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洋書で学ぶ英語表現(3)涙なしには読めない、Angela’s Ashes

by • March 13, 2014 • 洋書で学ぶ英語表現Comments (0)11463

こんにちは。エディテージで営業を担当しています屋宮です。

今回ご紹介するのは、「フツーの人」が書いた、涙なしには読めない回想録です。
1996年、ニューヨークの高校で教員を務める一人のアイルランド系アメリカ人が、自らの子供時代を振り返る本を書きました。アイルランドのリムリックを舞台に、悲惨なまでに貧しい生活を描いたその本はやがて反響を呼び、ベストセラーに名を連ね、映画化もされる大ヒットとなりました。作者の名はFrank McCourt(フランク・マコート)、本のタイトルは“Angela’s Ashes”(邦訳は新潮文庫より『アンジェラの灰』(上・下))。

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イメージ・クレジット:Amazon Japanより

物語は、フランクが生まれたニューヨークで始まります。時は世界恐慌の真っただ中、アイルランド移民である両親に職はなく、マコート家は赤貧のうちにあえぎます。親戚の薦めで故郷アイルランドに出戻りするものの、そこでも状況は同じ。呑み助である父親に職はなく、たまに仕事の口が見つかっても、せっかくの稼ぎを呑み尽くしてしまいます。マコート家は慈善団体からの援助でなんとか食いつないでいくものの、7人兄弟のうち3人の弟妹たちが次々と亡くなってしまいます。

やがて父親はイングランドの軍需工場へ出稼ぎに出るものの、肝心の仕送りはほどなく滞り、遂には音信不通になってしまいます。フランクは生きるため、時に路上に落ちている石炭を集めて回り、時に弟たちとチームワークを組んで他人の家から食べ物を「拝借」して回ります。高等教育の道など望むべくもないフランクは、小学校を卒業すると同時に14歳で電報の配達人となり、少ない稼ぎで家族を支えていきます。文学と映画に心奪われた少年は、やがて自分が生まれたアメリカへ憧憬を抱いていきます・・・。

“Angela’s Ashes”について語る生前のマコート氏。

とにかく「泣ける」回想録です! でも「泣ける」のは、彼の貧しい境遇に同情するからではありません。そうではなく、フランク少年(と彼を取り巻く人々)が、どんなに貧しくても、愚直に、精一杯、全力で生きていく、その必死さに胸を打たれてしまうからです。

 

呑み助の父親は酔っぱらって深夜に家に帰ってくると、寝ている子供たちを叩き起こし、一列に並ばせては、祖国アイルランドのために命を投げ打つことを誓わせます。教会へ行くと嫌味たらしい神父たちが、信仰のために死ぬことの美徳を説いて回ります。そういう大人たちに対して、フランクは思います。

”I wonder if there’s anyone in the world who would like us to live”, “I want to ask why there are so many big people who haven’t died for Ireland or the Faith but I know if you ask a question like that you get you the thump on the head or you’re told go out and play”.

 

本書は至るところ、全編を通じて、読者の心を揺さぶる哀しくも優しいエピソードに満ち溢れています。いたずらもします(人の弁当を食べる、友達の姉のシャワーを盗み見る、無断で人の家畜の乳搾りをし美味しくいただく、母親の大事なドレスをサッカーのユニフォームにする、その他多数)。恋に落ちます。悲しい別離があります。そのすべてがユーモアと懐かしさを伴って念入りに描写され、読んでいて心が温かくなってきます。文体が独特で、一文が長い傾向にあり、若干、難儀するかもしれません。でも、繰り返し読んでいくと慣れてきます。「粗にして野だが卑ではない」、そんなフランク少年とリムリックの人たちの、必死になって生きていく姿。多くの方に読んでもらいたい本です。

 

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masayuki

屋宮正享 / Masayuki Okumiya
カクタス・コミュニケーションズ
営業推進部
勤務地:東京,日本

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