「英語論文を書くことで世界にメッセージを発信」松本茂先生(青山学院大学)

「英語論文を書くことで世界にメッセージを発信」松本茂先生(青山学院大学)

ご経歴を教えてください。


筑波大学農学部農林学類の出身で、大学にはバイオテクノロジーについて勉強したいと思って入学しましたが、化学が好きになれず断念しました。学部では土木工学の勉強をしました。今の専門は経済学ですが、そのとき工学の勉強をした事は現在の研究にも非常に役立っています。その後、筑波大学の環境科学研究科へと進学しました。私が大学院に進学した1990年当時は、まだ環境科学はメジャーな分野でではありませんでしたが、1992年に国際会議が開催されて、アジェンダ21が採択されてからは急速に脚光を浴びる分野となりました。土木の勉強は楽しかったのですが、やっていた勉強が砂防ダム、測量、造園などの授業で、こちらについてもなかなか興味を持つことができず、大学院で何をしようかと悩んでいた時、たまたま良い先生に巡り会うことができました。その先生のご専門が環境経済学でした。当時は環境経済学という言葉もなく、あまり多くの研究者が取り組んでいない分野でしたので、非常に面白く思いました。環境問題には学部時代からもともと関心があり、それを分析する手法を探していました。大学院に進学した時に、その先生の手法に関心を持ち、その先生の授業やゼミに参加しながら、もう少し深く勉強したいなと思うようになりました。そして、大学院時代に今、取り組んでいる研究テーマに近いものを選びました。

 

その後、アメリカ留学へ?

はい。その先生はコーネル大学のご出身で「環境経済学を勉強したいなら外国へ行きなさい」という先生のすすめもあり留学を志しました。また「留学するなら奨学金を取りなさい」という助言も頂き、奨学金に応募しましたが、直ぐには奨学金を貰うことはできず、会社員になり、しばらく働いてから奨学金をもらうことができて、ノースカロライナ州立大学へ留学しました。ただ、当時のアメリカでもまだ環境経済学は十分に確立されておらず、カリキュラムが今ほど充実していませんでした。この頃、環境とセットになっていたのが農学で、このアメリカでの留学経験を経て、その後は環境経済学と農業経済学を中心に、環境政策の評価や食品需要などの研究をしてきました。

 

アメリカ留学中は英語で苦労したことはありますか?

英語にはいまだに苦労しています(笑)。私は全然英語ができませんでした。会話もできず、苦手でしたね。留学するときに、奨学金を頂いて、留学したのですが、そのときに英語ができなければ奨学金を受けることができなかったので、一応TOEFLの点数をある程度取ってから渡米しました。しかし、現地で授業を受けても、全く先生のお話を聞き取ることができませんでした。ようやくわかりはじめたのが、2年くらいしてからでしたね。私の場合、研究でマクロ経済、ミクロ経済、統計学の3つを中心に学びました。1番有難かったのは統計学の授業です。これは黒板に数式を全部書いてくれるので理解できたからです。一方、マクロ経済の先生は話すのがメインでしたので、授業についていくことだけで必死で、リーディリング・リストを頂き、それを読んで勉強してから、ようやく内容がわかるといった感じでした。このようにはじめの最初の2年間は必至でしたね。リーディングは大丈夫でしたが、リスニングが非常に苦労しました。話すのはもっと苦労しました。

エッセイを書く時は、クラスメイトたちに助けてもらい、そのあとは一緒にスポーツをしたり、ビールを一杯おごったり(笑)。留学先の大学では留学生同士でも仲が良く、そしてアメリカ人も親切な人が多く、皆からヘルプしてもらいました。人に恵まれましたね。3、4年目になると指導教官にライティングのチェックをしてもらうようになりました。先生も非常に親切な方でした。

 

博士号取得後は?

博士課程を終えてから、2年ほど再開発系のコンサルティングの仕事をしていました。政府にレポートをかいたり、色々な途上国へ行ったり、英語面での実地訓練の様でした。そこでは英語によるコミュニケーションがほとんどですが、なんとかなりました。現地ではお金が適正に使用されているかどうかの調査、医療部門はどんな状態なのかという事をリーサーチし、レポートは英語と日本語で書いて省庁へ提出していました。英語力もこの時に身についたと思います。その当時の担当国はアフリカ、東南アジアでした。

 

エディテージはどんなときにご利用いただいておりますか?

インターネットで英文校正を探している時に、エディテージを見つけました。初めに依頼した時の論文がいいところにアクセプトされ、それからずっとお世話になっています。エディテージへの支払いは、私の研究費のかなりのウェイトを占めていますよ(笑)。

今は、プロポーザルなど短い文章は自分ですべて書いています。長いものになると、だんだんとボロがでてくるので、その場合はエディテージを使っていますね。きちっと書かないとリジェクトされてしまいますからね。だいたい年間2回は最低使っていますね。サービス内容には満足していますし、使い勝手も良いですね。最初はどの様な使い勝手なのかわからなかったのですが、物は試しで、利用してみてうまくいきました。エディターは丁寧に校閲をして、コメントもしてくれています。分野が違うとチグハグな事になる可能性もあるとおもいますが、その様な事もありません。非常にありがたく利用させてもらっています。

 

僕の分野ですと、論文にはストーリーを書かなければいけないので、ネイティブではないと難しい部分があります。文法的には正しくても、「こういう言い回しはしない」だとか、「この単語のほうが適切」だとか、「この様にした方が意図がよりわかりやすく伝わる」等、単なる機械的な部分だけではなく、文化の違いも含め、多くの人に読まれるような、わかりやすい文章にしていただけていると思います。単に正しいかどうかだけではなく、ブラッシュアップしていただいて少しでもよりエレガントな文章に仕上がることを期待しています。

 

これからの抱負と学生さんへのメッセージをお願いします。

あと10、15年はコンスタントに専門雑誌に論文を書いていきたいと思います。学者ですから、インパクトがある論文を書くというのが抱負です。学生さんへのメッセージですが、日本語でだけで書いていると読者が限られてしまうので、やはり英語で論文を書いて国際的にメッセージを発信されるほうが今後よろしいのではないかと思っています。私が最近書いた英語の論文がネット上で公開されているのですが、私の論文を1番多くダウンロードしてくれているのが、中国人の方です。その次がアメリカ人です。日本人は少ないですね。私たちは英語がネイティブではないので大変だと思いますが、英語に関してはエディテージのような英文校正会社に頼んで、なんとか外にメッセージを発信すればいいのではないかと思います。




松本先生のプロフィール:現在、青山学院大学経済学部教授。筑波大学第二群農林学類卒業し、筑波大学大学院環境科学研究科修士課程修了。ノースカロライナ州立大学大学院経済学専攻博士課程修了。趣味はテニス、庭いじり。大学の教育者としては、「人を使うに及んでは器のままにす」を念頭にしています。
松本先生のホームページ

 

学術界でキャリアを積み、出版の旅を歩もうとしている皆様をサポートします!

無制限にアクセスしましょう!登録を行なって、すべてのリソースと活気あふれる研究コミュニティに自由に参加しましょう。

ソーシャルアカウントを使ってワンクリックでサインイン

5万4300人の研究者がここから登録しました。