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洋書で学ぶ英語表現(5)女たちのハードボイルド・ワンダーランド

by • July 7, 2014 • お得なお知らせ, 洋書で学ぶ英語表現Comments (0)2982

こんにちは。エディテージで営業を担当しています屋宮です。

楽しむために手に取ったエンターテイメント小説が、時に専門のビジネス書や啓発本以上にリーダーシップやチームビルディングについて多くを教えてくれるということがありませんか?
今日、ご紹介するスパイ小説『Jackdaws』(Ken Follett著)も、あるべきリーダー像を考えさせられる一級のエンターテイメント小説です(邦訳は小学館文庫より『鴉よ闇へ飛べ』ケン・フォレット著)。


時は第二次世界大戦末期、イギリスの秘密工作機関に所属するフリックは一つの作戦を任されます。「ドイツ占領下のフランスに潜り込み、重要連絡拠点である通信施設を爆破せよ」。
とはいえ、ゲシュタポの厳重な警備下にある通信施設に近づくことは容易なことではありません。そこでフリックは、警備の目を掻い潜るため、掃除婦になりすまして施設に侵入することを思いつきます。必要なのは、掃除婦に偽装可能な、完璧なドイツ語が話せる女性エージェント。しかし、長引く戦争で人材は底を尽き、なんとか掻き集めた5人と言えば、世間から後ろ指を指される落伍者ばかり。

 

 

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イメージ・クレジット:Amazon.comより

 

その面々は、良家の生まれながら社会規範に逆らい続ける不良娘ダイアナや、病的な嘘つきでおとぎ話の世界に生きるモード、殺人容疑で服役中の字の読めないルビー、外国人嫌いの愛国者にして爆発物に詳しいアラフォー金庫破りジェリー、そしてナチスへの復讐を心に誓うドイツ生まれのエンジニア、グレタ。女子ばかりの即席秘密工作部隊は僅か数日の訓練を受けた後、パラシュートで敵地へ舞い降ります。「Jackdaws」(カラスたち)と名付けられた落ちこぼれ集団は、無事作戦を完遂できるのか? 生きて帰って来られるのか?

 

本書の魅力は、手に汗握るそのストーリー性もさることながら、何と言っても個性溢れる登場人物の配置にあるでしょう。特に主人公フリックの多面性豊かな人物描写は、読者をして作品に感情移入させること必至です。フランス文学をこよなく愛し、母校オックスフォードで博士号取得を夢見るインテリでありながら、工作員としても最優秀。数々の死線を潜り抜け、28歳で将校となったほどです。平時には優しさと思いやりを持つ普通の女子でありながら、任務を最優先させる有能果断なリーダーとして、必要とあらば敵の後頭部へ銃撃を打ち込むことに瞬時の躊躇いも見せない非情さを持ち合わせます。その一方で、夫の浮気には嫉妬で胸を焦がし、母親の前では自分の弱さを吐露し、他人のロマンスの現場では顔を真っ赤に赤らめる、ツンデレ好きには堪らないイギリス版「最強無敵の電撃姫」なのであります。

 

フリック以外にも、本書は魅力溢れる人物でいっぱいです。ネタバレになるので、あまり書けないのが残念ですが、物語の最終盤、ある人物の最期はスパイ小説屈指の名場面だと思います。ゲシュタポの手に落ち、時限爆弾の秒読みが進行するなか、作戦参加の動機を問われたその人物が口にした答えとは? 僅か2頁の短いやり取りですが、その濃密な会話はあまりに映画的で、全身の毛が逆立ち、背中に電流が走るほどです。平時には戦闘とは無縁だった登場人物たちが、国のため、任務のため、そして愛する仲間のため、命を懸け、運命に対峙するその姿は、エンターテイメント小説とは言え、素直に感動的です。昭和40年代生まれの一部の層の方々は、「哀・戦士」という言葉を思い浮かべずにはいられないでしょう。

 

背景の異なる個性的な面々がチームを組み、衝突を繰り返しつつ大きな目標のために仲間となって強敵に立ち向かう、ベタと言えばベタですが、読み始めると個性豊かな登場人物に魅了され、「俺の嫁」のその後が気になって仕方なくなると思います。最近、日常生活にスリルがないと感じている方には是非、試してもらいたい第一級のエンターテイメント小説です。
ぜひみなさん、読んでみてください。

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masayuki

屋宮正享 / Masayuki Okumiya
カクタス・コミュニケーションズ
営業推進部
勤務地:東京,日本

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