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科学を読む(2)科学リテラシーをつけよう 平山秀幸「科学は誰のものか―社会の側から問い直す」

by • January 15, 2014 • 科学を読むComments (0)1786

一般市民に科学の「価値」がどれだけジャッジできるのか、そしてどこまで科学に当事者として参加関与できるのだろうか?

平山秀幸著「科学は誰のものか―社会の側から問い直す」は、今社会のなかでパワーと信用を失いつつある科学と、それを利用する社会、市民生活と政治のつながりを問い直し、一般市民が参加関与する「公共的ガバナンス」としての科学のあり方を考えるための教科書的な本です。

科学って一般人にとって、「すでに誰かによって証明された事実」と捉えられている場合がほとんどではなかったかと思います。その認識が一気に崩れ去ったのが東日本大震災の原発事故。原発事故の原因究明や後処理、再稼動をめぐる議論の報道を通じて、「科学ってこんなにあいまいで、複数の違った解釈や理論がある世界だったんだ」と愕然とした人も多いのではないでしょうか。「バナナダイエット」レベルの話であれば、科学的あいまいさは日常生活のなかで黙認されているわけですが、原発や薬害といった大きな問題が浮上したときにその不確実性がとたんに浮き彫りになってきます。

この本が出版されたのは震災前の2010年ですが、その後に起きた原発問題を踏まえて読むと、この世界の機動力のひとつであるはずの科学に対する一般市民の当事者意識のなさ、無知や無関心が、科学をめぐって次々に起こる社会問題を止められないでいる根本的な原因なのではなかろうかと身につまされる思いがします。

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「科学リテラシー(Scientific Literacy)」は科学者でも科学政策関係者でもない一般市民が科学に対する知識や実用レベルでの理解をもつことを言います。エディテージでお客様やScience Talksを通じて研究者コミュニティの方々とご一緒する機会があると、自分はパンピー(という言い方もかなり古いですが)の中でもいわゆる「科学好き」の部類だと思っていたんですが、自分の科学リテラシー、相当低いよな…、とがっかりします。先日もNatureに掲載されてTwitterで話題になっていたあるショッキングな脳科学研究のニュースをリツイートしたところ、同じ分野の研究者の方に「”夢のあるお話”ではあるけれど、何度も追実験してみないと科学的根拠があるとはいえないですね」という指摘をいただきました。

このフィードバックにははっとさせられました。科学って、そういうものなんですよね。論文が権威ある雑誌に1本出たからといってそれが科学的事実として認められたわけではない。特に論文捏造がしょっちゅう取りざたされる昨今、「そうであったらいい仮説(あるいは悪く言えば夢物語)」と「かなりの確立で正しい事実」、その中でも「実用化できるもの」と「実用化しないほうがいいもの」を見極めるぐらいのリテラシーは持っていたいものです。

研究者の皆さんの立場からすると、あるいはこの問題は「いかに研究の重要性と意義を効果的に一般市民に伝えて支持をえるのか」ということになるかもしれません。今科学は岐路に立っていると思います。日本はノーベル賞級の研究が可能な国でありながら、その裾野に研究不正や捏造問題などの数々のスキャンダルが耐えない国でもあります。何を信じて進めばいいのかわからない未来への不安を、かつては科学が緩和していた気がしますが、時代は変わりました。これからを見据えつつ、自分も市民として「科学の公共的ガバナンス」に参加しつつ、かつエディテージでは「研究者から研究者へ、政府へ、そして市民へ」のコミュニケーションを活性化していくお手伝いができればいいなと感じます。

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加納 愛/Ai Kanoh
カクタス・コミュニケーションズ
グローバルブランディングチーム
シニアマネージャー

勤務地 Mumbai, India

 

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