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カスタマーサービス・チーム日記(10)エルデシュの世界

by • October 16, 2014 • カスタマーサービス・チーム日記Comments (0)4701

こんにちは。
英文校正エディテージのカスタマーサービス マネージャーの小柳耕平です。

翻訳や英文校正を中心に、見積・受注・納品を担当しています。月曜日の朝から土曜日の夜まで、毎日飛び交うように案件が舞い込んできますので、迅速かつ正確な対応が求められる仕事です。ただでさえ難解で専門的な内容の原稿ばかり。そんな中、お客様からのリクエストをヒアリングし、その内容を異文化圏の社内チームに的確に伝えていくのは結構頭と体を使います。日々の伝言ゲームにあくせくする一方、陰ながら、学問の世界の競争の激しさを体感してしまいます。

私自身は、大学では数学を専攻していました。一限目は自主休講、二限目は数学、三限目も数学、四限目も数学。あるいは、月曜日は解析学、火曜日は代数学、水曜日は幾何学、木曜日は代数幾何学、というような生活を送っていたのですが、数学以外の分野でもこんなに学問は細分化されているのかと驚かされます。Gastroenterology、Neuroendocrinology、Transplantation immunology、…。
特に、医学に関する学問名は、心なしか難しい気がします。

ともかく、毎日世界中の至る所で、様々な分野の論文が投稿され、アクセプトされたり、リジェクトされたりを繰り返しているようです。査読者もなかなか休む暇がありません。

さて、例によって他の分野のことはあまりよく知りませんが、数学界において、至上最も多くの論文を書いた人物は、18世紀の数学者(天文学者?)・オイラーであると言われています。彼の書いた論文全集(現在も編集中)は、なんと5万頁を超えるそうですから驚きです。是非弊社にて翻訳・校正作業をお預かりしたいものです。納期は来世紀になるかもしれませんが…。晩年に完全に視力を失ったものの、口述筆記により研究を続けたと言いますから、その意欲の生涯を通じて凄まじかったことが伺えます。

オイラーの死後231年経った今日も、彼を超える論文の量産家はいまだ現れていません。2014年現在、彼に次ぐ論文数を誇る数学者は、エルデシュという名の20世紀のハンガリーの数学者だそうです。もっとも、彼について言えば、数学者というより、放浪者と呼んだほうが正確かもしれません。この一風変わった風貌の小男は、生涯を通じて、気ままに世界を旅し、行く先々で出会う色々な数学者と共同研究を行うという独特のスタイルを貫き、約1500篇もの論文を世に残しました。

 

従って、彼の論文のほとんどは、単著としてではなく、共著としてのものなのです。テレビでもお馴染み、あの数学者(大道芸人?)・ピーター=フランクルも、エルデシュとの共著論文を6本持っています。学術研究の専門化が著しい同じハンガリー出身という事情からでしょうか。

とりたてて功名心も持たず、ただ旅と数学を愛し、自由気ままに生き抜いたエルデシュを敬愛して、数学者たちは、「エルデシュ数」という新たな概念をつくりだしました。

これは、エルデシュとの共著がどれだけ多いか、従って、エルデシュとどれだけ自身の研究が近いかを表す尺度として、次のように定義されています。

  • エルデシュ自身のエルデシュ数を 0 をする。
  • エルデシュ数が nの者と共著で論文を書いた者のエルデシュ数は n + 1 。(n 0)

エルデッシュ数0の数学者は、その定義から、未来永劫、エルデシュ本人のみです。また、エルデシュ数が1、すなわち、エルデシュと直接共著のある数学者は、511人いるそうです。残念ながら、エルデシュは1996年に他界したので、この数字は、新たな遺稿が発見されない限り、変わることはないでしょう。エルデシュとの共著を持たないものの、ピーター=フランクルと共著のある数学者の場合、エルデシュ数は2になります。エルデシュ数2の数学者と論文を共同執筆すれば、エルデシュ数3が一気にゲットできます。

いま、あえて数学者という言葉を使いましたが、正確に言えばエルデシュとの共著つながりを辿っていくと、その研究分野は、政治学や生物医学、言語学をはじめ、多岐に渡ります。2004年のアメリカ数学界のデータによれば、有限のエルデシュ数を持つ研究者の数は、すでに数十万人にのぼります。有名どころでは、マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツもエルデシュ数4を持ちます。

21世紀に入り、通信技術が著しい向上を続ける今日、「知の集合」が一つのキーワードになっています。今後、エルデシュ数を持つ研究者が、百万、千万と分野を問わず広がっていくことでしょう。当たり前のことながら、エルデシュ数保持者数は、その定義から、減ることがありません。残念ながら、逆に、どんなに歴史を遡っても、オイラーとエルデシュとは共著のつながりがなく、オイラーはエルデシュ数を持たない(∞?)そうです。

この記事をお読みの方の中にも、知らず知らずのうちにエルデシュ数を持っている方がいるかもしれませんね。

最近、インド人のデザイナーと、「同僚・友人紹介割引」のバナーデザインの共同制作を担当させていただきました。数式ばかりいじってきた私に対して、こんなクリエイティブなプロジェクトがポンと与えられるのも、この仕事をやっていて面白いところの一つです。まだまだ勉強の足りない私ですが、温かく応援していただければ幸いです。

ぜひぜひお知り合いの研究者の方をご紹介いただき、エディテージ(エルデシュ?)の輪を拡げてくださいね。

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小柳耕平/ Kohei Koyanagi
カクタス・コミュニケーションズ
エディテージ カスタマーデライト部
勤務地:Mumbai, India

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