私には学界と研究員として働いた実務経験の両方で培った、生命科学分野の幅広い経験があります。イギリスのケンブリッジ大学とノーリッジにあるジョンインズ研究機関の研究室で主に細菌学と植物分子生物学の分野にキャリアの約20年を費やしました。ノーリッジのイースト・アングリア大学で植物育種学とバイオテクノロジーの修士号を、バーミンガム大学で昆虫の保全と生態学の博士号を取得しました。最初に4つの科学論文誌(Journal of BacteriologyやBiological Conservationといった定期刊行ジャーナル)に出版し、その他のジャーナルにも執筆協力者として名を連ねています。実を言うと校正者には意図的というよりも成り行きでなったのですが、私の学歴や職歴はエディテージのシニア校正者としての仕事する上で強みとなっています。
執筆者のキャリアがこの論文にかかっている、という責任感
科学界では、研究者としての値打ちやキャリアの展望は一般的に出版実績に基づきます。とはいえ、研究を定期的に出版するということは、英文の執筆能力を備えていることを意味します。たとえ科学的に優れていても、研究論文に文法上やスペルの誤りがあったり、不自然な文章構成だったりすると、科学ジャーナルに出版される見込みはとても低くなります。私は、言語的に劣ったコンテンツであるという理由でほぼ確実にリジェクトされそうなものを、アクセプトされる可能性の高いものに変えるという作業を通して、とても大きな満足感を得るのです。原稿を校正しながら、この執筆者の将来のキャリアが、この論文の出版によって決まるかもしれないということ、そしてそれが全ての必要なインセンティブをもたらすということを、絶えず心に留めています。
私にとって良い英語論文とは、意味が不明確だったり本文内に目立った誤りがあって、突然読み進められなくなったり、読み返したりということがなく、最初から最後まですらすら読み進められるものです。言い換えると、論理的な流れの文章で、明らかなスペルミスや文法上の誤り、また長くてとりとめのない文章が無いことです。英語のライティングスキルを上達させたい著者の方々は、自身の研究分野で著名なジャーナルの研究論文や、簡単に理解しやすいスタイルで書かれているNew ScientistやScientific Americanといった人気のある科学ジャーナルの研究論文などを綿密に調べてみることから始めることもできるでしょう。
校正者にも要求される、あらゆる細分野への学習努力
生命科学の分野は非常に広範囲にわたるため、異なる学問分野やさらに細かい区分の分野の全てに精通することはできません。さらに科学、特に分子生物学のような分野は、近頃とても速いペースで進歩しているので、全ての最新の情勢に遅れないでついて行くのは事実上不可能です。ですから、全く未知の内容の原稿を校正するよう依頼されることもよくあります。校正を始める前には、関連する全てのコンセプトや専門用語が熟知できるよう、その特定の分野に関する膨大な参照作業をする必要があることもよくあります。そうすることで、初めは理解不能に見える文書も、新たにより明確な視点から見られるようになるのです。
優れた校正者になるためには、研究者の立場に立ってみることエディテージの校正者として私たちがサービスを提供するのですから、お客様方は当然私たちがお届けするサービスの質に一定の期待を持っています。従って、校正者としてのキャリアを歩み始める方々への私のアドバイスは、日本人をはじめとする英語ノンネイティブの研究者が、校正者が価値ある研究報告を、英文の内容に関して欠陥の無いものに改訂、再構成、フォーマットしてくれることに期待を寄せている、という立場に立って考えてみるということです。あるいは、校正しようとしているその原稿には、あなたの研究成果が載っていて、大々的に世界に公表したいと切に願っている、とイメージするということも言えます。
校正は機械的なプロセスではなく、チームによる共同作業校正者として何よりもまず、私達は著者の味方であり、皆さんに高品質な文章をお届けしたい、研究論文を皆さんが選んだジャーナルに出版してもらいたいと思っています。私たちが校正した原稿がアクセプトされたと知らせ聞くと、校正者たちは皆とても感動します。しばしば様々な理由で、校正中に誤解が生じることもありますが、皆さんにはお客様として常に必要な説明を求めたり提示したりすることができ、そうすることで目立った問題も適切に解決することができます。ですから、校正を、切り離された機械的なプロセスとして捉えるのではなく、チームによる共同作業として原稿を執筆、校正していると見るようにしていただきたいと思います。



