS投稿
    • ライブ配信の記録
  1. 引用の過度な羅列を避ける
    スクリーンリーダーなどの支援技術を利用する読者への配慮も重要です。多数の文献を並べるだけの引用は避け、文脈に沿って整理しましょう。
  1. 数値や専門的事実には必ず出典を付ける
    一般常識には引用は不要ですが、専門的事実や統計データには必ず出典が必要です。

    例:
    • 「ヒトは哺乳類である」→引用不要
    • 「うつ病は自殺念慮のリスク因子である」→根拠文献が必要
  1. 一次文献を優先する
    可能な限り、二次文献ではなく一次文献(primary source)を引用します。例えば、マラリア罹患率を述べる場合は、データを収集したWHO公式報告書を引用するのが適切です。データを直接扱っていない二次研究のみを引用することは推奨されません。

【重要ポイント】引用と参考文献の対応関係

本文中で引用したすべての文献には、参考文献リストに対応するエントリーが必要です。同様に、参考文献リストに掲載した文献は、本文・図表・脚注・付録のいずれかで少なくとも一度は引用されていなければなりません。この対応関係の不一致は、投稿時の差し戻し原因になりやすい部分です。

「直近5~10年以内に出版された文献のみを引用すべきだ」と言われることがありますが、APAはこれを誤解(myth)であると明言しています[3]。APAスタイル自体は、発行年による一律制限を設けていません。重要なのは、信頼できる一次文献を用いること、研究分野の最新動向を踏まえていること。ただし、神経心理学やサイコオンコロジーのように研究進展が速い分野では、最新文献の把握が特に重要です。

APAスタイル:本文中の引用ガイドライン

APAスタイルにおける本文中の引用(in-text citation)には、「叙述型(narrative)」と「括弧内引用(parenthetical)」の2種類があります。

APAにおける括弧内引用(Parenthetical citation

括弧内引用では、著者名と出版年を本文中の括弧内に記載します。この形式では、引用は文中の途中または文末のいずれにも配置できます。

例:A longitudinal, multi-center study (Rangypants, 2010) did not find any relationship between sleep duration and dementia risk.

APAにおける叙述型引用(Narrative citation

叙述型引用では、著者名を本文の一部として文章中に組み込み、その直後に出版年を括弧で示します。
例:Rangypants (2010) identified economic barriers to access to mental health services.

APAスタイルにおける出典の引用方法

APAスタイルでは、著者数や資料の種類、書誌情報の有無によって本文中の引用形式が異なります。

例えば、
・著者が1名か複数名か
・著者が個人ではなく機関名である場合
・出版年が不明な場合
・ページ番号が存在しないオンライン資料

など、状況によって表記方法が変わります。そのため、「基本ルールは理解しているつもりでも、細かなケースで迷う」ということは少なくありません。

以下の表では、APAスタイル第7版に基づき、代表的なケース別の本文中引用の書き方を整理しています。

表1:APAスタイルにおける文献の引用方法

著者数括弧内引用の例叙述型引用の例
著者1名 (Nadal, 2004) Nadal (2004) 
著者2名 (Taylor & Devon, 2021) Taylor and Devon (2021) 
著者3名以上 (Romera et al., 2014) Romera et al. (2014) 
機関名が著者の場合*(ISRO, 2024)   ISRO (2024) 

※本文で初めて引用する際は、正式名称と略称を併記します(例:(Indian Space Research Organization[ISRO], 2024))。2回目以降の引用では略称のみを使用します(例:(ISRO, 2024))。 

表2:書誌情報が不足している場合のAPAスタイルでの引用方法

不足している情報対応方法APAスタイルでの引用例
著者文献タイトルをタイトルケースで記載する (What is the structure of a research paper, 2020) 
出版年 「n.d.」(日付不明)と記載する(Williams, n.d.) 
ページ番号 代替となる位置情報を記載する(Hamilton, 2021, para. 3)  または (Verstappen, 2023, Chapter 5) 
タイトル 参考文献リストでは資料内容を説明する形で記載する(Leeroy, 2018)  [no change in citation format] 

APAスタイルにおける参考文献の書式

本文中の引用だけでなく、参考文献リストもAPAスタイルの規定に従って正確に整形する必要があります。形式の不備は、投稿時の修正依頼や差し戻しの原因になることがあります。

APA第7版では、参考文献ページの基本設定として以下が求められます。
・見出しは 「References」 とし、太字・中央揃えで記載
・新しいページから開始
・文献はアルファベット順に配列
・0.5インチ(約1.27cm)のぶら下げインデント(hanging indent)を設定
・行間はダブルスペース

APA第7版における主な変更点

第7版では、参考文献の書式にいくつか重要な変更が加えられています。

  • 著者名は最大20名まで記載:21名以上の場合は、19番目の著者名の後に省略記号(…)を入れ、最後の著者名を記載します。
  • DOIおよびURLはハイパーリンク形式で記載:「DOI:」という接頭辞は付けません。
  • 書籍の出版社所在地は不要
  • タイトルはセンテンスケースで記載:文頭語と固有名詞のみを大文字にします。
    ※ここは誤解が多い部分なので、「タイトルケース」ではなく「センテンスケース」であることを明確にしています。

APAスタイルにおける参考文献の記載方法

参考文献の具体的な書式は、資料の種類によって異なります。特に引用頻度が高いのは以下の資料です。
・学術論文(Journal article)
・書籍(Book)
・学位論文(修士論文・博士論文)

そのほかにも、ポッドキャスト、ウェブページ、新聞記事、報告書などを引用する場合があります。資料種別ごとに必要な要素や順序が異なるため、テンプレートを確認しながら整形することが重要です。

以下の表では、代表的な資料タイプ別に、APA第7版に準拠した参考文献フォーマットと具体例を示します。

3APAスタイルにおける参考文献の書式

資料の種類参考文献リストの書式
学術論文著者1, A. A., & 著者2, B. B.(出版年). 論文タイトル. ジャーナル名, 巻(号), ページ範囲. DOIPasini, A., Torre, L., Romeo, L., Cervone, A., & D’Agostino, L., (2010). Reduced-order model for H2O2 catalytic reactor performance analysis, Journal of Propulsion Power, 26(3), 446–453. https://doi.org/10.2514/1.44355. 
書籍著者, A. A.(出版年). 書籍タイトル. 出版社. DOIHendricks, L., Shane, W., & Rao, A. (2024). Athletes in action: The evolution of Olympics. Penguin Random House. https://doi.org/10.1037/00034-9056
書籍中の章著者1, A. A., & 著者2, B. B.(年). 章タイトル. In 編者名(Eds.), 書籍タイトル(章のページ範囲). 出版社. 章のDOIWalid, Z. A., Thomas, H. L., & Nadine, D. C. (2016). Balancing extracurricular activities with core subjects. In M. Calvin & B. M. Andrews (Eds.), Promoting holistic learning in schools (pp. 17–25). Penguin Random House. https://doi.org/10.1037/005670-638
学位論文著者, A. A.(出版年). 論文タイトル[修士論文/博士論文, 所属機関名]. URLまたはデータベース名Maya, H. L. (2025). Genuine reviews to paid promotions: The evolution of influencer marketing [Doctoral dissertation, Stanford University]. ProQuest Dissertations and Theses.
ウェブページ著者, A. A.(年, 月 日). ウェブページタイトル. ウェブサイト名. URLOliver, K. (2022, June 14). Creamy vegan mushroom stroganoff. Yummy Tummy. https://yummytummy.com/creamy-vegan-mushroom-stroganoff
ポッドキャストのエピソードホスト名, A. A.(Host).(年, 月 日). エピソードタイトル(エピソード番号)[Podcast episode]. In ポッドキャストタイトル. 配信元. URLWhitaker, S. (Host). (2025, October 21) Become a Nat Geo Photographer and Explorer (No. 17) [Audio podcast]. In Some Like it Wild. Spotify. https://www.spotify.com/season-1-episodes/episode-17
新聞記事著者, A. A.(年, 月 日). 記事タイトル. 新聞名. URL  
Smith, B. (2021, March 5). Barcelona’s Gerard Pique set to be out for weeks with right knee injury. The Indian Express. https://indianexpress.com/article/sports/football/gerard-pique-barcelona-right-knee-injury-update-7215106/

学術論文におけるAPAスタイルの一般的な書式:重要ポイント

APAスタイルガイドでは、研究論文の整形にそのまま使用できるテンプレートが提供されています。APAスタイルに従って論文を作成する際は、以下の基本事項に注意してください。

  • 四辺すべてに1インチの余白を設定。
    フォントは12ポイントのTimes New Romanを使用し、行間はダブルスペースに。
  • 各段落の1行目は0.5インチ字下げする。
  • ページ番号は右上に記載。
  • 各ページ左上に、50文字以内(スペース含む)のランニングヘッド(短縮タイトル)を記載。

さらに詳しく知りたい場合は、こちらのAPAスタイルの基本事項をまとめたチートシートをご確認ください。

最後に

APAスタイルの要件は一見シンプルに見えますが、実際に整形を進めると細かなルールの確認に時間がかかることがあります。引用と参考文献の対応関係、ぶら下げインデントの設定、DOIの記載形式など、見落としやすいポイントも少なくありません。

特に投稿直前の段階では、内容の最終確認に集中したい一方で、フォーマット調整に想定以上の時間を取られてしまうこともあります。

エディテージでは、ジャーナル指定の書式やAPAスタイルを含む各種スタイルガイドに準拠した論文フォーマット調整サービスをご提供しています。投稿規定に沿った整形を専門チームが確認・修正することで、形式面の不備による差し戻しリスクを軽減します。研究内容そのものに集中したい方は、フォーマット調整の活用も一つの選択肢としてご検討ください。

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参考文献

  1. American Psychological Association (APA)’s style manual https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/citations/basic-principles
  2. APA guidelines for personal communication https://apastyle.apa.org/style-grammar-guidelines/citations/personal-communications
  3. The “outdated sources” myth https://apastyle.apa.org/blog/outdated-sources-myth
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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
今日、エディテージは専門家によるサービスとAIツールの両方を用いて、研究のあらゆる段階で便利に、安心して使っていただける包括的なソリューションを提供しています。

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