論文執筆時のAI利用はどのように開示する?

AI Disclosures in Academic Writing

生成AIツールは今や、学術論文執筆に欠かせない存在となっています。文献の要約や論点整理、難解な表現の言い換えから文法の洗練まで、研究者や学生は執筆プロセスのあらゆる段階でAIを活用しています。その結果、AI使用の開示はますます一般的になりつつあります。

学術分野におけるAIツールの普及拡大

2024年の大規模調査によると、研究者の81%(n=816)が既に大規模言語モデル(LLM)と生成AIを研究ワークフローに取り入れていることが明らかになりました。デジタル教育評議会による世界的な学生調査では、学生の80%(n = 16カ国3,839名)が、執筆や学習などの学術タスクに生成AIツールを定期的に利用していると報告されています。 

2025年7月にNature誌が実施した調査による結果も、この変化をさらに裏付けています。調査対象となった約2,000名の研究者のうち、

  • 64%が研究で生成AIを利用
  • 31%が論文や提案書の作成にAIを利用
  • 25%がデータ分析にAIを利用
  • 多くの回答者がAIの効率性に熱意を示す一方、監視体制・公平性・長期依存への懸念も表明

Nature誌の記事では、もうひとつの重要な問題も強調されています。それは、AIが科学分野で強力な生産性向上ツールとなりつつある一方で、研究者らは生成AIを研究に活用する方法や、責任ある形でAIの開示を行なう方法について、より明確な組織的ガイダンスを求めているということです。

なぜ今、AI利用のルールが必要なのか

責任あるAI利用と学術的誠実性の確保への関心が高まる中、Paperpalの2025年内部調査はこうしたニーズが反映されています。調査では、回答者の74%機関・ジャーナル・出版社からの明確で一貫したガイダンスがあれば、自信をもってAI利用について言及できる」と回答しました。また、「同僚や指導者による、受け入れられたAI利用開示の事例(49%)」「AI利用の時期・目的・方法を示すログへのアクセス(45%)」も重要なサポートとして挙げられました。

図1: AI利用の開示に対する確信を高めるには何が重要かという質問に対し、ほとんどの研究者は明確な機関ガイドラインを希望しました。(出典: Paperpal 2025 調査)

AIの役割が拡大しているにもかかわらず、AI利用の開示は依然として研究者にとってデリケートな問題です。回答者の28%のみがAI使用の開示に抵抗がないと回答し、42%は多少抵抗がある30%は誤解や批判を恐れて依然として抵抗があると答えています。

こうした懸念は現実的な問題に基づいています。回答者の87%が剽窃や不正行為の疑いをかけられることを恐れており、学術論文執筆におけるAI使用時の懸念事項として、正確性(64%)、独創性の喪失(54%)、倫理的リスク(50%)などの問題が上位に挙げられています。

図2:学術論文執筆にAIを利用する際の最大の懸念事項は、剽窃、潜在的な不正確さ、独創性の喪失といった点です。(出典:Paperpal 2025年調査 )

これらの結果が示すのは、AIは定着しつつあるものの、研究者が責任を持って活用するには明確なガイドラインとサポートが必要であるということです。それがなければ、多くの研究者は慎重な姿勢を崩さず、AIツールの使用状況を開示しない、あるいはAIツールが論文執筆の効率性を向上させる可能性を秘めているにもかかわらず、AIツールの使用を完全に避けてしまうでしょう。とはいえ、AIの利用開示は単なる技術的・倫理的な要件ではなく、学術的誠実性を高め、研究の未来への信頼を築くための重要なステップであることを忘れてはなりません。

AI支援の明示:AI使用をいつ開示すべきか?

AIが文章の意味や構成に影響を与えた場合は、必ず開示する必要があります。たとえば次のようなAI支援が該当します。

  • 文法や明瞭さの編集
  • トーンや流れ、一貫性のための書き直し
  • 文献や背景情報の要約
  • 言い回しや接続詞の提案

通常、単純なスペルミス修正や書式変更などは開示不要とされています。ただし、AIライティングツールがアイデアの再構築や文章の磨き上げに貢献した場合、ほとんどの学術機関は研究の完全な透明性を確保するためにAIによる開示を求めます。 

大学と出版社が求めるもの:ルールを理解する

学術界全体では一貫したスタンスが取られています。AIライティングツールを著者としてクレジットすることはできず、その使用は明確に宣言されなければなりません。主要な出版社は著者に対し、どのAIツールをどのような目的で使用したかを明記することを義務付けるとともに、すべてのコンテンツが人間の著者によってレビューされ承認されていることを要求します。主要大学も、「AI開示は学術的誠実性と研究の透明性を維持する一環である」と発信しています。これらのポリシーは総合的に、研究者が論文内のすべての内容について責任を負うと同時に、AIの役割について透明性を保つ必要があることを明確に示しています。

出版社/団体 AI開示要件 
Elsevier論文作成に使用したAIツールの開示を義務付ける。AIを著者として記載することはできない。 
Wiley / COPE  実質的なAI支援(ライティング、リライト、アイデア創出)は開示する必要がある。軽微な文法ツールは免除される場合がある。 
IEEE コード、図、テキストなど、AIが生成したあらゆるコンテンツの開示を義務付ける。 
ICMJE AIツールの使用は、論文とカバーレターの両方で宣言する必要がある。AIを著者として認めることはできない。 
Springer NatureAIは言語支援に活用できるが、その役割は透明性があり、適切に開示されなければならない。 

出版社や大学の多くは、以下のような共通方針を採用しています。

  • 研究および執筆に使用したAIツールの名称を明記すること
  • AIツールが支援したタスク(例:要約、言い換え、編集)を指定すること
  • すべての AI 支援コンテンツが人間の著者によってレビューされ、承認されたことを確認すること

公開研究におけるAI開示の事例

AIの利用開示は高い影響力のあるジャーナルですでに掲載されています。以下は、公開された研究論文におけるAI利用開示の枠組みの例です。

  • Nature:「This manuscript was prepared with the assistance of ChatGPT to improve linguistic readability.(この論文は言語の読みやすさを向上させるためChatGPTの支援を受けて作成されました。)」(https://www.nature.com/articles/s41467-025-60681-w
  • Springer:「This manuscript was prepared with the assistance of ChatGPT, a language model developed by OpenAI, which was used for refining language. The authors have reviewed, revised and approved the final content.(この論文はOpenAIが開発した言語モデルChatGPTの支援を受け、言語表現を洗練するのに利用して作成されました。著者らは最終内容を確認・修正し承認しています。)」(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11976344/

これらのAI利用開示は簡潔かつ明確であり、現在の出版社の期待に沿ったもので、責任あるAI利用のための効果的なテンプレートとして機能します。これにより研究の透明性が確保され、学術的誠実性が維持されます。

AI使用の開示方法:Paperpalが役立ちます!

「どのようにAI開示を書けばいいかわからない」という研究者や学生の声に応えるために、Paperpalは安全で新しいAI開示テンプレート機能を提供しています。

研究者にとっては、論文を提出する際に出版社や機関のガイドラインに準拠していることが保証されます。学生にとっては、課題や論文におけるAIライティングツールの使用を明確に認める枠組みを提供し、学術的誠実性の維持を支援します。標準的な開示テンプレートに加え、Paperpalでは14の出版社および厳選されたテンプレートから選択することができます。いずれの場合も、AI開示機能で提供されるテンプレートは、著者が使用したツールを特定し、その目的を説明し、最終的な責任が人間の著者にあることを確認するのに役立ちます。このアプローチを採用することで、ユーザーは学術論文執筆における研究の透明性と説明責任を維持することができます。

「AIフットプリント」でPaperpalの利用状況を追跡

研究の透明性向上を目的として、Paperpalは最近AIフットプリントもリリースしました。これは、AIがどのように論文執筆をサポートしているかを追跡できる機能です。Paperpal上で行われた作業の明確な記録が提供されるため、論文提出時のAI開示の準備が容易になります。今後リリース予定のAI開示テンプレートと組み合わせることで、独創性と透明性、学術的誠実性の確保がさらに容易になります。

研究の透明性と責任あるAI利用を通じて信頼性を構築する

AIの利用開示は単なる形式的なものではなく、説明責任、信頼性、そして学術的誠実性に関わる問題です。生成AIが研究ワークフローでますます活用される中、ジャーナル、査読者、研究機関のいずれもが明確かつ透明性のあるAI開示を求めています。

PaperpalのAI開示機能を使えば、研究者や学生はこうした期待に容易に応えられます。学術的誠実性を強化し、研究の透明性を確保しながら、イノベーションを受け入れることが可能になります。

あなたの研究を、より透明で、倫理的で、未来に開かれたものにする準備は整いましたか?

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Paperpalは、リアルタイムに言語と文法を修正するための提案を行い、著者がより良い文章をより速く書くことを支援するAIライティングアシスタントです。プロの学術編集者によって強化された何百万もの研究論文に基づいてトレーニングされており、機械的なスピードで人間の精度を提供します。

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この記事を書いた人

2002年に設立された、カクタス・コミュニケーションズの主力ブランドであるエディテージの目指すところは、世界中の研究者が言語的・地理的な障壁を乗り越え、国際的な学術雑誌から研究成果を発信し、研究者としての目標を達成するための支援です。20年以上にわたり、190か国以上の国から寄せられる研究者の変わり続けるニーズに対応し、研究成果を最大限広く伝えられるよう、あらゆるサポートを提供してきました。
今日、エディテージは専門家によるサービスとAIツールの両方を用いて、研究のあらゆる段階で便利に、安心して使っていただける包括的なソリューションを提供しています。